例題54

非弾性衝突の過渡解析

本例題について

  • 初速度を与えた物体が静止した物体に非弾性衝突する様子を過渡解析します。

  • 「例題32 弾性衝突の過渡解析」 の弾性衝突のモデルと同じモデルを使用します。

  • 塑性変形により大きく変形するため、大変形大変位大ひずみ)オプションを使用します。
    大変形オプションに関しては、「大変形(幾何学的非線形)の解析」を参照してください。

  • 衝突過程における応力分布、変位分布を知ることができます。

  • 表に記載されていない条件は初期設定の条件を使用します。

  • 応力過渡解析、弾塑性材料、大ひずみは特別オプション機能です。

解析空間

項目

条件

解析空間

2次元

モデル単位

mm

 

解析条件

計算時間を短縮するために解析空間は2次元を選択しています。

変位量が大きい(微小でない)現象を解析しますので大変位をチェックしています。

項目

条件

ソルバー

応力解析[Galileo]

解析の種類

過渡解析

大変形

大変位、大ひずみをチェック

 

過渡解析タブにて以下のように時間ステップを設定しています。

衝突前のタイムステップは粗めに、衝突後のタイムステップは細かめに設定しています。

タブ設定

設定項目

条件

過渡解析

No.

ステップ数

出力間隔

時間ステップ[s]

1

10

1

0.1×10-4

2

80

1

0.025×10-4

モデル図

同じサイズの円形のシートボディを作成しそれぞれに以下に示すボディ属性および材料定数を設定しています。

またそれぞれの周囲の辺に接触境界(被接触面と接触面)を設定しペア設定しています。

BODY属性および材料定数の設定

BODY No./BODY Type

BODY名

材料名

0/Sheet

ボディ属性_001

ElastPlastic

1/Sheet

ボディ属性_002

ElastPlastic

 

二つのボディは、非弾性の材料として、弾塑性材料で定義します。

材料名

タブ

定数

ElastPlastic

弾性定数

材料の種類: 弾塑性バイリニア

温度依存性: なし

材料定数:

ヤング率:1.26 x 109 [Pa]

ポアソン比:0.3

ひずみ硬化率:1.26 x 108 [Pa]

初期降伏応力:1.0 x 107 [Pa]

 

 

左側のボディの初期速度はゼロ(初期設定のまま)、右側のボディの初速は以下のように設定しています。

BODY属性名

初期速度

ボディ属性_002

X成分-100[m/s]

Y成分,Z成分はゼロ

境界条件

境界条件名/トポロジ

タブ

境界条件の種類

条件

コンタクター/Edge

機械

接触表面

接触面をチェック

ターゲット/Edge

機械

接触表面

被接触面をチェック

コンタクターとターゲットはお互いが接触しあう接触表面のため境界条件のペア設定を行っています。

解析結果

1.5e-4[sec]および、3.0e-4[sec]における相当塑性ひずみ分布を変位図で以下に示します。

 

2つのボディの接触部において塑性ひずみが発生している様子が分かります。

また、衝突が終わって離れていくときにも、塑性ひずみによる変形が残ったままであることが確認できます・

 

2つのボディの中心の速度を横軸を時間でグラフ出力した結果を示します。

 

青プロットが右側のボディ中心の変位、赤プロットが左側のボディ中心の変位になります。

上のグラフから時刻1.0e-4[sec]から2.0e-4[sec]にかけて速度が右ボディから左ボディへ徐々に乗り移っている様子が分かります。

しかし、完全には速度が移らず、右側のボディにもまだ速度が残っていることが確認できます。

 

弾性衝突における「直線上での同じ質量の物体同士の弾性衝突前後において速度の交換が起こる」という理論が成り立っていないことから、

非弾性衝突が起こっていると言えます。

「例題32 弾性衝突の過渡解析」に示すように、弾性衝突では、速度が完全に入れ替わります。

 

まずはFemtetを試してみたい

試用版はこちら

もっとFemtetについて詳しく知りたい

イベント・セミナー情報はこちら