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例題27 TDR解析

 

本例題について

  • Femtetの電磁波解析(調和解析)で得られたSパラメータを、
    DescartesでTDRによるインピーダンスの時系列に変換します。

 

  • TDR解析では入力信号はステップ波形を仮定しています。

  • 表に記載されていない条件はデフォルトの条件を使用します。

 

  • プロジェクトファイルを取得(右クリックし、名前を付けてリンク先を保存してください。)


  • Femtetのバージョンや環境により結果が多少ことなります。

 

解析空間

項目

条件

解析空間

3次元

モデル単位

mm

解析条件

項目

条件

ソルバ

電磁波解析[Hertz]

解析の種類

調和解析
TDRへ変換にチェック

 

タブ設定

設定項目

条件

メッシュ

アダプティブメッシュの設定

全体:

  • 最大反復回数: 20 (*1)

  • 最小反復回数: 10

  • 要素増加率: 30 [%]

  • 収束判定に使用する物理定数: 自動

  • 参照周波数でアダプティブメッシュを行う

  • 精度: 2.0 × 10-2

周波数依存メッシュの設定

参照周波数: 30×109[Hz]

表皮厚みより厚い導体ボディ境界条件とするをチェック

調和解析

時間領域の設定

  • 入力信号の立ち上がり時間: 30×10-12 [s]

  • 立ち上がり時間ステップ数: 3

  • 時間: 400×10-12 [s]

周波数 (*2)

  • スイープタイプ: 等間隔 分割数

  • 最小周波数: 793.650793650794×106 [Hz]

  • 最大周波数: 50.0×109 [Hz]

  • 分割数: 62

スイープの設定

逐次スイープを選択 (*3)

*1 デフォルトの5回ではアダプティブメッシュが収束しないため、20回に変更します。解析時間を短縮したい場合は、小さな値に変更します。

*2 周波数の設定は、時間領域の設定から計算された値が自動的に反映されます。

*3 解析周波数が793 MHz ~ 50 GHzと広いため、解析精度を悪化させないために逐次スイープを選択しています。
*3 解析時間を短縮したい場合は、高速スイープ並列逐次スイープ(高速化オプションをお持ちの方)をご利用ください。

モデル図

基板(SUBSTRATE)の内部にストリップ線路(LINE)を構成しています。
ストリップ線路には途中に不連続部分があり、ここで特性インピーダンスが変化するため電磁波が反射します。

 

ボディ属性および材料定数の設定

ボディ No./ボディタイプ

ボディ名

材料名

4/Sheet

LINE

PEC

6/Solid

SUBSTRATE

DIELECTRIC

 

材料名

誘電率

導電率

DIELECTRIC

比誘電率: 3.9

導体の種類: 絶縁体

PEC

(初期値のまま)

導体の種類: 完全導体

境界条件

境界条件名/トポロジー

タブ

境界条件の種類

条件

PORT1/Face

電気

入出力ポート

積分路

  • “Path1”を設定

基準インピーダンス:

  • 指定するをチェック

  • 50 Ω

PORT2/Face

電気

入出力ポート

同上

外部境界条件

電気

電気壁

 

 

  • DescartesでSパラメータをTDRのインピーダンス時系列に変換するには、
    全てのポートの基準インポーダンスは同じ実数である必要があります。

解析結果

DescartesではSパラメータの代わりにポート1(PORT1)におけるインピーダンスの時系列が表示されます。

 


図1: TDR解析の結果(インピーダンスグラフ)と、時刻と基板の位置との関係

 

図1に、解析の結果として得られるTDRのインピーダンスの時系列を表すグラフを示します。
図1には、時刻と基板の位置との関係もあわせて示します。

 

 

結果の確認方法として、不連続部分のインピーダンスとインピーダンスが変化する時刻を見る方法があります。

1. 不連続部分のインピーダンス

線路のインピーダンスは時刻0[s]でおよそ50[Ω]から始まっています。このインピーダンスの値はポート1(PORT1)

において入力された伝搬モードの特性インピーダンスを示しています。伝搬モードの特性インピーダンス(Zpv)が

50[Ω]となることは解析結果のテーブル表示で確認することができます(図2参照)。

 

