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粘弾性材料測定データの変換

粘弾性材料測定データ

粘弾性材料特性を測定する方法として、
静的な測定(一定ひずみ下で応力緩和を測定する、もしくは、一定応力下でクリープひずみを測定する)と、
動的な測定(周期的なひずみを与えて応力の応答を測定する、もしくは、周期的な応力を与えてひずみの応答を測定する)があります。
静的な測定では、緩和弾性率が、動的な測定では複素弾性率が測定データとして出力されます。

 

粘弾性材料特性を測定する方法としては、動的な測定が一般的であり、より広い領域の周波数帯での材料特性を得るため、
周波数だけでなく温度も変化させて測定する方法が用いられています。

ある粘弾性材料の動的測定結果を以下に示します。
測定温度:25~250[deg]まで、5[deg]刻み

測定周波数:1、2、5、10、25[Hz]

⇒詳細データはcsvファイルViscoelast_Mat.csvを参照してください。

 

周波数を横軸にとって、各温度の周波数依存性をグラフ化したものを示します。

 

今度は、温度を横軸にとって、各測定周波数の温度依存性をグラフ化したものを示します。

 

 

Femtetでは、このようにして測定した測定データを材料定数データとして入力することができます。

入力データは、自動的に粘弾性の材料定数:シフト関数とプロニー級数に変換され、解析に使用されます。

以下では、自動化した変換の処理について説明します。

複数の温度で測定した周波数特性からマスターカーブへの変換

時間-温度換算則の考え方を用いると、温度の上昇は、周波数の低下に換算することができます。
周波数を横軸にとったグラフについて、初期温度を基準に次の温度データをデータが重なるように低周波側へシフトさせることを繰り返し、
一本のデータに繋げていくと以下のようなマスターカーブが作成されます。
Femtetでは、最適化計算を使用しているため、精度良くマスターカーブを作成することができます。

 

また、初期温度を基準とした低周波側へのシフト量を温度ごとにプロットすると、シフト関数となります。

任意温度を基準温度として、マスターカーブを作成することも可能です。
初期温度基準で作成したマスターカーブをシフトすることで作成することができます。

シフト量は、初期温度基準で算出したシフト関数から読み取ります。
例えば、100℃を基準温度にする場合、シフト関数の値が-8程度であるため、8桁高周波側にシフトします。

 

 

基準温度が100℃になったため、シフト関数も100℃が0になるように、変更になります。

 

このように、基準温度を変えると、マスターカーブ、シフト関数は全く異なる数値データになりますが、
同じ材料特性を示すものであるため、どちらのデータで解析を行っても同じ結果が得られます。
Femtetでは、任意の基準温度でマスターカーブを作成することが可能です。

マスターカーブ周波数特性からプロニー級数への変換

上記方法で、複数の温度データから算出したマスターカーブ周波数特性、あるいは、
周波数特性入力で入力した周波数特性データをプロニー級数へ変換します。

 

まず、プロニー級数と緩和弾性率と複素弾性率の関係を図に示します。

 


複素弾性率から緩和弾性率への変換は、以下の二宮-Ferryの式を用いることで換算可能です。

 

複素弾性率
緩和弾性率


プロニー級数から複素弾性率や緩和弾性率は、粘弾性材料の応力解析で示しているように計算式で求めることができます。

逆に、マスターカーブや緩和弾性率からプロニー級数を求める計算式はないため、
プロニー級数の成分を少しずつ変えながら、マスターカーブや緩和弾性率に近づけていく、最適化計算が必要となります。
Femtetでは、最適化計算により、初期弾性率とプロニー級数を求めます。

最適化計算によって求めた初期弾性率とプロニー級数を用いて算出したマスターカーブと緩和弾性率を、
大元のマスターカーブ、それから近似式で求めた緩和弾性率とを比較した結果を示します。
よく一致していることが確認でき、プロニー級数がマスターカーブと緩和弾性率をよく再現できる値になっていることが分かります。

 

 

最適化のパラメータとして、何個のマクスウェル要素を用いてプロニー級数を算出するかを決める、周波数1桁当りの要素数と、
損失弾性率を重視するウェイトの二つのパラメータがあります。

 

粘弾性解析では、マクスウェル要素の数が多いほど多くのメモリを消費するため、
大規模な解析でメモリ使用量が多いときは、最適化の精度を落として、メモリ使用量を減らして解析することが可能となります。

 

損失弾性率を重視するウェイトは、貯蔵弾性率はよく最適化出来ているが、
損失弾性率の最適化がうまくいっていない場合で、損失弾性率の最適化を重視したい場合に調整するパラメータになります。

静解析で粘弾性材料を使用する場合は、二宮フェリーの式の緩和弾性率とよく一致していることが重要であり、
貯蔵弾性率を最適化することで同時に二宮フェリーの式の緩和弾性率も最適化されるため、
通常はデフォルトの0のままで問題ありません。

 

緩和弾性率データからプロニー級数への変換

静的な測定(一定ひずみ下で応力緩和を測定する、もしくは、一定応力下でクリープひずみを測定する)により得られた緩和弾性率の時間依存性のデータも、
プロニー級数に変換することが可能です。

こちらも最適化計算が必要であり、最適化のパラメータとして、何個のマクスウェル要素を用いてプロニー級数を算出するかを決める、時刻1桁当りの要素数を使用します。