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流体解析の圧力
ここでは、Femtetの流体解析における圧力の考え方について説明します。
1. 流体解析で使用される圧力
流体解析で使用される圧力について説明します。
1.1 絶対圧力とゲージ圧力(相対圧力)
圧力は環境の圧力を基準とした相対的な圧力で表記します。
これをゲージ圧表記と呼びます。
密閉領域以外の解析では通常、自然流入、自然流出、自然流入/流出のいずれかの境界条件を設定します。
これらの設定箇所では環境(圧力 = 0[Pa])となりますので、解析領域内の圧力は、環境圧力を基準とした値となります。
環境の気圧として1気圧(101325[Pa])を想定していた場合で、自然流出境界(圧力 = 0 [Pa] )を設定している場合で、
解析結果が10[Pa]の場合、実際の圧力(絶対圧力)は、101325 + 10 = 101335 [Pa] となります。
なお、密閉領域の場合や、圧力を規定する境界条件が設定されていない場合には、圧力の基準が指定されていないため、領域内部の相対的な値が出力されます。
1.2 重力の影響を排除した補正圧力
Femtetでは、圧力は重力の影響を除外した補正圧力を使用しています。
ナビエ・ストークス方程式の圧力項と重力項は、基準密度を用いて補正圧力項と浮力項に分離することができます。
| 圧力項と重力項表記 | 補正圧力項と浮力項表記 |
![]() |
![]() |
|
第1項:圧力項 第2項:重力項 |
第1項:補正圧力項 第2項:浮力項 |
補正圧力は以下の式で定義されます。

p:圧力[Pa]
p':補正圧力[Pa]
ρ:密度[kg/m3]
ρref:基準密度[kg/m3]
g:重力加速度ベクトル[m/s2] Femtetでは、(0,0,-9.8)
x:座標[m] (x,y,z)
xref:基準座標[m] (xref,yref,zref)
「流体解析/熱流体解析で求解している微分方程式」では、分離後の式を扱っています。
基準密度の定義は、「流体解析/熱流体解析で求解している微分方程式」の4.外力項に記載されています。
このような分離を行うメリットとして、密度が基準密度で一定(浮力を考慮しない非圧縮性流体)の場合に、
・浮力項がゼロになるため、浮力項の考慮が不要になること
・圧力境界条件の設定が簡便になること
が挙げられます。
静止状態(重力項と圧力項が釣り合っている状態)を考えると、圧力項と重力項は以下の式で表されます。

これを満たす圧力は以下の式で表されます。

pref:z=zrefにおける圧力[Pa]
z座標が大きいほど圧力は小さくなり、「高い山の上では気圧が低く空気が薄い」「水深ほど水圧が高くなる」等、一般的に知られていることは、
この式から説明することができます。
一方、補正圧力項と浮力項のつり合いの状態は以下の式で表されます。

これを満たす補正圧力は以下の式で表されます。

pref':z=zrefにおける補正圧力[Pa]
補正圧力では、z座標によらず一定であることが分かります。
補正しない圧力で解析を行う場合、境界条件の圧力は、この高さによる傾斜を考慮して設定しなければならず、
設定が複雑になります。
これに対して、補正圧力で解析を行う場合、高さによる傾斜が発生せず、圧力の設定を一定値で設定することができるため、
設定が簡便になります。
ただし、基準密度ではない流体の流入/流出が想定される場合、注意が必要です。
以下のケースが該当します。
・熱流体解析で浮力を考慮する場合で、環境温度以外の温度の流入がある場合
・拡散解析で拡散物質の重さを考慮する場合で、環境値以外の拡散値の流入がある場合
・自由表面解析(VOF法)で重力を考慮する場合で、最も軽い相以外の相の流入がある場合
これらの場合、補正圧力での解析であっても、高さによる傾斜を考慮する必要があります。
Femtetでは、「流体解析詳細設定」で浮力と釣り合うように圧力条件を補正する」にチェック時、自動的に高さによる傾斜を補正して圧力を設定するようになっています。
基準高さzref = 0を仮定して補正した圧力が使用されます。
複数の圧力境界条件が存在する場合には、この補正により圧力に不整合が生じる可能性があります。