 

図2:解析結果テーブル(特性インピーダンス(Zpv))

 

 

一方、時刻130[ps]あたりでインピーダンスがおよそ32[Ω]に変化しています。このインピーダンスは不連続部分

における線路の特性インピーダンスを示しています。これは解析モデルを不連続部分で切り出して解析し特性

インピーダンスを見ることで確認することができます。

 

図3が不連続部分を切り出したモデルで、図4がその解析結果となります。図4におけるPORT3が不連続部分

のポートであり、解析結果よりそこでの特性インピーダンスがおよそ32[Ω]であることが確認できます。この解析

では簡単のため、参照周波数のみで解析を行っています。

 

 

 

図3:不連続部分を切り出したモデル

 

 

 

 

図4:不連続部分を切り出したモデルの解析結果テーブル(特性インピーダンス(Zpv))

 

2.インピーダンスが変化する時刻

インピーダンスが変化する時刻は基板中の不連続部分の位置と電磁波の速さより求めることができます。

 

ストリップ線路を進む電磁波の速さ v [m/s] は、真空中の光速 c0 [m/s] と基板の比誘電率 εr を用いて、

v = c0 / √εr

のように表せます。真空中の光速 c0 = 299792458 [m/s] と基板の比誘電率 εr = 3.9 より、
電磁波の速さは約1.518 × 108 m/sと計算できます。

 

TDRでは反射波を観測することで線路のインピーダンスを計測します。
ポート1(PORT1)から入った電磁波は、ポート1から10 mmの距離にある最初の不連続部で一部が反射します。
この反射波が再びポート1に戻ってくるまでには、合計で20 mmの距離を進むことになります。
速さ1.518 × 108 m/sの電磁波が20 mmの距離を進むのにかかる時間は約131.7 psです。
TDRのグラフを見ると、時刻131.7 psの前後でインピーダンスが大きく変化していることが分かります。

 

最初の不連続部を通過した電磁波は、次にポート1から20 mmの距離にある不連続部でその一部が反射します。
ここで反射した電磁波が再びポート1に戻ってくるまでには、合計で40 mmの距離を進むことになります。
速さ1.518 × 108 m/sの電磁波が40 mmの距離を進むのにかかる時間は約263.5 psです。
TDRのグラフを見ると、時刻263.5 psの前後でインピーダンスが大きく変化していることが分かります。

 

2番目の不連続部を通過した電磁波は、最後にポート2(PORT2)に達します。
ポート2の基準インピーダンスは50 Ωと設定したので、ストリップラインの特性インピーダンスが50 Ωでなければ
ポート2でも電磁波の一部が反射します。
ポート2で反射した電磁波が再びポート1に戻ってくるまでには、合計で60 mmの距離を進むことになります。
速さ1.518 × 108 m/sの電磁波が60 mmの距離を進むのにかかる時間は約395.2 psです。
TDRのグラフを見ると、時刻395.2 psの前後でもインピーダンスが変化し、
395.2 ps以降では50 Ωで一定になっていることが分かります。

 

  • 時間領域の設定では、時間を400 psと設定して調和解析の解析周波数を決定しましたが、
    結果のグラフは630 psまで描画されます。
    これは、解析周波数を決定する際にFemtetがデータの数を調整しているためです。
    DescartesはS行列からTDRのインピーダンスへの変換にはフーリエ変換を用いますが、
    フーリエ変換で扱えるデータの数は2n個(n は正の整数)です。
    入力信号の立ち上がり時間が30 psで、それを3ステップに分けるように
    時間ステップ幅を決めると、時間ステップ幅は10 psとなります。
    10 psの時間ステップ幅で400 ps間の結果を得ようと、データ数(時間ポイント数)は41個になります。
    41個のデータはフーリエ変換に対応していないので、64(= 26)個のデータを
    用意するように解析周波数を設定しています。時間ステップ幅が10 psで64個のデータがあるので、
    630 ps間の結果が得られます。
    「時間領域の設定」もご覧ください。