例題24

円形導波管同軸変換器の解析

本例題について

  • 10GHzにおける円形導波管同軸変換器の通過特性を調べた事例を示します。

  • 円形導波管を扱うポイントについて解説しています。

  • 表に記載されていない条件は初期設定の条件を使用します。
     

解析条件

調和解析の設定を以下のように行っています。

タブ設定

設定項目

条件

メッシュ

周波数依存メッシュの設定

参照周波数:1×1010[Hz]

表皮厚みより厚い導体ボディ境界条件とするをチェック

 

本設定によって、内導体の表面は損失を有する導体の境界条件として扱われます。

調和解析

周波数

最小 8×109[Hz]

最大 15×109[Hz]

間隔

等間隔をチェック

分割数: 7

スイープの設定

逐次スイープを選択

入力

1.0[W]

 

モデル図

円形導波管の側面に同軸線路を取り付け、その内導体のみを導波管内に侵入

させています。

 

 

 

ボディ属性および材料定数の設定

ボディ No./ボディタイプ

ボディ名

材料名

7/Solid

内導体

003_銀Ag※

8/Solid

導波管

000_空気※

9/Solid

樹脂

樹脂

※材料データベースを利用

 

 

材料”樹脂”の材料定数を、次のように設定しています。

材料名

タブ

定数

DRMat

誘電率

比誘電率: 2.3

 

境界条件

境界条件名/トポロジー

タブ

境界条件の種類

条件

ポート_001/Face

 

電気

 

入出力ポート

 

基準インピーダンス: 指定する

 をチェックし、50Ωを入力

モード数:

 導波路の計算で求めるモード数: 5

 実際に3次元解析で使用するモード数: 1

  モードの選択:チェックしない

ポート_002/Face

電気

入出力ポート

基準インピーダンス:
 モード構造から算出される特性インピーダンスを使う

 をチェック

モード数:

 導波路の計算で求めるモード数: 5

 実際に3次元解析で使用するモード数: 2

  モードの選択:チェックしない

外部境界条件

電気

電気壁

 

 

設定のポイント:

円形導波管につけたポート_002の設定で、”実際に3次元解析で使用するモード数”を2にしています。これ

は、円形導波管の基本モードであるTE11に対応する、Hertz解析上のモードは2つ存在する為です。その2

つは、結果図2に示したように、電界ベクトルの方向が90度回転したモードになります。TE11モードを正しく考

慮した解析をする為には、この2つのモードを使った解析が必要です。なお、現在のFemtetには、モードの電界

方向を制御する手段はありません。

解析結果

ポート番号は入出力ポートの名前と、解析に使用するモード数設定によって自動的に割り振られます。

ここでポートの設定に次のように入力した事を思い出してください。

 

   ポート_001 ”実際に3次元解析で使用するモード数”  =>  1

   ポート_002 ”実際に3次元解析で使用するモード数”  =>  2

 

そのため、計算結果のSパラは3×3の行列として求められます。

 

 

 

                        結果図1 Sパラメータの周波数特性

 

SYZ行列を起動すると、次のようにSパラのポートと、モデルのポートの対応が示されています。

 

ポートインデックス
  1:ポート_001:m1
  2:ポート_002:m1
  3:ポート_002:m2

 

 

上記の表示にある、”m1″や”m2″はモードの番号を示しています。これを理解するにはポートの電磁界分布を確認する必要が

あります。その方法は”電磁波解析ポートの見方” をご覧ください。

 

 

 

          結果図2 TE11 モードに対応した 二つの伝搬モードの電界分布

 

まず上段の伝搬定数ダイアログをご覧ください。

 

(このダイアログの表示、非表示は、[解析結果]タブの [チャート]-[モード情報]  を選択することで、切り替えられます。)

 

  ポート_002 p2m1:  9.691647e+001 +j 0.000000e+000

 

という表示から、ポート_002上に表示されているモード(上段左の図)が、SYZ行列のポートインデックスとして表示

された、”ポート_002:m1”に対応している事がわかります。”p2m1”のpはport、mはmodeを表します。下段の伝搬

定数ダイアログには

 

  ポート_002 p2m2: 9.681297e+001 +j 0.000000e+000

 

と表示されている事から、下段左の図が、SYZ行列の”ポート_002:m2” に対応している事がわかります。

 

 このようにポート_001から、円形導波管をとおってポート002に伝搬するエネルギーは、二つのモードに分割され

ています。したがってポート_001から1[W]入力した場合に、ポート_002へ通過する電力を求めるには、次の式を

計算する必要があります。この計算はFemtet内で計算できませんので、Excel等のソフトを使う必要があります。

 

                 (1)

 

最後に本解析で注意すべき点をもう一つ述べます。この解析ではTE11モードについて述べてきましたが、周波数

が高くなり、12GHzから上ではTM01モードが伝搬できます。その為、12GHzより上の周波数で精度よく解析する

ためには、ポート_002の”実際に3次元解析で使用するモード数”を2から3に変更するのが妥当であると思われ

ます。TM01が伝搬可能である事は、結果図3に示した伝搬定数の情報から読み取れます。

 

 

 

         結果図3 TM0  モードの電界分布(12GHz)

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