例題8

めっき槽の解析(ハルセル試験槽)

本例題について

  • めっき液の状態を知る方法として実施されるハルセル(※)試験槽の解析例を示します。

  • アノード、カソード表面で発生する過電圧を考慮した電場解析を行い、
    試験槽内部の電流密度や膜厚分布を解析結果として出力します。

  • 表に記載されていない条件は初期設定の条件を使用します。

 

解析空間

項目

条件

解析空間

3次元

モデル単位

mm

 

解析条件

めっき解析を行いますので材料構成は導体となります。

また[めっきの解析を行う]オプションを選択します。

項目

条件

ソルバ

電場解析[Coulomb]

解析の種類

静解析 (抵抗値)

解析オプション

めっきの解析を行うにチェック
膜厚を計算するにチェック
めっき時間: 300[s]

 

モデル図

試験槽の形状のソリッドボディで作成し、材料としてはめっき液を設定しています。

また、電極部にめっき壁の境界条件を設定しています。

ボディ属性および材料の設定

めっき槽の形状をソリッドボディで作成し、材料はめっき液を設定します。

ボディ No./ボディ タイプ

ボディ属性名

材料名

0/Solid

Cell

PlatingSolution

 

めっき液のボディ属性を以下のように設定しています。

ボディ属性名

めっきタブ

Cell

めっきボディの種類: めっき液

 

めっき液の導電率を以下のように設定しています。

材料名

導電率タブ

PlatingSolution

導体の種類:導体

導電率: 10 [S/m]

境界条件

本解析例ではめっき槽の電極の境界条件を以下のように設定しています。

境界条件名/トポロジ

タブ

境界条件の種類

条件

Cathode/Face

電気

めっき壁

電極の設定: 陰極(カソード)

析出金属の設定

導電率

50×106 [S/m]

電気化学等量

100×10-9 [kg/(As)]

密度

10×103 [kg/m3]

析出効率

1.0×100

 

過電圧の種類: タ-フェル則

a1[V]

5.0×10-2

a2[V・m2/A]

1.0×10-1

Anode/Face

電気

めっき壁

電極の設定: 陽極(アノード)

 

過電圧の種類: 線形

a1[V]

0.0

a2[V・m2/A]

5.0×10-5

 

めっき条件: 電流・1.0 [A]

 

  • 本例題では、陽極の電流を指定して解析をするためにめっき壁(Anode)のめっき条件で電流を選択していますが、
    陽極の電位を指定して解析する場合は、めっき条件で電位を選択してください。
    電位指定の解析の方が、電流指定の解析より計算回数が少ないため、解析時間は短くなります。

解析結果

図1に、解析で得られた電流密度ベクトルを示します。
陰極側で試験槽特有の電流密度の分布が発生していることが分かります。


図1 電流密度ベクトル

 

Femtetのグラフ描画機能を用いて、陰極に析出しためっきの膜厚を表示します。
図2に、図1の右下の頂点を始点とし、右上の頂点まで、陰極に沿った線上の膜厚を表示します。
電流密度の大きさに応じて、膜厚に分布があることが確認できます。

図2 膜厚分布

 

  • グラフの描画については、グラフをご確認ください。

 

 

※「ハルセル」は株式会社 山本鍍金試験機 の商標登録商品です。

まずはFemtetを試してみたい

試用版はこちら

もっとFemtetについて詳しく知りたい

イベント・セミナー情報はこちら