
CAEソフト【 Femtet 】-ムラタソフトウェア株式会社
亀裂の入った板を引っ張た時の応力を解析します。
J積分 (J積分ついて参照)によりエネルギー解放率を計算します。
例題34に対するメリットとして、亀裂進展前後の複数のモデルを作成する必要がないこと、
複数箇所の亀裂先端のエネルギー解放率が求められること、亀裂進展の方向性が確認できることが挙げられます。
表に記載されていない条件は初期設定の条件を使用します。
項目 |
条件 |
解析空間 |
2次元 |
モデル単位 |
mm |
項目 |
条件 |
ソルバー |
応力解析[Galileo] |
解析の種類 |
静解析 |
解析オプション |
選択なし |
例題34 エネルギー解放率に記載の条件と同じモデルを扱います。
例題34では、右上1/4の領域のみの解析を行いましたが、今回は、亀裂の両端の計算を行うこと、
J積分を行うには亀裂先端を一周する経路が必要であることから、全領域の解析を行います。
亀裂部としてワイヤボディを作成し、不連続境界を設定した転写用ボディを作成します。
積分経路の形成を行うために、二種類の方法を亀裂の両端で異なる方法を使用しています。
また、積分経路の形状に寄らずに解析できることを示すため、積分経路の形状も両端で変えています。
・左側の先端
長方形のシートボディを作成し、Plateボディに転写することで積分経路を形成します。面トポロジ分割参照。
・右側の先端
円のシートボディを作成し、メッシュサイズを設定し、 転写用ボディを作成します。
メッシュ分割時に自動的に転写が行われます。一部に属性をつける方法参照。
BODY No./BODY Type |
BODY名 |
材料名 |
0/Sheet |
Plate |
Fe |
ボディ属性で、シートボディ の厚みを1mにします
ボディ属性名 |
タブ |
設定 |
Plate |
厚み/幅 |
シートボディの厚み1000 |
材料定数で、ヤング率とポアソン比を設定します
材料名 |
ヤング率 |
ポアソン比 |
PlateMat※ |
70.56×109[Pa] |
0.33 |
※材料定数は、上記記載の出典で使用しているヤング率とポアソン比を設定しています。
境界条件名/Topology |
タブ |
境界条件の種類 |
条件 |
不連続/Edge |
対称/不連続 |
不連続 |
– |
P/Edge |
機械 |
圧力 |
-98×106[Pa] |
右側の亀裂先端の最大主応力のコンタ図を示します。
コンター図の表示範囲を0~400MPaに設定しています。
亀裂先端周囲に引張応力が集中している様子が分かります。
亀裂先端を囲む辺(index : 16,15,14,13,12,11)を選択し、右クリックメニューから「J積分」を選択、
アウトプットウィンドウにJ積分結果を表示させた結果を示します。
※「J積分」はフィールドタイプ”応力”を表示しているときに有効となります。
大きさは、2133.956であり、例題34で示された2155.482とほぼ同等の値が算出されています。
また、θ、φの結果θ=90°、φ=0°が表わす方向を以下に示します。
角度θ、φの扱いについては、(J積分ついての「ひずみエネルギー解放率の成分について」参照)
方向は+x方向を示しており、亀裂は、元の亀裂の方向に従ってまっすぐ進展することが分かります。
次に、左側の亀裂先端の最大主応力のコンタ図を示します。
亀裂先端を囲む辺(index : 3,2,1,0,5)を選択し、右クリックメニューから「J積分」を選択、
アウトプットウィンドウにJ積分結果を表示させた結果を示します。
大きさは、2138.661であり、例題34で示された2155.482、及び右側のエッジの2133.956とほぼ同等の値が算出されています。
積分経路が円であっても正方形で合っても結果が変わらないと言えます。
また、θ、φの結果θ=90°、φ=180°が表わす方向を以下に示します。
方向は-x方向を示しており、こちらも元の亀裂の方向に従ってまっすぐ進展することが分かります。
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