圧電共振解析で共振時の変位量を知りたい

概要:

共振解析を行うと、共振周波数、共振モード(変形形状)を求めることができますが、結果の変位は無限大(不定)となってしまいます。これは共振解析は入力エネルギーが決まらないため、結果として出力エネルギーが決めれないというのが理由です。このようにして求めた共振解析結果の変位、応力、ひずみなどの結果は下図左のように「変位(相対値)」とかかれています。この(相対値)は複数のモード間の相対値というわけでもありませんので、実際の変位量を比較して知ることもできません。あくまで変形形状が分かるという意味合いになります。

ただし、圧電共振解析で「電圧」の境界条件で与えた状態で解析する場合は状況が変わってきます。この場合印加した「電圧」による入力エネルギーが分かるため、結果の変位は入力エネルギーを使う事で正しい変位量に補正することができます。圧電共振解析で解析した場合は「共振時の変位」を補正する事で正しく求めることができます。下右図はそのようにして求めた変位量ですが、ラベルが「変位」となっており、相対値ではない事が分かります。

Displacement

静電力により変形した形状を求める

概要:

今回は2本のアルミの棒に電圧をかけることで、片持ち梁がひきつけあう力を解析します。「電界解析」による静電力を使った「応力解析」が必要になるため、「電場解析」と「応力解析」を選び連成解析を行います。

解析モデルの設定:

モデル形状としては2つのアルミの棒を作図し、電気的な境界条件「電位」と機械的な境界条件「変位固定」の両方が必要になります。「変位固定」をしないと応力解析時に静電力により梁が自由に移動できることになるため、物体のどこかを「固定」しておくのは忘れがちですが重要な境界条件です。空気領域は自動で作成されるため作図不要です。アルミの棒の材料は材料データベースから選びます。

model

解析結果:

計算結果の静電力(節点力)の結果のベクトル図より、アルミの棒同士が引き合っているのが分かります。また応力解析で変位ベクトルと変形図を表示するとアルミ棒が引き合って変形していることも分かります。

result

共鳴する管の解析

概要:

管を模したモデルで音波の共鳴現象を解析します。解析は簡単のため2次元解析で行います。空気領域のみメッシュ生成し、管の入り口に音源を設定して周波数を変えながら音波調和解析を実施します。

model

解析結果:

解析結果の放射インピーダンス(周波数特性)と、共振位置での音圧のコンター図を示します。特定の周波数で放射インピーダンスの値が小さくなり、共振現象が起きていることが分かります。

result

2軸グラフの表示(Real/Imag)

概要:

圧電解析の結果として、Sパラメータ、Yパラメータ、Zパラメータなどの情報が得られますがこれらの数値は複素数で表されています。通常は[dB]などの表示で大きさのみで評価する事が多いと思いますが、複素数ですので、実部、虚部、位相など複素数の数値の成分を見ることができます。グラフを2軸表示にする事で実部と虚部を同じグラフに表示する事ができますので今回はその手順についてご紹介いたします。

手順:

  1. グラフのプロパティで、Y軸の複素数表示形式を「Real」に変更、対数表示をOFFに設定、Y第2軸の複素数表示形式を「Imag」に変更
  2. グラフを「ダブルクリック」し「系列情報」を表示
  3. Y軸(第2軸)で表示にチェックを入れ、「OK」ボタンを押す。

Property

SeriesSettings

結果:

以下のような2軸グラフを描くことができました。2軸に表示するものは実部、虚部以外にも位相や大きさなど様々な項目が表示できますのでぜひいろいろとお試しください。

2AxisGraph

平行平板キャパシタの容量の理論値についての考察

概要:

シミュレーションの結果が妥当なものかどうかについて、実験値と比較するという取り組みが一般的によく行われています。そもそも理論解が求まるような問題というのはあまり多くありません(そのためにFemtetのような数値解析が利用されます)が、Femtet自体を開発する段階では理論解と比較し解析結果が正しいかどうかを常に検証しています。ここでは簡単な平行平板キャパシタの容量についてFemtetの解析結果と理論解が一致するかどうかを確認検証してみます。

まずは理論解とFemtetの結果を比較:

平行平板キャパシタの容量の理論解はよく知られるように、真空の誘電率をε0、比誘電率をεr、電極面積をS、電極間隔をdとすると以下のように表せます。

C=ε0*εr*S/d

Femtetで境界条件1[V],0[V]を設定し、比誘電率εr=10、キャパシタサイズを10[mm] x 5[mm] x 3[mm]として解析を行います。ここで注意が必要なのは解析の利便性を考えモデルの外側に自動的に空気領域を自動作成する機能が働くのですがこの機能をOFFにしておく必要があります。こうする事でキャパシタの部分のみがメッシュ生成されるので理論解と全く同じ状況のモデルを作成する事ができます。

model1

Femtetで解析すると容量は、C=1.476[pF]という値が得られます。一方理論解を求めると、

C=8.854e-12*10*0.010*0.005/0.003 =1.476[pF]

となりこのモデルでのFemtetの解析結果と理論解は完全に一致します。

contour1

周囲に空気があると想定したモデル:

次にモデルとしては同じ形状ですが、[解析条件]->[メッシュの設定]タブで「空気領域を自動作成する」にチェックを入れて解析すると、モデルの周囲に空気領域が自動で生成された解析が行われる。

model_with_air

この場合のFemtetの解析結果はC=1.663[pF]となり、理論解の1.476[pF]より13%大きい値となりました。

contour_with_air

結果の考察:

周囲に空気がある場合にFemtetで解析した結果の容量は一見すると理論解からずれているように思えますが、このモデルでは理論解で考慮されていない、電極の縁端効果による容量も含んだ解析を行っていることになるため理論解よりも大きな容量値が得られたと解釈できます。またここでは比較していませんが、空気領域を自動生成したモデルでも、キャパシタ部分の比透磁率をεr=100,εr=1000と大きくしていくと、空気領域の縁端効果による容量の影響が相対的に小さくなっていくため理論解とFemtetの結果は近づいていきます。今回のように理論解をFemtetで解析しようとするとき理論解とまったく同じ条件で解析できているかは注意深く確認する必要があります。Femtetのような数値解析で解析できる範囲は理論解が求まるよりも広く、理論解が求まるような特別な条件でFemtetを使用して解析した場合数値誤差の影響は若干あるものの基本的にはほぼ同じ解が得られます。

音響インピーダンス境界と開放境界の使い分けについて

概要:

音響インピーダンス境界も開放境界も音波を吸収する事を想定した境界条件ですが、使用する場面に違いがあります。開放境界は音波が無限遠に向かって広がっていく場合に使用し、音波が1方向に進むような場合は音響インピーダンス境界を使います。

開放境界とは:

開放境界は、音圧は音源からの距離Rに反比例すると仮定しています。音源が障害物のない空間に置かれた場合、音源から遠く離れたところでは、音圧は1/Rで減衰しますのでこの境界条件が使用できます。音源に近くなると音圧は複雑になり、1/R^2などの高次の項も含まれますが、解放境界条件ではこの高次の項もある程度考慮されています。

音響インピーダンス境界とは:

音響インピーダンスは音波の通りにくさを示し、音圧Pを体積速度Svで割った値として定義されます。

Z=P∕Sv [Pa/(m2・m/s)]=P/Sv[(Pa・s)/m3]  (1)

境界条件として与える音響インピーダンスは単位面積当たりの量として以下の式で与えます。

Z=P∕v [Pa/(m/s)]=P/v[(Pa・s)/m]  (2)

として与えます。一方、pとvは運動方程式でつながっており、ρを密度、cを媒質の音速とすると、調和音波の場合以下の関係がある。

Z=ρc[kg/m3・m/s]=ρc[kg/(m2・s)]=ρc[(N・s2)/m・1/(m2・s)]=ρc[(Pa・s)/m]  (3)

(2)式と(3)式の単位が一致することでも(2)が(3)で表わせることが分かる。参考として以下に空気と水の音響インピーダンスを示す。

(例)空気の音響インピーダンス

Z = 1.205[kg/m3]*340[m/s]=409.7[kg/(m2・s)]=409.7 [N・s/m3]

(例)水の音響インピーダンス

Z = 997[kg/m3]*1500[m/s]=1.496e6[kg/(m2・s)]=1.4596e6[N・s/m3]

開放境界と音響インピーダンス境界の例:

