応力静解析
応力静解析は、単一ステップ解析と複数ステップ解析に対応しています。
ここでは、単一ステップ解析、複数ステップ解析について説明します。
1.単一ステップ解析
単一ステップの解析は、解析条件によって、線形解析と非線形解析の二つを手法を使用します。
非線形解析の場合、徐荷ステップを追加した徐荷解析も行うことができます。
それぞれの解析は、温度が基準温度から到達温度に変化したときの挙動を計算する熱荷重解析にも対応しています。
1.1 非線形解析
非線形解析の条件は以下の3つのいづれかを含む場合です。
②非線形材料の解析(単一ステップ解析の場合、クリープ材料、粘弾性材料は解析不可)
③接触解析
現在の設定状態が非線形解析に該当するかどうかは、ステップ/熱荷重タブの非線形設定状態で確認することができます。

線形解析では、1回の計算で解を求めることができますが、非線形解析の場合、一つのステップを複数のステップに分割して解析します。
一つのステップを複数のステップに分割して解析することにより、計算結果の精度、収束性を向上させます。
機械的荷重、強制変位の場合、徐々に荷重を増加させ、最後の分割ステップで指定した荷重(強制変位)になるように荷重を変化させます。
熱荷重の場合、基準温度から徐々に到達温度に向かって温度を変化させ、最後の分割ステップで到達温度になるように温度を変化させます。
分割ステップ数の初期値は20となっていますが、ステップ/熱荷重タブで変更することが出来ます。⇒分割ステップ設定ダイアログ
ステップ/熱荷重タブの、非線形設定状態:非線形設定ありの場合にのみ設定可能です。
分割ステップを変更する場合、非線形解析の設定を行ってから変更してください。
1.2 徐荷解析(徐荷ステップの追加)
非線形解析の場合、徐荷ステップを追加した解析を行うことができます。
ステップ2として、機械的荷重、強制変位、熱荷重に対して以下のような設定を自動的に行います。
機械的荷重の場合、到達した荷重から徐々に荷重を減少させ、最後の分割ステップでゼロになるように荷重を変化させます。
強制変位の場合、徐荷ステップの最初のステップで境界条件を無くし、荷重が発生しないようにします。
熱荷重の場合、到達温度から徐々に基準温度に向かって温度を変化させ、最後の分割ステップで基準温度になるように温度を変化させます。
徐荷解析を行った具体的な事例としては
を参照してください。
1.3 熱荷重解析
単一ステップ解析では、温度が基準温度から到達温度に変化したときの挙動を計算する熱荷重解析を行うことができます。
ステップ/熱荷重タブで基準温度(無応力温度)と到達温度を設定します。⇒熱荷重設定ダイアログ
非線形解析の場合、基準温度から徐々に到達温度に向かって温度を変化させ、最後の分割ステップで到達温度になるように温度を変化させます。
徐荷解析の徐荷ステップでは、到達温度から徐々に基準温度に向かって温度を変化させ、最後の分割ステップで基準温度になるように温度を変化させます。
1.4 単一ステップの荷重状態
線形解析、非線形解析、徐荷解析の荷重状態を以下に図示します。
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分類 |
単一ステップ 線形解析 |
単一ステップ 非線形解析 分割ステップ:5 |
単一ステップ+徐荷ステップ 徐荷解析 分割ステップ:5 |
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f:機械的荷重 |
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u:強制変位 |
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熱荷重 T0:基準温度、T:到達温度 |
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1.4 時刻設定によるクリープ解析、粘弾性解析
ステップ/熱荷重タブで、時刻設定「設定する」を選択することで、各ステップに対して、時刻を設定することができます。⇒時刻設定ダイアログ
時刻を設定することにより、クリープ材料、粘弾性材料のクリープ変形、応力緩和の解析が可能になります。
