例題38

弾塑性材料の繰り返し熱荷重解析

本例題について

  • 多段階熱荷重解析の事例として弾塑性マルチリニア材料を含むモデルの繰り返し(サイクル)熱荷重解析の事例を示します。

  • 本例題でははんだを温度依存性を有する弾塑性マルチリニア材料として熱荷重解析した事例を示します。

  • 温度変化とともに累積相当塑性ひずみが増加している様子を解析結果として示しています。

  • 表に記載されていない条件は初期設定の条件を使用します。

  • 弾塑性解析は特別オプション機能です。

解析空間

項目

条件

解析空間

軸対称

モデル単位

mm

 

解析条件

本例題では簡易的な軸対称解析モデルを扱います。

熱荷重の解析オプションを選択します。

項目

条件

ソルバ

応力解析[Galileo]

解析の種類

静解析

解析オプション

熱荷重をチェック

  

ステップ/熱荷重タブの設定を以下のように行っています。

タブ設定

設定項目

条件

ステップ/熱荷重

ステップ設定

多段階熱荷重解析

時刻設定

設定する

基準温度

25[deg]

ステップ/到達温度設定

解析ステップ

時刻[s]

分割ステップ

到達温度[deg]

1

300

10

80

2

3600

1

80

3

3900

10

-40

4

7200

1

-40

5

7500

10

80

6

10800

1

80

7

11100

10

-40

8

14400

1

-40

複数ステップ解析オプション

分割ステップの結果を出力する:チェック

25度を基準温度(無応力温度)と設定しています。

ステップ設定を「複数ステップ」、時刻設定を「設定する」とし、ステップ/到達温度設定に、
時刻、分割ステップ、到達温度を設定します。

 

温度を上昇(または下降)させるステップにおいて時間を300秒間(=5分間)、分割ステップ数を10ステップ、

温度をキープするステップにおいては時間を3300秒(=55分間)、分割ステップ数を1としています。

 

・例題39の弾塑性クリープ材料の解析結果と比較しやすいように例題39と時刻設定は一致させています。

・弾塑性材料の解析においては時刻の絶対値には物理的な意味はありません。

・弾塑性材料の解析においては温度をキープするステップでは状態に変化はありませんので、分割ステップを

 極力小さな値(=1)としています。

・クリープ材料の解析においては時刻の絶対値に物理的な意味が発生します。例題39を参照ください。

 

分割ステップの結果を出力するをオン(初期条件)にしているため、各ステップの分割ステップでの解析結果を

すべて出力することができます。

モデル図

線膨張係数などが異なる材料(シリコンとガラエポ)をはんだで接合した構造の熱荷重解析をします。

またはんだ(ボディ属性SB)にメッシュサイズ0.2を設定しています。

ボディ属性および材料の設定

ボディ No./ボディタイプ

ボディ属性名

材料名

0/Sheet

PCB

006_ガラスエポキシ

1/Sheet

SB

SOLDER

2/Sheet

CHIP

301_シリコン(結晶)

 

はんだ(SOLDER)の材料定数は以下のように設定しています。

材料名

タブ

定数

SOLDER

弾性定数

材料の種類: 弾塑性マルチリニア

塑性硬化則: 移動硬化

温度依存性: あり

材料定数: 

 

ヤング率ポアソン比温度テーブル:

 

塑性ひずみ応力多直線: 温度ポイント多数のため省略。以下のグラフを参照。

 

ひずみ-応力グラフ 塑性ひずみ-応力グラフ:

 

線膨張係数

23×10-6[1/deg]

参考:

金 道燮,干 強,澁谷 忠弘,白鳥 正樹 (横浜国立大学)

「鉛フリーはんだ接合部の応力・非線形ひずみ振幅評価に及ぼす硬化則の影響」エレクトロニクス実装学会誌p161-169(2004)

境界条件

境界条件名/トポロジ

タブ

境界条件の種類

条件

Fix_z/Vertex

機械

変位

Z成分のチェックボックスをオン

UZ=0

解析結果

最終状態(時刻14400[s])での累積相当塑性ひずみの結果を以下に示します。

はんだとCHIP界面において塑性ひずみが集中して発生していることが分かります。

はんだボディの右上の点で特に塑性ひずみが集中していることが分かります。

 

はんだとCHIP界面における累積相当塑性ひずみの変化の様子を以下のグラフに示します。

温度変化に伴って累積相当塑性ひずみが増加している様子が分かります。

温度をキープしている間は変化していません。

 

はんだとCHIP界面におけるミーゼスの相当応力の変化の様子を以下のグラフに示します。

低温キープ時の方が降温キープ時に比較して、相当応力が大きい結果となっていますが、

これは基準温度との温度差の違いやはんだの降伏応力が低温域の方が大きいことなどが起因

していると考えられます。

 

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