例題2

強制対流による平板の放熱(乱流)

本例題について

  • 一定の発熱量で発熱する平板を強制対流で放熱させる定常解析例を示します。
     

  • 温度分布や熱流束ベクトルを解析結果として見ることができます。
     

  • 表に記載されていない条件はデフォルトの条件を使用します。
     

 

解析空間

項目

条件

解析空間

2次元

 

奥行方向の厚み:300mm

モデル単位

mm

 

解析条件

項目

条件

ソルバ

流体解析[Bernoulli]

熱伝導解析[Watt]

解析の種類

定常解析

層流/乱流

層流をチェック

メッシュ設定

標準メッシュサイズ:10[mm]

モデル図

長方形のシートボディを定義し、空気(000_空気)の材料を設定します。また、左側の辺に流入、右側の辺に流出の境界条件を設定しています。

内部に薄い平板の発熱体を長方形のシートボディで定義します。

境界条件を設定していない上下の辺には、外部境界条件を使用し、スリップ壁を設定します。

 

ボディ属性および材料の設定

ボディ No./ボディタイプ

ボディ属性名

材料名

0/Solid

air

000_空気※

1/Solid

hot

hot

※材料データベースを利用

 

平板部の材料定数は以下のように設定しています。

材料名

タブ

定数

hot

固体/流体

固体

熱伝導率

1x 10^5

 

発熱量タブにて平板の発熱を以下のように設定しています。

ボディ属性名

タブ

設定

hot

発熱量

100W

境界条件

境界条件名/トポロジ

タブ

境界条件の種類

条件

Inlet/Edge

熱流体

流入

強制流入
流速指定
10 [m/s]

流入温度:0[deg]

Outlet/Face

熱流体

流出

自然流出

外部境界条件

熱流体

スリップ壁

 

平板表面の流れの場合、レイノルズ数5×10^5程度で乱流に遷移すると言われています。

このモデル形状、材料定数、流速でレイノルズ数を計算すると、198600程度となり、乱流に遷移するレイノルズ数に近くなるため、乱流で解析します。

 

粘度μ=1.82e-5[Pa s]

密度ρ=1.205[kg/m3]

動粘度ν=μ/ρ=1.82e-5/1.205=1.510e-5[m2/s]

流速V=10[m/s]

平板長さL=0.3[m]

レイノルズ数Re = V*L/ν=10*0.3/1.510e-5 = 198600

解析結果

温度分布の解析結果を示します。

 

 

 

最大温度は15.720 [deg]となっています。

 

次に、座標(250,0,-100)から座標(250,0,100)までの温度分布をグラフ表示した結果を示します。

10mm程度の薄い境界層ができていることが確認できます。

 

 

 

次に乱流熱伝導率の解析結果を示します。

壁面周辺で熱伝導率が大きくなっていることが確認できます。

これは、乱流の影響により熱の拡散が活発になっていることを示しています。

 

 

 

メッシュの状態を評価するため、テーブルより、y+[%]、第1層メッシュ高さ[mm]を表示します。

90[%]以上がy+=30~y+=200の間に存在していることが確認できます。

壁関数を用いた解析においては、妥当な設定であると言えます。

 

 

y+の小さい(壁面に近い)領域まで正確に計算することで、より精度を高めることができます。

第1層メッシュ高さ[mm]の推奨値を参考にして積層メッシュの設定を行います。

 

 

ここでは、解析条件の熱流体解析タブで、y+<5となる推奨値=0.127[mm]を設定して再解析を行います。

成長率1.2、層数12とすると、1層目がy+=5のとき、トータル高さがy+=200になり、変化の大きい領域をカバーすることができます。

 

項目

条件

壁表面の積層メッシュ設定(全体設定)

第1層メッシュ高さを指定をチェック

第1層メッシュ高さ:0.127[mm]

成長率:1.2

層数:12

解析の種類

定常解析

層流/乱流

層流をチェック

メッシュ設定

標準メッシュサイズ:10[mm]

 

新たなメッシュ設定で解析したときの温度分布の解析結果を示します。

 

 

最大温度は11.129 [deg]となっています。

 

理論値計算では、11.10[deg]となっており、理論値と同等の結果を得ることができます。

 

 

<理論値計算>

 

発熱量 Q = 100 [W]

平板厚み W = 0.3 [m]

平板長さ L=0.3 [m]

平均熱流束 q = Q / (2 * L * W) = 556 [W/m2]

 

粘度μ=1.82e-5[Pa s]

密度ρ=1.205[kg/m3]

動粘度ν=μ/ρ=1.82e-5/1.205=1.510e-5[m2/s]

熱伝導率 λ = 0.0265[W/m/deg]

比熱 Cp = 1006 [J/kg/deg]

温度伝導度 α = λ/(ρ*Cp) = 2.19e-5 [m2/s]

プラントル数Pr = ν/α = 0.691

 

流速V=10[m/s]

乱流平均熱伝達 h = 0.037 λPr^1/3 ν^(-4/5) V^(4/5)  L^(-1/5) = 50.03 [W/m2/deg]  [1]

 

温度差 ΔT = q/h = 11.10[deg]

 

[1] 九州大学教授 吉田 駿 著 「伝熱学の基礎」 p68

 

 

 

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