クリープ解析については、「クリープ材料の応力解析」を参照してください。
粘弾性解析については、「粘弾性材料の応力解析」を参照してください。
(注)クリープ解析、粘弾性解析は特別オプション機能です。
クリープ材料、粘弾性材料を使用していない場合、解析結果は時刻を設定しない場合と同じになります。
2.複数ステップ解析
2.1 複数ステップ解析でできること
複数ステップの解析では、以下の解析が可能です。
・境界条件が時間とともに複雑に変化する解析
・到達温度が段階的に変化する多段階熱荷重解析
・時刻により状態が変化するクリープ材料、粘弾性材料の解析
・ステップの途中で、ボディのバース(誕生)、ボディのデス(消滅)が発生する解析
・ステップの途中で、材料切替が発生する解析
また、複数ステップでは、線形解析/非線形解析の区別はありません。
非線形解析にも対応しています。
2.2 機械的荷重、強制変位の時間変化
複数ステップ解析では、任意のタイミングで荷重を発生させたり、荷重を解除したり、荷重を変化させたりといった解析が可能になります。
2.2.1 設定方法
通常(値のみ設定した場合)は、1ステップ目までに指定の荷重値まで増加し、2ステップ目以降は一定値となります。
これに対して、以下の3つの設定により、様々なバリエーションの荷重を印加することができます。
①境界条件機械タブでON/OFF設定⇒ON/OFF設定ダイアログ
任意のタイミングで荷重を発生、解除したりすることができます。
機械的荷重の場合、OFFステップの前のステップの荷重から徐々に荷重を減少させ、最後の分割ステップでゼロになるように荷重を変化させます。
強制変位の場合、OFFステップの最初の分割ステップで境界条件を無くし、荷重が発生しないようにします。
②解析条件ステップ/熱荷重タブで「機械的荷重、強制変位を最終ステップで反映させる」にチェック⇒最終ステップ反映ダイアログ
すべての機械的荷重、強制変位について、最終ステップの直前までON、最終ステップでOFFの設定を与えます。
このオプションにより、境界条件以外の荷重(加速度、角速度、電場との連成による電歪、静電力、磁場との連成による電磁力)の
印加のタイミングも変更することができます。
後述する多段階熱荷重解析の後に機械的荷重を加える場合に便利です。
③境界条件機械タブで重み関数設定⇒重み関数設定ダイアログ
[ステップ_重み]曲線(時刻を設定して解析する場合、[時刻_重み]曲線)の設定を行うことにより、荷重、強制変位に任意の時間依存性を持たせることができます。
設定した値に、各ステップ(時刻)に設定した重みをかけた値がそのステップ(時刻)における値となります。
重み関数や境界条件ON/OFF機能を用いた具体的な事例としては
「例題58 境界条件ON/OFF機能を用いたスプリングバック解析」
を参照ください。
2.2.2 各設定方法による荷重状態
各設定方法による機械的荷重、強制変位の変化を以下に図示します。
(ステップ1~ステップ3に、分割ステップ:3を設定した例)
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設定 |
f:機械的荷重 |
u:強制変位 |
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値のみ |
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ON/OFF設定 例: |
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最終ステップON |
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重み関数 |
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2.2.3 設定の確認方法
設定状態は、ステップ/熱荷重タブの「テーブル表示」をクリックして、時刻/ステップウィンドウを開き、重み関数タブをクリックすることで確認することができます。
機械的荷重の変位を値のみで設定した境界条件「u」、変位のON/OFF設定:ON、ON、OFFを行った境界条件「u_OnOff」、変位の重み関数設定を行った境界条件「u_Weight」について表示した例を示します。