以下の図は左端の2つの管から放たれた音波が広い空間に出たあと広がっていく様子を解析した例である。半円部分に「開放境界」条件を設定することで音波が自然に広がっているのが分かります。

open_boundary

一方以下の図のように管の内部に空気が満たされれており管の上部分から放たれた音波が管内部の空気を伝って2手に分かれている。分かれた音波が管から出るところに空気の音響インピーダンスである409.7[N・s/m3]の値を境界条件として設定する事で、反射せず平面波が管から出ていく様子の解析ができているのが分かります。

impedance_boundary

別のプロジェクトにボディをコピーしたい

Femtetのユーザーデータベース機能の一つであるモデルデータベース機能経由で別のプロジェクトにボディをコピーすることができます。

次のような手順でモデルデータベースにデータを登録、別のプロジェクトへコピーしてください。

1.https://www.muratasoftware.com/blog/?p=228の記事に記載の手順でユーザーデータベースの保存先を指定

2.コピーしたいボディをモデル画面上で選択し、モデルタブ⇒モデルデータベースに登録メニューを実行

3.別のプロジェクトを開き、モデルDBツリーに登録されているボディの画像を選択し、モデル画面内へドラッグ&ドロップ

 

調和解析と共振解析の違いについて

概要:

Femtetには振動状態を計算するために「調和解析」と「共振解析」の2種類の解析方法をご用意しています。

  • 「調和解析」:ある周波数の振動源を与え、振動の応答状態を解析する
  • 「共振解析」:物体の持つ固有の振動状態(固有振動数、振動モード)を解析する

この2つの解析の違いについてご紹介します。

調和解析:

以下のように棒の下面を固定し、上面にある周波数での正弦波の振動を与えたとして解析します。周波数を上げていくと徐々に振動の様子が複雑になりますが、振動方向としては上面に正弦波振動を与えているため振動の方向は基本的に変わりませんが、振動の様子が徐々に複雑になっていきます。

Harmonic

 

共振解析:

以下のようなモデルで共振解析を行います。調和解析との大きな違いは振動源を与えていないという事です。物にはその物固有の振動のしやすさと振動数があり、共振解析を行うと結果として、固有振動数(共振周波数)と固有振動モード(変形の仕方)を求めています。以下の例は底面のみ固定した状態での共振解析ですが、共振モードの固有振動数が上がるにつれてより複雑な振動モードに切り替わっていきます。調和解析と比べ振動方向が一定でないのがお分かりいただけると思います。

Resonant

共振解析と調和解析の結果が同じ場合:

計算方法が違うため厳密には一致しないのですが、共振モードに近い位置で調和解析で強制的に振動させた場合、双方で同じような結果を得ることができます。例えば上記の2つの解析例では左端の共振モード(左右に振れるだけ)の調和解析と共振解析では共振周波数近くの振動状態は非常ににています。

以下圧電調和解析と圧電共振解析で計算結果として得られる周波数-インピーダンスグラフを比較してみます。それぞれの解析でのインピーダンスグラフの作成方法は以下のようになっています。

  • 調和解析のグラフ表示方法:複数の周波数ポイントで計算し、その時のインピーダンスの値をグラフにする。
  • 共振解析のグラフ表示方法:回路定数を作成し、回路定数からインピーダンスグラフを合成する。

上記方法でそれぞれ以下のようなインピーダンスグラフを描くことができます。この例では同じような屈曲振動モードが発生する周波数帯で計算しているため、調和解析と共振解析でほぼ同じようなインピーダンス波形を得ることができました。

Impedance

 

コイルの浮遊容量計算

概要:

電場調和解析を利用してコイルの浮遊容量を計算します。Femtetヘルプに 静電場解析を使用した浮遊容量計算例があります(Femtetヘルプ:電場解析 例題18 参照)が、今回の例では静電場解析の結果と近い結果を得るため周波数は低い周波数(1kHz)に設定しています。

解析モデル:

コイルの入力面に1[V],出力面に0[V]の電位の境界条件を設定し、コイルの材質を与えます。この例では銅でできたコイルを想定しています。外部境界条件は「磁気壁」にします。周囲の空気領域は自動で作図されるため作図不要です。

 

model

計算結果:

調和電場解析の結果、コイルの浮遊容量とコイルの抵抗が得られます。静電場解析を使って浮遊容量を計算するときとの違いは以下の2点です。

  • 計算結果の電位分布・電界分布が表示できる
  • 容量値だけでなくコイル自体の抵抗値も同時に求めることができる

contourtable

解析終了後に位相を変更したい

概要:

音波調和解析では音源から発生する音波を別々に処理する事で、計算終了後に重ね合わせて表示する事が可能です。

解析手順:

  • [解析条件]-[調和解析]で「フィールド表示でポート毎に重み指定を可能にする」にチェックを入れ、解析を実行します。
  • 解析設定model

結果表示:

  • 解析終了後のフィールド表示画面で、[解析結果]タブ、[表示内容]グループで「フィールド重ね合わせ設定」を選択し、境界条件毎に「位相(Phase)」を変更します。Result SettingResult Field