例題1

強制対流による平板の放熱(層流)

本例題について

  • 一定の発熱量で発熱する平板を強制対流で放熱させる定常解析例を示します。
     

  • 温度分布や熱流束ベクトルを解析結果として見ることができます。
     

  • 表に記載されていない条件はデフォルトの条件を使用します。
     

 

解析空間

項目

条件

解析空間

2次元

 

奥行方向の厚み:300mm

モデル単位

mm

 

解析条件

項目

条件

ソルバ

流体解析[Bernoulli]

熱伝導解析[Watt]

解析の種類

定常解析

層流/乱流

層流をチェック

メッシュ設定

標準メッシュサイズ:10[mm]

モデル図

長方形のシートボディを定義し、空気(000_空気)の材料を設定します。また、左側の辺に流入、右側の辺に流出の境界条件を設定しています。

内部に薄い平板の発熱体を長方形のシートボディで定義します。

境界条件を設定していない上下の辺には、外部境界条件を使用し、スリップ壁を設定します。

 

ボディ属性および材料の設定

ボディ No./ボディタイプ

ボディ属性名

材料名

0/Solid

air

000_空気※

1/Solid

hot

hot

※材料データベースを利用

 

平板部の材料定数は以下のように設定しています。

材料名

タブ

定数

hot

固体/流体

固体

熱伝導率

1x 10^5

 

発熱量タブにて平板の発熱を以下のように設定しています。

ボディ属性名

タブ

設定

hot

発熱量

10W

境界条件

境界条件名/トポロジ

タブ

境界条件の種類

条件

Inlet/Edge

熱流体

流入

強制流入
流速指定
0.1 [m/s]

流入温度:0[deg]

Outlet/Face

熱流体

流出

自然流出

外部境界条件

熱流体

スリップ壁

 

平板表面の流れの場合、レイノルズ数5×10^5程度で乱流に遷移すると言われています。

このモデル形状、材料定数、流速でレイノルズ数を計算すると、1986程度となり、十分に小さいため、層流で解析することができます。

 

粘度μ=1.82e-5[Pa s]

密度ρ=1.205[kg/m3]

動粘度ν=μ/ρ=1.82e-5/1.205=1.510e-5[m2/s]

流速V=0.1[m/s]

平板長さL=0.3[m]

レイノルズ数Re = V*L/ν=0.1*0.3/1.510e-5 = 1986

解析結果

温度分布の解析結果を示します。

 

 

最大温度は22.584 [deg]となっています。

 

層流熱伝達の理論値は、24[deg]となっており、近い値になっていることが確認できます。

 

<理論値計算>

 

発熱量 Q = 10 [W]

平板厚み W = 0.3 [m]

平板長さ L=0.3 [m]

平均熱流束 q = Q / (2 * L * W) = 55.6 [W/m2]

 

粘度μ=1.82e-5[Pa s]

密度ρ=1.205[kg/m3]

動粘度ν=μ/ρ=1.82e-5/1.205=1.510e-5[m2/s]

熱伝導率 λ = 0.0265[W/m/deg]

比熱 Cp = 1006 [J/kg/deg]

温度伝導度 α = λ/(ρ*Cp) = 2.19e-5 [m2/s]

プラントル数Pr = ν/α = 0.691

 

流速V=0.1[m/s]

層流平均熱伝達 h = 0.664 λPr^1/3 ν^(-1/2) (V/L)^1/2 = 2.311 [W/m2/deg]  [1]

 

温度差 ΔT = q/h = 24.04[deg]

 

[1] 九州大学教授 吉田 駿 著 「伝熱学の基礎」 p68

 

次に、座標(250,0,-100)から座標(250,0,100)までの温度分布をグラフ表示した結果を示します。

30mm程度の境界層ができていることが確認できます。

 

 

 

 

次に壁面熱流束の解析結果をベクトル図表示した結果を示します。

 

 

平板の風上側に近いほど壁面熱流束が大きくなっていることが確認できます。

 

参考として、乱流解析を行った温度の解析結果も以下に示します。

ほぼ同等の結果が得られることが確認できます。

(多くのケースで層流の現象において、乱流解析を行っても問題ありません)

 

 

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