概要:
- 圧電解析実行時に電極にたまる電荷を求めたい場合がある。
- 電位境界で指定した電極の電荷は「テーブル」に出力されている。
- 電位を指定していない電極(「浮き電極」)については電位は一定として計算されるが、+電荷と-電荷が同数出現するため、結果的に電荷の合計は0となる。そのため「テーブル」には電荷は0と出力される。以下の図のように「浮き電極」に「外部抵抗」を接続することで、電荷が移動することができる(電流が流れる)ようになり、その結果「浮き電極」にたまる電荷を求めることができる。
計算例:圧電素子に上下から圧力を加えた時に電極にたまる電荷
解析条件:
- 圧電調和解析
- 周波数: 1e3[Hz]
- 円盤のサイズ:半径: 10[mm]、厚み: 1[mm]
- 材料(圧電素子:P-4材、材料DBのデータを使用)
- 分極軸(Z+方向)
- 境界条件
上下面に別々の「浮き電極」境界を設定し、それぞれグランドとの間の抵抗(5000[Ω])を接続する。
上面は圧力(-1[N/m2])を設定、下面はZ方向の変位を拘束
解析結果と考察:
- 「浮き電極」の「電荷」はテーブルに出力されているQ=1.8e-14[C]
- 電束密度ベクトルを見ると均等(57e-12[C/m2])に分布しているのが分かる。電束密度を積分すると電荷になるので検算すると、円盤の面積S=0.01*0.01*3.14=3.14e-2[m2]より、電荷Q=57e-12*3.14e-2=1.79e-14[C]となり、テーブルの値(1.8e-14[C])とほぼ一致する。
- テーブルには「浮き電極」の電位も出直されているので、電位差を取ることで圧電素子に発生する「電圧」を取り出すこともできる(電圧=+5.68e-7[V] – (-5.68e-7[V]) = 11.36e-7[V]=1.14[μV])