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マルチグリッド法

1.概要

解析時間に連立1次方程式の占める割合が大きく、特に数万メッシュ以上になれば、この時間がほとんどです。

マルチグリッド法は連立1次方程式を高速に計算する手法であり、複数のメッシュを使用するところに特徴があります。

2.原理

連立1次方程式の古典的な反復解法にガウスザイデル法がありますが、この手法は誤差の高周波成分が

急速に減衰するという特徴があります。しかし、低周波成分の減衰が遅いので、単独では使い物になりませんが、

複数のメッシュを使用するMultiGrid法の登場で最新の数値解法として復活しました。すなわち、低周波成分は、

粗いメッシュから見れば高周波成分に見えるので、より粗いメッシュを使用して低周波成分を減衰させていき、

最も粗いメッシュで直接法を使用して正確に計算し、すべての誤差成分を除去します。

 

グリッド1

グリッド2

グリッド3

 

3.アルゴリズム

上はグリッド数を3に指定してメッシュ分割した例です。まず、指定したメッシュサイズでグリッド1のメッシュを作成します。

次に各メッシュを細分化してグリッド2を作成し、さらに細分化してグリッド3を作成します。

そして、グリッド3を計算するのにグリッド1とグリッド2を使用します。すなわち、グリッド3の誤差をグリッド2に写像して

低周波成分を減衰させ、さらにグリッド1に写像して直接法で正確に計算します。その結果をグリッド2、3へ戻します。

これが1サイクルですが、通常10~30サイクルで収束します。

 

なお、[モデル]タブの
 


 

から、[解析条件] をクリック、[高度な設定]タブを選択し、

 

[行列ソルバのタイプを[反復法]にチェックします。するとグリッド1の計算は

反復法が使用され、メモリ消費量はさらに少なくなります。

4.計算例

3次元音波解析で、連立一次方程式の解法として直接法を用いた場合と、マルチグリッド法を用いた場合で、計算時間を比較しました。

下図は要素数と計算時間の関係を示しています。要素数が多くなると直接法の計算時間が極端に長くなり、550万要素で2時間20分なのに

対して、マルチグリッド法は760万要素でもわずか18分です。この結果から、マルチグリッド法が有効であることがわかります。メッシュ数が多い場合に、有効なので、活用してください。

 ただし、いつでも効果があるわけではなく、また、場合によっては収束しない場合があるので、計算時間の長さが深刻な場合に試すとよいでしょう。

 

 

 

 

5.電磁波解析(Hertz)2次要素の場合

電磁波解析で2次要素を用いた場合に限り、上の説明とは異なった方法を採用しています。上で説明した方法は、粗いメッシュを使って近似解を

得ましたが、電磁波2次要素を用いた解析では、次数の低い要素を使って近似解を得ます。

この方法を言い換えると、1次要素の解を使って2次要素を解析するので、一種類のメッシュしか必要ありません。グリッド数を1に設定すると、

まさにこの方法で計算を行います。グリッド数を2とすれば、1次要素(粗いメッシュ)→1次要素(細かいメッシュ)→2次要素(細かいメッシュ) 

といった2段階のマルチグリッド法で解く事になります。

6.収束しない場合の対策

マルチグリッドが収束しない場合、または収束が遅い場合の対策として、以下のような方法が考えられます。

 対策1:メッシュサイズを小さくする。

 対策2:要素増加率を変更する。

 対策3:2次要素は1次要素に比べて収束が悪いので、1次要素を利用する。

 

参考文献

William L. Briggs, "A Multigrid Tutorial", SIAM