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ニュートン・ラプソン法と応力解析の収束判定

反復計算が必要な解析

下記3つのいづれかである場合、時間領域をステップ分割して、変位増分を逐次計算します。

静解析で非線形解析の条件を満たしている場合の解析

・静解析の複数ステップ解析/多段階熱荷重解析

過渡解析

 

増分解析では、以下の行列方程式を使用します。

 


非線形解析の条件は以下の3つのいづれかを含む場合です。

 

大変形(幾何学的非線形)の解析

非線形材料の解析

接触解析

非線形解析では、接線剛性行列、荷重ベクトル、内力ベクトルが増分解析前後で一定ではないため、
1回の計算では変位ベクトル増分を求めることはできません。
実際には、上記行列方程式を複数回反復して、正しい変位ベクトル増分に近づけていきます。
この反復計算手法をニュートン・ラプソン法と呼びます。

 

逆に、静解析複数ステップ解析/多段階熱荷重解析や過渡解析において、上記の非線形解析の条件を含まない場合は、
反復計算は必要ありません。接触解析の場合でも、接触状態に変化がない場合も反復計算は必要ありません。

ニュートン・ラプソン法

ニュートン・ラプソン法では、反復回数を添え字iとして、
以下のように書き換えて繰り返し計算を行います。

 

 

ニュートン・ラプソン法のイメージ図を以下に示します。

説明のため、{f}は一定としています。

水色の線が荷重ベクトル{f}、赤色の線が内力ベクトル{Q}を示します。

{f}と{Q}が交わるときの変位増分{Δu}が正しい解となります。

 

この{Δu}を求めるために、[K0]、{f}、{Q0}から、Δu1}を求め、新しい変位{u1}が求まります。

新しい変位{u1}におけるひずみ、応力を計算することにより、{Q1}、{K1}、を求めることができます。

次の反復では、{K1}、{f}、{Q1}を用いて、{Δu2}、及び、{u2}を求めることができます。

これを繰り返していくことにより、真の解{Δu}に近づけていきます。

 

 

以下の図は、反復回数とともに真の解{Δu}に近づいていく様子を示しています。横軸は反復回数です。

求めた{u}が解{Δu}に漸近することを前提に、真の解に到達したかどうかを、
1回の反復当たりの増分{Δui} = {ui} - {ui-1} が十分に小さい値になったかどうかで判定します。
これを収束判定と言います。

 

応力解析における収束判定

応力解析では、主に二つの量を用いて収束判定を行います。

 

①1回の反復当たりの変位増分の二乗和(絶対誤差)

②現在の絶対誤差と1回目の反復で求めた絶対誤差の比(相対誤差)

 

 

Nabs_i 反復回数i回目のときの絶対誤差

Nrel_i 反復回数i回目のときの相対誤差

AbsTol 収束判定(相対誤差)

RelTol 収束判定(絶対誤差)

 

相対誤差が収束判定(相対誤差)RelTolを下回った場合、もしくは、
絶対誤差が収束判定(絶対誤差)AbsTolを下回った場合に収束判定として計算を続行します。

 

収束判定基準は高度な設定タブで自由に設定することができます。

 

また、非線形材料を用いた解析では、変位の値が収束していても、ひずみや応力が収束しないケースが
あります。こういった現象を避けるために、以下の二つの基準を追加することができます。

 

③1回の反復当たりの相当非弾性ひずみ増分の二乗和(絶対誤差)

④現在の絶対誤差と現在の反復までの相当非弾性ひずみ増分を加算した値の比(相対誤差)

 

Nenei      反復回数i回目のときの絶対誤差

Nenerel_i 反復回数i回目のときの相対誤差

 

変位同様に収束判定(絶対誤差)、収束判定(相対誤差)を使用しますが、変位より優先度が低いため、
平方根をとった値を使用して収束判定を行います。

デフォルトでは、非線形材料使用時iには上記の二つの基準が考慮されるようになっています。

考慮したくない場合は、高度な設定タブで解除することができます。


加速/減速係数

以下に相対誤差変化の例をいくつか示します。

 

 

 

通常は、Case.1のように、誤差が単調減少していき、収束判定基準を下回り、収束します。

 

収束しにくい例の一つとして、Case.2のように、初期は誤差が減少していくが、ある反復回数以降で
減少が止まってしまう場合があります。こういったケースでは、1回の反復当たりの変位増分{Δui}が大きすぎて、真の解を飛び越えてしまい、
収束しなくなっている可能性があります。こういったケースでは、変位増分に1以下の補正係数をかけて、
移動量を制限することで、収束させることができます。この補正係数のことを減速係数と呼びます。

 

Case.3のように、誤差は単調減少するが、減少量が小さく、収束までの時間がかかる場合は、
1回の反復当たりの変位増分{Δui}が小さすぎて、収束までに時間がかかっている可能性があります。
こういったケースでは、変位増分に1以上の補正係数をかけて、移動量を大きくすることで、より早く収束に向かわせることができます。
この補正係数のことを加速係数と呼びます。

 

減速/加速係数は、高度な設定タブから設定することができます。

数値で直接設定する場合、すべての反復で減速/加速係数の補正が働くことから、減速することで収束に時間がかかったり、
加速することで収束しなくなったりなどの弊害が生じる場合があります。

 

これらの弊害をさけるため、誤差の変化から、必要な場合のみ、自動的に加速/減速係数を算出して、加速/減速を行うオプションを用意しています。
デフォルトではこの自動加速/減速補正が行われるようになっています。
考慮したくない場合は、高度な設定タブで解除することができます。

 

自動加速/減速補正の効果を、例題40 弾塑性マルチリニア材料の変形解析でテストした結果を示します。

 

自動加速/減速未使用の場合のトータル反復回数:277回、

自動加速/減速を仕様した場合のトータル反復回数:142回

 

となり、収束回数が少なくなていることが分かります。

最終ステップの相対誤差変化を比較した結果を示します。自動加速を使用しない場合、はCase.3のようになだらかに収束に近づいていきますが、
自動加速/減速を使用した場合、減少の仕方は単調減少ではありませんが、より早く相対誤差が減少している様子が分かります。