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例題31 熱回路網モデル(DELPHIモデル)を用いた放熱解析


本例題について

  • 本例題では、詳細モデル(IC+基板+モールドの簡易モデル)から熱回路網モデル(DELPHIモデル)を作成し、解析します。

  • 熱回路網モデルの作成には、ムラタソフトウェア株式会社 事例41「Femtetマクロを利用したDELPHIモデルの導出」
    (https://www.muratasoftware.com/products/case/wat009/)で提供されているマクロを使用します。

  • さらに、作成した熱回路網モデルの基板側にヒートシンクの3Dモデルを接合させた熱伝導解析、熱流体解析を行います。
     

  • 表に記載されていない条件はデフォルトの条件を使用します。

  • Femtetのバージョンや環境により結果が多少ことなります。

解析モデルダウンロード

  • プロジェクトファイルをダウンロード(右クリックし、名前を付けてリンク先を保存してください。)

解析空間

項目

条件

解析空間

3次元

モデル単位

mm

 

解析条件

①詳細モデル (解析モデル名:DetailedModel)

②熱回路網モデル (解析モデル名:DELPHI_Model)

③熱回路網モデル+ヒートシンク接合モデル (解析モデル名:DELPHI_Model + Heatsink)

項目

条件

ソルバ

熱伝導解析[Watt]

解析の種類

定常解析

解析オプション

なし

メッシュサイズ

0.3[mm]

 

④熱回路網モデル+ヒートシンク接合モデル 熱流体解析 (解析モデル名:DELPHI_Model + Heatsink Fluid)

項目

条件

ソルバ

熱伝導解析[Watt]、流体解析[Bernoulli]

解析の種類

定常解析

解析オプション

浮力

外部流れ

流体領域自動作成

メッシュサイズ

0.3[mm]

 

モデル図

①詳細モデル (解析モデル名:DetailedModel)

IC、基板(Board)と発熱体(Mold)をそれぞれ直方体のソリッドボディで定義し、発熱体ICにはボディ属性で発熱量を設定しています。

表面にTop_inner, Top_outer, Sides, Bottom_inner, Bottom_outerという5つの境界条件を設定し、熱回路網モデルのノードを模擬しています。

各境界条件には熱伝達係数25[W/m2/deg] を指定しています。

 

 

 

②熱回路網モデル (解析モデル名:DELPHI_Model)

詳細モデルと同じ大きさの直方体モデルを準備し、面分割により上面と底面に面を刻みます。

直方体モデルをThermalNetworkModelというボディ属性で定義し、詳細モデルと同様に各面に5つの境界条件を設定します。

 

③熱回路網モデル+ヒートシンク接合モデル (解析モデル名:DELPHI_Model + Heatsink)

②で作成した熱回路網モデルにヒートシンクの3Dモデルを接合したモデルです。

 

④熱回路網モデル+ヒートシンク接合モデル 熱流体解析 (解析モデル名:DELPHI_Model + Heatsink Fluid)

③のモデルを熱流体解析で計算したモデルです。流体領域は、解析条件の流体領域自動作成オプションにチェックを入れることで自動作成されます。

ボディ属性および材料の設定

ボディタイプ

ボディ属性名

材料名

Solid

IC

Si

Solid

Mold

Mat_Mold

Solid

Board

Mat_Board

Solid

ThermalNetworkComponet

Mat_Board ※1

Solid

Heatsink

Al ※2

※1 熱回路網モデルの材料定数は計算に使用しないため、何を使っても問題ありません

※2 材料データベースを利用

 

 

ボディ属性タブでの追加設定は以下になります。

ボディ属性名

タブ

設定

IC

発熱量

1[W]

ThermalNetworkComponet

熱回路網モデル

内部ノード設定

IC: 1[W]

 

抵抗値設定

解析結果を参照ください。

境界条件

①詳細モデル (解析モデル名:DetailedModel)

②熱回路網モデル (解析モデル名:DELPHI_Model)

全ての面に対し、熱伝達係数 25 [W/m2/deg] を指定します。

 

境界条件名

タブ

境界条件の種類

条件

Top_inner, Top_outer, Sides, Bottom_inner, Bottom_outer

熱伝達・対流

熱伝達係数: 25 [W/m2/deg]

室温: 25 [deg]

 

③熱回路網モデル+ヒートシンク接合モデル (解析モデル名:DELPHI_Model + Heatsink)

ヒートシンクと熱回路網モデルの接合面であるBottom_innerは「測定端子・熱回路外部ノード」境界条件を、その他の面は熱伝達係数 25 [W/m2/deg] を指定します。

Top_inner, Top_outer, Sides, Bottom_outerも熱回路網モデルの外部ノードですが、熱境界を与えたい場合は、その熱境界を設定します。

Bottom_innerのような、熱境界を与えない外部ノードの場合、「測定端子・熱回路外部ノード」境界条件を適用します。(詳細はテクニカルノート>熱回路網モデルについてを参照ください。)

ヒートシンク表面は外部境界条件が適用されます。

 

境界条件名

タブ

境界条件の種類

条件

Bottom_inner

測定端子・熱回路外部ノード

 

Top_inner, Top_outer, Sides, Bottom_outer, 外部境界条件

熱伝達・対流

熱伝達係数: 25 [W/m2/deg]

室温: 25 [deg]

