ホーム / 例題集 / 音波解析[Mach] / 例題13 吸音材

この例題は、日本建築学会
音響数値解析小委員会様のウエブサイト[1]、「吸音材料の音響特性計測に関するベンチマーク」を元に解析モデルを作成し、掲載された資料との比較を行っています。
吸音材の特性をmiki
モデル[2][3]を利用して解析した事例を示します。
吸音材の材料定数は、複素音速、複素密度の周波数特性テーブルで入力します。
結果の吸音材の特性をウエブサイト[1]より取得した実測値と並べて示します
Femtetのバージョンや環境により結果が多少ことなります。
項目 |
条件 |
解析空間 |
2次元 奥行方向の厚み:1[mm] |
モデル単位 |
mm |
項目 |
条件 |
ソルバ |
音波解析[Mach] |
解析の種類 |
調和解析 |
調和解析および開放境界の設定を以下のように行っています。
タブ設定 |
設定項目 |
条件 |
メッシュ |
標準メッシュサイズ |
1 |
調和解析 |
周波数:スイープ値 |
最小 100[Hz] 最大 10000[Hz] 分割数 100 |
周波数:スイープタイプ |
対数間隔 |
|
周波数スイープ |
逐次スイープ |
長方形(50x1[mm])のシートボディを用意し、その材料を吸音材としました。
左端の辺には音圧レベルの境界条件Pを設定しています。他の3辺には境界条件を設定していませんが、外部境界条件(剛体壁)として扱われます。

ボディ No./ボディタイプ |
ボディ名 |
材料名 |
0/Solid |
吸音材 |
吸音材 |
材料定数の求め方がこの例題の肝になります。材料の複素音速と複素密度を、Excelで計算し、テーブル(下図)で入力しました。計算方法を以下に示します。

多孔質材の内部流体モデルとしてよく用いられるmikiモデル[2][3]を用いると、吸音材の固有音響インピーダンス(Zf)や、複素波数(kf)の周波数特性を、式(1)-(3)で表すことができます。
解析で用いた材料定数を示します。
流れ抵抗(σ) : 6900 [N/m4]
迷路度(α∞) : 1.0 [ ]
多孔度(φ) : 1.0 [ ]
Femtetの音波解析に必要な、複素音速(c)と複素密度(ρ)は、miki モデルで求めた複素波数、固有音響インピーダンスから(4),(5)式で求める事が可能です。

境界条件名/トポロジー |
タブ |
境界条件の種類 |
条件 |
P/Edge |
音波 |
音圧レベル |
10dB |
外部境界条件 |
音波 |
剛体壁 |
|
吸音材の規格化インピーダンス、吸収率の周波数特性を、ウエブサイト[1]から取得した実測値、理論値と比較します。最初に、Femtetの結果テーブルで得られる放射インピーダンスを示し、その次にExcelでの追加計算が必要な、規格化インピーダンス、吸収率の計算方法と計算結果を示します。
1.放射インピーダンスの周波数特性
結果テーブルの、放射インピーダンスタブを開いて、全結果まとめ表示の状態で、グラフボタンを押すと、周波数特性のグラフが表示されます。

第1図 放射インピーダンスの周波数特性(結果テーブルとグラフ)
2.規格化インピーダンスの周波数特性
空気の固有音響インピーダンス(Z0)で規格化した、規格化インピーダンス(Zn)を、Excelを使って計算します。
その目的は、ウエブサイト[1]から取得した実測値、理論値と比較する為です。Femtetだけで計算する事はできませんので、Excelを利用します。
Femtetで求めた放射インピーダンス(Zr)をExcelに取り込んで、(6),(7)式の計算をすることでZnを求めることでできます。
結果テーブルから Zr を、コピーアンドペーストや、csvファイルを経由して、Excelに取り込むことができますので、それを単位面積当たりの音響インピーダンス(Z)に変換します。
Z= Zr/S (6)
Sは駆動部分の面積です。(S=0.001*0.001=1.0e-6[m2])
さらに、Z0 を使って規格化して、Zn が求まります。。
Zn = Z/Z0 (7)
ここで、Z0=(空気の密度)x(空気の音速) です。
第2図は、Excelで求めた Zn を、実測値、理論値と重ねたグラフになります。 100[Hz]近傍を除けば、Femtetの結果は、ウエブサイトから取得した実測値、理論値とよく一致していることが分かります。
3.吸収率の周波数特性
次に吸収率を求めます。まず、(8)式で反射係数(r)を求め、次に(9)式で吸収率を求めます。
r = (Z-Z0)/(Z+Z0) (8)
吸収率=1-|r|^2 (9)
第3図が、吸収率の周波数特性になります。

第2図 規格化インピーダンスの周波数特性 第3図 吸収率の周波数特性
Zreはインピーダンスの実部を、Zimは虚部を表します。
「参考資料」
[1] 日本建築学会 音響数値解析小委員会ウエブサイト news-sv.aij.or.jp/kankyo/s26/AIJ-Benchmark/index_j.html
[2]
Miki Y., Acoustical properties of porous materials - Modifications
of Delany-Bazley models, J. Acoust. Soc. Jpn (E). 11(1), 1990, pp. 19-24
[3] Miki Y., Acoustical properties of porous
materials - Generalization of empirical models, J. Acoust. Soc. Jpn (E).
11(1), 1990, pp. 25-28