時刻/ステップウィンドウから、グラフを表示して確認することも可能です。

2.3 多段階熱荷重解析
複数ステップ解析では、熱荷重解析の場合に到達温度が段階的に変化する多段階熱荷重解析を行うことができます。
ステップ/熱荷重タブで基準温度(基準温度)と各ステップの到達温度を設定します。⇒多段階熱荷重設定ダイアログ
到達温度が変化するステップで1より大きい分割ステップが設定されている場合、分割ステップに応じて到達温度を線形補間して解析します。
複数の到達温度を設定した場合の温度変化を以下に図示します。
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設定 |
温度変化 |
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熱荷重 T0:基準温度 T1:ステップ1の到達温度 T2:ステップ2の到達温度 T3:ステップ3の到達温度 T4:ステップ4の到達温度
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設定状態は、ステップ/熱荷重タブの「」時刻/ステップウィンドウを開き、重み関数タブをクリックすることで確認することができます。

また、ステップ/熱荷重タブの「温度グラフ」をクリックして、グラフで確認することもできます。

多段階熱荷重の具体的な事例としては
を参照ください。
2.4 時刻設定によるクリープ解析、粘弾性解析
ステップ/熱荷重タブで、時刻設定「設定する」を選択することで、各ステップに対して、時刻を設定することができます。⇒時刻設定ダイアログ
時刻を設定することにより、クリープ材料、粘弾性材料のクリープ変形、応力緩和の解析が可能になります。
クリープ解析については、「クリープ材料の応力解析」を参照してください。
粘弾性解析については、「粘弾性材料の応力解析」を参照してください。
(注)クリープ解析、粘弾性解析は特別オプション機能です。
クリープ材料、粘弾性材料を使用していない場合、解析結果は時刻を設定しない場合と同じになります。
具体的な事例としては、
を参照してください。
2.5 ボディのバース(誕生)・デス(消滅)
ステップの途中で、ボディをバース(誕生)させたり、ボディのデス(消滅)させたりすることができます。
ボディ属性の解析領域タブのバース・デス設定で設定することができます。
また、ステップ/熱荷重タブの「テーブル表示」をクリックして、バース/デスタブで、すべてのボディ属性についてまとめて設定することもできます。
バース・デスの具体的な事例としては、
を参照してください。
2.5.1 多段階熱荷重解析におけるバース・デス
多段階熱荷重解析では、バース・デスは、温度変化等による、
①「流動性があり内部に応力が発生しない状態」(解析対象外)
②「固体として応力が発生する状態」(解析対象内)
の間の変化を模擬するために使われます。
この場合、多段階熱荷重解析と併用して使用されます。
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バース/デス |
扱う現象の例 |
バース/デスのタイミング |
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バース(誕生) |
液体の凝固 樹脂の硬化 |
融点以下になったとき |
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デス(消滅) |
固体の融解 |
融点以上になったとき |
バースしている間は、最新のバースステップ(デス状態からバース状態に変化したステップ)の初期温度を
基準温度(無応力温度)として、熱荷重の計算を行います。
例えば、以下の例(「例題10
IC実装工程の多段階熱荷重解析」)では、ボディ属性「BGA」「PCB」「SB」の基準温度は、220[deg]、
ボディ属性「UF」のステップ3以降の基準温度は120[deg]となります。

2.5.2 バースボディの計算方法
バースしたときに、ボディ内の変位は引き継ぎ、ボディ内のひずみ、応力値をゼロにリセットします。
これにより、バースしたときに無応力状態となります。
ひずみリセットの際には塑性ひずみ、クリープひずみ、累積相当塑性ひずみ、累積相当クリープひずみも含めてリセットされます。
多段階熱荷重解析の場合、バースしたときの温度が基準温度(無応力温度)として設定します。
バースしたときの温度を基準として、そこから温度が変化した場合には熱荷重が発生します。
ただし、ボディ属性熱荷重タブで、「ボディ属性毎に指定」で基準温度を設定している場合はその値が使用されます。
2.5.3 デスボディの計算方法
デス状態のボディの取り扱いについては二通りの方法があります。
デフォルトはダミー材料を使用する方法になっています。
方法の選択とパラメータ設定は、高度な設定タブで行います。
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ダミー材料を使用 |
解析対象から除外 |
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デス中のボディの扱い |
剛性の小さい(柔らかい)材料として扱い、 |
解析対象から除外し、変形を計算しない |
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必要なパラメータ |
どの程度柔らかい材料とするかを決める剛性補正係数 (ヤング率=元の材料のヤング率 x 剛性補正係数) |
なし |
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解析時間 |
大 |
小 |
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使用メモリ |
大 |
小 |
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変形(変位) |
自然 (デス中に周囲が変形しても追従する) |
不自然 (デス中に周囲が変形すると追従できない) |
※二つの方法で、変形状態は大きく異なりますが、大変形オプションを使用しない場合、ひずみ、応力が大きく変わることはありません。
ひずみ、応力を計算する場合には、どちらを使用してもかまいません。
2.6 材料切替
ステップの途中で、異なる材料に変更して解析を行うことができます。
ボディ属性の材料切替タブで設定することができます。
また、ステップ/熱荷重タブの「テーブル表示」をクリックして、材料切替タブで、すべてのボディ属性についてまとめて設定することもできます。
2.6.1 材料切替時の計算方法
ボディ内部の変位、ひずみ、応力を引き継いで計算します。
多段階熱荷重解析の場合、材料切替前と材料切替後で熱ひずみが変化しないように、熱ひずみを補正します。




















