例題56

バイメタルスイッチの飛び移り座屈解析

本例題について

  • 異なる熱膨張係数を有する材料が湾曲した状態で貼り合わせたバイメタルが
    温度変化による熱荷重によって変形し、ある温度で急激に反転する座屈現象をシミュレーションした例を示します。
  • 通常の大変位解析では、座屈が発生するような状況下では、発散して計算が終了してしましますが、
    強制収束させて続行するオプションを使用することで、反転後の変形を計算することができます。
  • 表に記載されていない条件は初期設定の条件を使用します。

解析空間

湾曲した皿のような形状を扱うため、軸対称解析で行います。

 

項目

条件

解析空間

軸対称

モデル単位

mm

解析条件

バイメタルの反転現象をシミュレーションするには、要素の回転を厳密に考慮する必要があるため、大変形オプションの大変位をチェックします。

 

項目

条件

ソルバ

応力解析[Galileo]

解析の種類

静解析

大変形

大変位をチェック

解析オプション

熱荷重をチェック

 

 

ステップ/熱荷重タブの設定を以下のように行っています。

温度の昇降の履歴を与えるため、複数ステップをチェックし、到達温度を設定します。

タブ設定

設定項目

条件

ステップ/熱荷重

ステップ設定

多段階熱荷重解析

基準温度

25[deg]

ステップ/到達温度設定

解析ステップ

分割ステップ

到達温度[deg]

1

100

150

2

100

25

3

100

-100

4

100

25

 

複数ステップ解析オプション

分割ステップの結果を出力する:チェック

 

高度な設定タブの設定を以下のように行っています。

タブ設定

設定項目

条件

高度なタブ

非線形解析の設定

未収束のステップを強制的に収束させて解析を続行する
にチェック

モデル図

半径100[mm]、角度5°の円弧を作成し、0.01ずつz方向に引き伸ばして二つのモデルを作成します。
線膨張係数の異なる組み合わせとしてそれぞれ銅およびステンレス(SUS410)の材料を設定します。

下側のボディの端の点に、z方向固定の境界条件を設定します。

標準メッシュサイズは、0.1[mm]とします。

ボディ属性および材料の設定

ボディ No./ボディタイプ

ボディ属性名

材料名

0/Solid

CU_PLATE

008_銅Cu※

1/Solid

SUS_PLATE

518_SUS410※

※材料データベースを利用

境界条件

境界条件名/トポロジ

タブ

境界条件の種類

条件

zFix/Face

機械

変位

Z成分のチェックボックスをオン
UZ=0

 

解析結果

解析終了時、ワーニングのメッセージ「注意:未収束のステップを強制的に収束させて解析を続行しました。」が出ますが、結果を表示することができます。
80番目の結果(126.25℃)、81番目の結果(127.50℃)では、未収束だったため、モード一覧では、[強制収束]が表示されています。

 

 

強制収束前後の、79番目(125℃)、82番目(128.75℃)の変形図を示します。

コンター図はz方向の変位を示してます。
対称モデルの全体モデル表示をONにして表示しています。

 

125℃までの温度上昇では、変形が小さく、原形図とほぼ一致しているのに対して、128.75℃では、中央が大きく-z方向へ反転している様子が確認できます。
125℃~128.75℃の間で、座屈が起こっているためと考えられます。

 

 

 

中央のz方向の変位を、横軸温度でプロットした結果を示します。

昇温時には、125℃まで緩やかに-z方向に変位し、125℃を超えたところで急激に-z方向に変位します。

降温時には、-32.5℃まで緩やかに+z方向に変位し、-32.5℃を超えたところで急激に+z方向に変化します。

このように、昇温時と降温時で挙動が異なるヒステリシス性を解析することができています。

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