例題1

IPMモータの熱解析

本例題について

  • IPMモータ(Interior Permanent Magnet Motor)の通電時の温度とトルク特性の解析例を示します。
    ロータの内部に磁石を埋め込んだ構造をもつ、永久磁石式同期モータです。

  • 外部回路連成解析機能を利用します。

  • コア部分は電磁鋼板の積層構造を模擬するため、均質化法を利用します。

  • 磁場を短い計算時間で定常状態にするため、定常場高速解析を利用します。

  • 温度、トルク、磁束密度などを解析結果として見ることができます。

  • 表に記載されていない条件は初期設定の条件を使用します。

解析条件

項目

条件

ソルバ

磁場解析[Luvens]

熱伝導解析[Watt]

解析の種類

磁場解析:   過渡解析

熱伝導解析: 定常解析

単位

mm

解析オプション

外部回路連成をチェック

回転機をチェック

 

[換算]

モデルの厚み:30×10-3[m]

部分モデルをチェック

分割数:4

[外部回路入出力値換算]

換算するをチェック

直列数:2

並列数:2

結果をフルモデルに換算して出力をチェック

 

回転機タブの設定を以下のように行っています。

タブ設定

設定項目

条件

回転機

回転移動

速度一定にチェック

回転数:1800[r/min]

ロータの初期回転位置:0[deg]

スライドメッシュの分割数

周方向メッシュ分割角度:1.0[deg]

1ステップ当たりの回転量:1[メッシュ]

スライドメッシュ層数:3

 

外部回路図は以下の通りです。

60[Hz]の三相交流電圧を印加しています。

 

メッシュタブを以下のように設定しています。

タブ設定

設定項目

条件

メッシュ

メッシュ設定

標準メッシュサイズを自動的に決定する:OFF

標準メッシュサイズ:4[mm]

空気領域自動作成

空気領域を自動作成するにチェック

空気領域のスケール:1.2

 

過渡解析タブを以下のように設定しています。

ステップ数が450で、周方向メッシュ分割角度が1.0[deg]、1ステップ当たりの回転量が1[メッシュ]ですので、450*1.0*1=450度まで回転させる解析となります。

ステップ数は、磁場が定常場に収束するまでのステップとしています。

タブ設定

設定項目

条件

過渡解析

時間ステップ

自動

No.

ステップ数

出力間隔

1

450

1

 

 

磁場を短い計算時間で定常状態にするため、定常場高速解析タブを以下のように設定しています。

タブ設定

設定項目

条件

定常場高速解析

補正方法

3相交流簡易TP-EEC法

外部回路図上のコイル名

Uコイル:Circuit_Coil1

Vコイル:Circuit_Coil2

Wコイル:Circuit_Coil3

モデル図

中央にロータであるロータコアと磁石があり、周囲にステータコアとコイルを配置した構成となっています。

3次元モデルでの解析です。対称性を利用し、1/4の周期対称モデルとしています。

半周期の回転周期境界(Symmetry)を設定しています。

空気領域は自動作成に設定しています。

シャフト部とステータとロータのギャップ部には断熱の境界条件を設定しています。

ボディ属性および材料の設定

ボディ No./ボディタイプ

ボディ属性名

材料名

28/Solid

coil_1

Cu

34/Solid

coil_2

Cu

35/Solid

coil_3

Cu

36/Solid

coil_4

Cu

37/Solid

coil_5

Cu

38/Solid

coil_6

Cu

55/Solid

mag

mag

45/Solid

stator_core

core

47/Solid

rotor_core

core

 

ボディ属性は以下のように設定しています。

コア部分は積層鋼板を模擬するため、均質化法を利用する設定(積層タブ)としています。

ボディ属性名

タブ

設定

coil_1

電流

波形:外部回路連成

回路上のコイル名:Circuit_Coil1

巻数:35[Turn]

方向:流入出面指定

ステータ/ロータ/空気

ステータ

coil_2

電流

波形:外部回路連成

回路上のコイル名:Circuit_Coil1

巻数:35[Turn]

方向:流入出面指定

ステータ/ロータ/空気

ステータ

coil_3

電流

波形:外部回路連成

回路上のコイル名:Circuit_Coil2

巻数:35[Turn]

方向:流入出面指定

ステータ/ロータ/空気

ステータ

coil_4

電流

波形:外部回路連成

回路上のコイル名:Circuit_Coil2

巻数:35[Turn]

方向:流入出面指定

ステータ/ロータ/空気

ステータ

coil_l5

電流

波形:外部回路連成

回路上のコイル名:Circuit_Coil3

巻数:35[Turn]

方向:流入出面指定

ステータ/ロータ/空気

ステータ

coil_6

電流

波形:外部回路連成

回路上のコイル名:Circuit_Coil3

巻数:35[Turn]

方向:流入出面指定

ステータ/ロータ/空気

ステータ

mag

方向

ベクトル:X=1, Y=1, Z=0

ステータ/ロータ/空気

ロータ

rotor_core

積層

積層を考慮するにチェック

占積率:97[%]

積層方向ベクトル:X=0, Y=0, Z=1

ステータ/ロータ/空気

ロータ

stator_core

積層

積層を考慮するにチェック

占積率:97[%]

積層方向ベクトル:X=0, Y=0, Z=1

ステータ/ロータ/空気

ステータ

 

材料定数は以下のように設定しています。

材料名

タブ

定数

Cu

導電率

導体の種類:導体

導電率:5.977×107[S/m]

熱伝導率

熱伝導率:398[W/m/deg]

mag

透磁率

材料タイプ:永久磁石

磁石

磁化特性タイプ:線形

磁化の強さ:1.25[T]

比透磁率:1.05

熱伝導率

熱伝導率:1[W/m/deg]

core

導電率

導体の種類:導体

導電率:1.7×106[S/m]

透磁率

磁化特性タイプ:B-Hカーブをチェック

 

B-Hカーブテーブル

磁界[A/m]

磁束密度[T]

0 0
58 0.42
90 0.8
180 1.19
380 1.37
1100 1.48
2000 1.55
3000 1.608
11000 1.81
20000 1.91

熱伝導率

熱伝導率:10[W/m/deg]

境界条件

外部境界条件(熱解析ではモータの周囲に付与される)に自然対流(係数自動計算)を設定しています。

半周期の周期対称境界を設定しています。

シャフト部とステータとロータのギャップ部には断熱の境界条件を設定しています。

境界条件名/トポロジ

タブ

境界条件の種類

条件

外部境界条件※

放熱・環境輻射

自然対流(係数自動計算)

室温: 25 [deg]

shaft

断熱

 

rotor

断熱

 

stator

断熱

 

Symmetry

対称/不連続

周期的

回転周期(半周期)

 

※外部境界条件は[モデル]タブの
 


 

[外部境界条件] をクリックして設定できます。

解析結果

ステップ数が450の時の磁束密度分布を示します。

 

時刻-トルク特性を示します。

最初は過渡状態で、20[ms]程度で定常状態になっています。

0.5[N・m]程度のトルクが得られているのが分かります。

 

ステータの温度分布を示します。

定常状態で100[deg]程度になっているのが分かります。

 

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