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例題39 磁気シールド


本例題について

  • 交流磁界に対する磁気シールドのモデルです。

  • 磁気シールド内部外部の磁束密度分布を計算し、シールド効果Sを調べます。

  • 「誘導電流なし」と、「誘導電流あり」(渦電流なしとあり)の計算を比較します。

  • 本例題では一つのプロジェクト内に解析モデルが2あり、「wo_eddy」が誘導電流なし、「w_eddy」が誘導電流ありのモデルです。

  • 表に記載されていない条件は初期設定の条件を使用します。

  • 特に指定がない条件は、2つの解析モデル共通の条件です。

解析モデルダウンロード

  • プロジェクトファイルをダウンロード(右クリックし、名前を付けてリンク先を保存してください。Femtet2026以降のバージョンをご利用ください。)

解析空間

項目

条件

解析空間

3次元

単位

mm

 

解析条件

項目

条件

ソルバ

磁場解析[Gauss]

解析の種類

調和解析

解析オプション

なし

 
x方向の外部磁界を設定しています。

タブ設定

設定項目

条件

外部磁界

磁束密度

X=1、Y=0、Z=0[mT]

 

モデル図

z方向上下が開口の角筒形状の磁気シールドです。

以下のような状況を仮定して、シールド内外の磁束密度を比較します。

 

・シールド内部に磁界から守るべき機器を置く想定(モデルには含めず、この機器が置かれる想定場所の磁束密度を調べる)

・外部機器など(モデル外)から、x方向に1mT,周波数400Hzの交流磁界が印加される

 

 

ボディ属性および材料の設定

ボディ No./ボディタイプ

ボディ属性名

材料名

2/Solid

magnetic_shield

magnetic_shield

 

ボディ属性の設定の詳細です。

解析モデル「wo_eddy」では全てデフォルトのままで、「誘導電流なし」の設定なので、誘導電流(渦電流)は考慮しません。

解析モデル「w_eddy」では誘導電流(渦電流)を考慮します。

ボディ属性名

解析モデル

タブ

設定

magnetic_shield

w_eddy

電流

オプション, 誘導電流:

「あり」にチェック

 

材料定数の設定は以下です。

材料名

タブ

設定

softmag

透磁率

材料タイプ:軟磁性材料

磁化特性タイプ:B-Hカーブ

 

B-Hカーブテーブル※1

磁界[A/m]

磁束密度[T]

0

0

0.0065

0.0005

0.013

0.001

0.1

0.008

0.3

0.024

0.54

0.047

0.72

0.067

0.96

0.096

1.29

0.144

1.72

0.221

2.33

0.342

3.12

0.476

4.17

0.578

5.61

0.646

7.4

0.684

10

0.71

20

0.738

30

0.74

50

0.748

80

0.749

100

0.75

 

導電率

導体の種類: 導体

導電率:1.5E6 [S/m]

 

メッシュサイズは以下です。

ボディ属性名

設定

magnetic_shield

メッシュサイズ: 0.5

 

境界条件

外部磁界を印加する際は、外部境界条件を磁気壁にする必要があります。

境界条件名/トポロジ

タブ

境界条件の種類

外部境界条件

電気

磁気壁

解析結果

1.シールド効果Sの見積もり

解析モデル「wo_eddy」の平面視点の磁束密度分布結果を示します。(視点移動メニューの「平面視点」選択)

磁気シールド外部に比べて内部で磁束密度が減っている様子がわかります。

 

次に、磁気シールド外部遠方の点(-30, 0, 10)とシールド内部の中心点(0, 0, 10)の磁束密度を表示させます。

上図「座標指定」ボタンをクリックし、

立ち上がった「座標値計算」ダイヤログに座標を代入して、

をクリックすると、モデル画面に指定座標の磁束密度を表示できます。

 

また、今回はシールド内外の磁束密度の大きさを比較しますので、

解析結果の「成分」に「大きさ」を選択します。

 

 

 

点(-30, 0, 10)と点(0, 0, 10)での磁束密度をそれぞれBout, Binとすると、

Bout = 1.0 [mT], Bin = 238 [nT]であることがわかります。

シールド効果 S=Bout/Binと定義すると、

S = 4202と計算できます。

 

また、今回のシールド形状ではz軸方向の両端(z =0, 20 [mm])が開口となっておりますが、

開口付近のz=18 [mm]でもSを求めてみます。

 

シールド外遠方の点(-30, 0, 18)と、シールド内部の点(0, 0, 18)の磁束密度の大きさは、

それぞれBout = 1.0[mT], Bin = 11 [μT]となっており、

シールド効果 S = 91と計算できます。

このことから、開口付近ではシールド効果が落ちることがわかります。

 

ここまでご説明した解析モデル「wo_eddy」の結果は、渦電流を考慮していませんでした。

解析モデル「w_eddy」では渦電流を考慮した解析を実行します。

 

計算実行後、前述した方法と同じ要領で点(-30, 0, 10)と点(0, 0, 10)での磁束密度Bout, Bin

をそれぞれ表示させると、およそBout = 1.0 [mT], Bin = 44 [nT]となり、

S = 22727と計算できます。

渦電流を考慮しなかった解析モデル「we_eddy」に比べて、大きなシールド効果があることがわかり、

交流磁場において渦電流を考慮しないと過小評価になってしまうことがわかります。

 

※注意点

・磁束密度の値はバージョンによって多少の増減があります。

・本例題では、単純化のため外部磁界をシールド開口から入り込みにくい方向(x方向)に限定し、

シールド内部の一点における磁束密度からシールド効果 S を評価しています。

そのため、ここで得られる S は 理想条件下における局所的なシールド効果になっています。

2.磁気飽和していないかの確認

解析モデル「w_eddy」において、シールド中の磁束密度が飽和していないかどうかを確認します。

シールド中の磁束密度だけを表示させたいので、自動生成された空気のボディのチェックを外します。

 

シールド中の磁束密度の最大値を見たいので、「最大最小」をクリックします。

 

すると、以下のとおり最大の磁束密度は73 [mT]であることがわかります。

設定したBHカーブでは、飽和磁束密度は740[mT]付近ですので、

まだシールドとして余裕がある(磁束を吸い込める余地がある)といえます。

 

逆に、試しに外部磁界を飽和磁束密度付近の740 [mT]に変更してみると、

下図のようにシールド内部まで磁束が漏れ出てしまう結果となっていることがわかります。

非線形解析(B-Hカーブを設定)をすることで、このような飽和の影響も考慮に入れることができます。