音響インピーダンス境界と開放境界の使い分けについて

概要:

音響インピーダンス境界も開放境界も音波を吸収する事を想定した境界条件ですが、使用する場面に違いがあります。開放境界は音波が無限遠に向かって広がっていく場合に使用し、音波が1方向に進むような場合は音響インピーダンス境界を使います。

開放境界とは:

開放境界は、音圧は音源からの距離Rに反比例すると仮定しています。音源が障害物のない空間に置かれた場合、音源から遠く離れたところでは、音圧は1/Rで減衰しますのでこの境界条件が使用できます。音源に近くなると音圧は複雑になり、1/R^2などの高次の項も含まれますが、解放境界条件ではこの高次の項もある程度考慮されています。

音響インピーダンス境界とは:

音響インピーダンスは音波の通りにくさを示し、音圧Pを体積速度Svで割った値として定義されます。

Z=P∕Sv [Pa/(m2・m/s)]=P/Sv[(Pa・s)/m3]  (1)

境界条件として与える音響インピーダンスは単位面積当たりの量として以下の式で与えます。

Z=P∕v [Pa/(m/s)]=P/v[(Pa・s)/m]  (2)

として与えます。一方、pとvは運動方程式でつながっており、ρを密度、cを媒質の音速とすると、調和音波の場合以下の関係がある。

Z=ρc[kg/m3・m/s]=ρc[kg/(m2・s)]=ρc[(N・s2)/m・1/(m2・s)]=ρc[(Pa・s)/m]  (3)

(2)式と(3)式の単位が一致することでも(2)が(3)で表わせることが分かる。参考として以下に空気と水の音響インピーダンスを示す。

(例)空気の音響インピーダンス

Z = 1.205[kg/m3]*340[m/s]=409.7[kg/(m2・s)]=409.7 [N・s/m3]

(例)水の音響インピーダンス

Z = 997[kg/m3]*1500[m/s]=1.496e6[kg/(m2・s)]=1.4596e6[N・s/m3]

開放境界と音響インピーダンス境界の例:

以下の図は左端の2つの管から放たれた音波が広い空間に出たあと広がっていく様子を解析した例である。半円部分に「開放境界」条件を設定することで音波が自然に広がっているのが分かります。

open_boundary

一方以下の図のように管の内部に空気が満たされれており管の上部分から放たれた音波が管内部の空気を伝って2手に分かれている。分かれた音波が管から出るところに空気の音響インピーダンスである409.7[N・s/m3]の値を境界条件として設定する事で、反射せず平面波が管から出ていく様子の解析ができているのが分かります。

impedance_boundary

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