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共振解析におけるQ値
電磁波解析における共振解析ではMaxwell方程式をもとに共振モードとその共振周波数を求めます。また共振モード
のフィールド分布から共振器に蓄えられるエネルギーや消費電力が計算され、それをもとに共振器全体、誘電体、電極
それぞれのQ値が求められます。共振器全体のQ値については、以下のように計算されます。

図1: Q値の計算方法
ここでQeは電界から計算される電気エネルギーについての消費電力から求まるQ値、Qhは磁界から計算される磁気エネルギー
についての消費電力から求まるQ値です。Qjは電極など導体を流れる電流によるジュール損失から求まるQ値です。
- ジュール損失は単位時間あたりの損失エネルギーとして求まります(単位は[W])。そのためQ値を計算するときは
ジュール損失を共振周波数で除算することでエネルギー換算しています。
電磁波共振解析における結果テーブルでは図2のようにこれらのQ値について、誘電体のQ値、電極のQ値、全体のQ値として
結果表示されます。

図2:電磁波共振解析における結果テーブル
ここで誘電体のQ値とはボディごとに上記のQeとQhを考慮したQ値、電極のQ値はQjによるQ値、全体のQ値は図1で示される
共振器におけるすべてのボディのQe, Qh, Qjを考慮したQ値となります。
Q値における消費電力(電気エネルギー損失、磁気エネルギー損失、ジュール損失)やフィールド分布においては共振解析タブに
おける[Q値を高精度で計算する]が選択されているかどうかで計算方法が変わります(図3参照)。以下ではそれぞれの場合に
おいての計算方法を紹介します。

図3:共振解析タブでの設定
[Q値を高精度で計算する]がチェック無しの場合(デフォルト状態):
共振モードのフィールドを求める解析において、すべての材料に対して損失が無視されます。そのため誘電率や
透磁率のtanδは無視され、導体は全て完全導体として処理されます。電極など導体の内部は解析されません。
共振モードの共振周波数は実数として求まります。
この場合には電気エネルギー損失は誘電率のtanδと電気エネルギーの乗算により概算されます。磁気エネルギー
損失についても同様で透磁率のtanδから概算されます。ただし、解析で得られた電界フィールドはそのtanδを
無視した解析の結果であるため、この概算による電気エネルギー損失の計算は必ずしも正確とは言えません。
ジュール損失は解析で求まった導体上の磁界から導体のインピーダンスを基に概算されます。この概算についても
導体は完全導体(電界は0)とした解析結果によるものであるため、必ずしも正確ではありません。
しかし通常、損失は比較的小さく、そのような場合は損失を無視する解析で得られる結果は下記の高精度で計算
した結果との差がそれほど大きくありません。また高精度で計算する場合に比べて損失を無視する解析は解析時間
や消費メモリは削減されます。そのため、通常の損失が比較的に小さい場合は[Q値を高精度で計算する]にチェック
がない解析が有効になります。 また高精度で計算する場合にあるような共振周波数に当たりを付けるための解析は
必要ありません。
[Q値を高精度で計算する]がチェック有りの場合:
共振モードのフィールドを求める解析において誘電率や透磁率のtanδ、導体のインピーダンスが考慮され、電極や導体
の内部についても解析を行います。そのため共振モードや共振周波数は複素数として求まり、電界から計算される電気
エネルギーも複素数となります。この場合、共振器に蓄えられる定常的な電気エネルギーはフィールドから計算される電気
エネルギーの実部、電気エネルギー損失はその虚部として求まります。磁気エネルギーについても同様です。ジュール損失
については導体中の電界と導体のインピーダンスから求まります。
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虚部を持つ共振周波数については複素共振周波数をご覧ください。
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導体のインピーダンスを求めるときには参照周波数を使用しています。そのため、あらかじめ[Q値を高精度で計算する]
のチェックを外して解析を行うことで、共振周波数にあたりを付けておく必要があります。
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この場合は電気エネルギー損失や磁気エネルギー損失、ジュール損失がすべて考慮された解析の結果からQ値が計算
されるため、損失が小さくなくともQ値は精度高く求まります。しかし全てのフィールドを複素数としてもつことや導体内部の
解析も行うことから、[Q値を高精度で計算する]にチェックがない解析と比べて解析時間は長くなり消費メモリも大きくなります。