 

④熱回路網モデル+ヒートシンク接合モデル 熱流体解析 (解析モデル名:DELPHI_Model + Heatsink Fluid)

ヒートシンクと熱回路網モデルの接合面であるBottom_innerは「測定端子・熱回路外部ノード」境界条件を、その他の面は熱伝達係数 25 [W/m2/deg] を指定します。

流体との界面には熱境界条件は設定しないため、Top_inner, Top_outer, Sides, Bottom_outer, Bottom_innerに、「測定端子・熱回路外部ノード」境界条件を適用します。(詳細はテクニカルノート>熱回路網モデルについてを参照ください。)

ヒートシンク表面は外部境界条件が適用されます。

 

境界条件名

タブ

境界条件の種類

条件

Top_inner, Top_outer, Sides, Bottom_inner, Bottom_outer

測定端子・熱回路外部ノード

 

 

解析結果

ムラタソフトウェア株式会社 事例41「Femtetマクロを利用したDELPHIモデルの導出」(https://www.muratasoftware.com/products/case/wat009/)で提供されているマクロを用い、

詳細モデルから熱回路網(DELPHI)モデル情報を取得します。

本例題では、「実行シート」タブの境界条件セットを1セットのみ(Top_inner, Top_outer, Sides, Bottom_inner, Bottom_outer全て25 [W/m2/deg] )としてDELPHIモデルを作成しました。

マクロのExecute Allボタンを押すと計算が実行され、「DELPHIモデル熱抵抗」タブ、「モデル評価」タブに結果が表示されます。

 

「DELPHIモデル熱抵抗」タブ 熱抵抗(K/W)

  IC Top_inner Bottom_inner Sides Top_outer Bottom_outer
IC

12.88364068

145.4898931

2157479.357

136.7477651

408.2638222

Top_inner

sym

1E+12

1E+12

1454.280725

1E+12

Bottom_inner

sym

sym

1E+12

4359.860668

974.0340491

Sides

sym

sym

sym

173.0146664

402.8651498

Top_outer

sym

sym

sym

sym

56.44448576

Bottom_outer

sym

sym

sym

sym

sym

 

「モデル評価」タブ 温度結果[deg]

  IC Top_inner Bottom_inner Sides Top_outer Bottom_outer
Detailed Model

249.72792532543

247.921488257655

228.089580671191

154.434796690167

179.343530034228

173.248554438818

DELPHI Model

250.767836010127

248.996691339616

228.912521268167

154.06786507139

179.37489577453

173.117731534893

 

 

以下にFemtetモデルの解析結果を示します。

 

①詳細モデル (解析モデル名:DetailedModel)

 

温度結果を示します。詳細モデルで計算すると、各境界条件面に温度勾配ができていることがわかります。

熱回路網モデル(DELPHIモデル)では、これらの温度勾配を考慮せず、一点の代表温度として評価します。

また、各境界条件上で平均値をとると、マクロの「モデル評価」タブ 温度結果[deg]と概ね同じ結果が得られます。

 

②熱回路網モデル (解析モデル名:DELPHI_Model)

 

マクロで計算した「DELPHIモデル熱抵抗」タブ 熱抵抗(K/W)の結果を、ThermalNetworkModelボディ属性の熱回路網モデルタブ>熱抵抗設定で設定します。

マクロの計算結果をCSV形式で保存すれば、インポートボタンよりそのまま取り込むことができます。詳細はボディ属性>熱回路網モデルタブを参照ください。

 

熱回路網モデルの計算結果については、テーブルの熱回路網モデル情報から確認することができます。

熱回路網モデルでは、①詳細モデルの各境界条件の温度を外部ノード一点として評価しています。

 

テーブルの結果を見ると、内部ノード、各境界条件(外部ノード)の温度が表示されており、外部ノードの結果は詳細モデル上の境界条件面上の温度を平均した値と非常に近い値になります。

また、マクロで計算した「モデル評価」タブ 温度結果[deg]と同じ温度結果が得られていることがわかります。

 

 

③熱回路網モデル+ヒートシンク接合モデル (解析モデル名:DELPHI_Model + Heatsink)

 

熱回路網モデル情報とヒートシンクの温度結果を表示します。

コンターを表示すると、熱回路網モデルは表示されず、ヒートシンクの計算結果が表示されます。

 

Bottom_innerの温度約122.28℃とヒートシンク上面の温度がほぼ同じ温度になっており、そこからヒートシンク内部に温度勾配ができていることがわかります。

また、②のテーブル結果と比較すると、Bottom_innerを通過する熱流量の絶対値が大きくなっており(-0.08→-0.39)、ヒートシンクをつけたことでBottom_innerからの放熱性能が向上していることがわかります。

ただし、ヒートシンク全面に熱伝達係数25 [W/m2/deg]が適用されており、Bottom_innerの温度が②より約100℃低下するというかなり過剰な放熱となっています。

 

 

④熱回路網モデル+ヒートシンク接合モデル 熱流体解析 (解析モデル名:DELPHI_Model + Heatsink Fluid)

 

熱回路網モデル情報とヒートシンク、流体部の温度結果と流速分布を表示します。

 

 

 

Bottom_innerの温度が②より少し低い程度の温度になっており、ヒートシンクの放熱現象を③より精度よく解析できていることがわかります。