概要:
Femtetには振動状態を計算するために「調和解析」と「共振解析」の2種類の解析方法をご用意しています。
- 「調和解析」:ある周波数の振動源を与え、振動の応答状態を解析する
- 「共振解析」:物体の持つ固有の振動状態(固有振動数、振動モード)を解析する
この2つの解析の違いについてご紹介します。
調和解析:
以下のように棒の下面を固定し、上面にある周波数での正弦波の振動を与えたとして解析します。周波数を上げていくと徐々に振動の様子が複雑になりますが、振動方向としては上面に正弦波振動を与えているため振動の方向は基本的に変わりませんが、振動の様子が徐々に複雑になっていきます。
共振解析:
以下のようなモデルで共振解析を行います。調和解析との大きな違いは振動源を与えていないという事です。物にはその物固有の振動のしやすさと振動数があり、共振解析を行うと結果として、固有振動数(共振周波数)と固有振動モード(変形の仕方)を求めています。以下の例は底面のみ固定した状態での共振解析ですが、共振モードの固有振動数が上がるにつれてより複雑な振動モードに切り替わっていきます。調和解析と比べ振動方向が一定でないのがお分かりいただけると思います。
共振解析と調和解析の結果が同じ場合:
計算方法が違うため厳密には一致しないのですが、共振モードに近い位置で調和解析で強制的に振動させた場合、双方で同じような結果を得ることができます。例えば上記の2つの解析例では左端の共振モード(左右に振れるだけ)の調和解析と共振解析では共振周波数近くの振動状態は非常ににています。
以下圧電調和解析と圧電共振解析で計算結果として得られる周波数-インピーダンスグラフを比較してみます。それぞれの解析でのインピーダンスグラフの作成方法は以下のようになっています。
- 調和解析のグラフ表示方法:複数の周波数ポイントで計算し、その時のインピーダンスの値をグラフにする。
- 共振解析のグラフ表示方法:回路定数を作成し、回路定数からインピーダンスグラフを合成する。
上記方法でそれぞれ以下のようなインピーダンスグラフを描くことができます。この例では同じような屈曲振動モードが発生する周波数帯で計算しているため、調和解析と共振解析でほぼ同じようなインピーダンス波形を得ることができました。