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等方硬化と移動硬化

はじめに

弾塑性材料の硬化則には等方硬化と移動硬化の二種類があります。

それぞれ降伏条件の理論式が異なっており、荷重反転によって二回目の降伏が発生する

ケースではその挙動に差が発生します。

 

以下に等方硬化と移動硬化、それぞれの場合について降伏発生の挙動について示します。

等方硬化と移動硬化での偏差応力空間上の降伏面

下に等方硬化および移動硬化の場合の偏差応力空間と降伏面の関係を示しています。

 

偏差応力とは応力テンソルから平均応力成分を除去した応力テンソル量になります。

偏差応力のノルム(テンソルの大きさ)が降伏応力の2/3の平方根倍より小さい場合は弾性変形領域ですが、

偏差応力のノルム(テンソルの大きさ)が降伏応力の2/3の平方根倍に達した場合に降伏が発生します。

 

 

等方硬化の場合、一旦降伏がはじまってからさらに降伏が進展することで降伏応力が増加します。

これは上の図での降伏面の半径の増加に対応します。降伏面の中心は偏差応力空間の原点から動きません。

 

一方、移動硬化の場合、一旦降伏がはじまってからさらに降伏が進展することで偏差応力のノルムは増加しますが、

降伏面の半径が降伏の進展にともなって変化しません。ただし、降伏面の中心が原点からシフトします。

このシフトに相当する応力は背応力と呼ばれます。

等方硬化と移動硬化での応力反転のある場合のひずみと応力の関係

応力を徐々に印加して降伏が発生したあと、応力を徐々に反転させた場合の挙動を等方硬化の場合と

移動硬化の場合で比較します。

 

下図にひずみと応力の関係を示します。(縦軸の応力は上図における偏差応力のノルムの3/2の平方根倍に

相当します。ただし応力反転を正負で考慮しています。絶対値がミーゼス応力に一致します。)

 

 

上図において、まず弾塑性体に無応力の状態から応力を徐々に印加して降伏がある程度進展した状態にしています。

(状態①)

 

その状態から応力を少しずつ弱めてさらに反転させています。この間、降伏条件から外れる(偏差応力が降伏面の内部

に入っている)ため弾性変形が進みます。(状態②)

 

応力反転がある程度進むと、偏差応力が降伏面の反対側の面に達することで再度降伏が発生します。(状態③)

 

等方硬化では降伏面の中心は原点固定で半径のみ降伏の進展に応じて変化しますので、応力反転後のミーゼス

相当応力が状態①のミーゼス相当応力に等しくなった時点で再度の降伏がスタートします。よって1回目の降伏の

最後のミーゼス相当応力と2回目の降伏の始まる際のミーゼス相当応力が一致します。

 

移動硬化では降伏面の中心は降伏の進展に応じて移動し、降伏面の半径は一定であるため、等方硬化の場合

に比べてミーゼス相当応力が小さい段階で2回目の降伏がスタートします。よって1回目の降伏の最後のミーゼス相当応力

よりも2回目の降伏の始まるミーゼス相当応力が小さくなります。これはバウシンガー効果と呼ばれています。

 

よって、繰り返し荷重のある弾塑性変形では等方硬化よりも移動硬化の場合の方がより降伏が進展するため、

累積相当塑性ひずみのが大きくなる傾向にあります。

 

(注)弾塑性解析は特別オプション機能です。