
CAEソフト【 Femtet 】-ムラタソフトウェア株式会社
粘弾性材料であるポリスチレン(ガラス転移点48℃)の板をたわませたときの変形挙動をシミュレーションした例を示します。
ガラス転移点より低い常温(25℃)と、ガラス転移点よりも高い温度(120℃)での挙動を比較します。
表に記載されていない条件は初期設定の条件を使用します。
粘弾性解析は特別オプション機能です。
項目 |
条件 |
解析空間 |
3次元 |
モデル単位 |
mm |
ガラス転移点より低い常温(25℃)から、ガラス転移点よりも高い温度(120℃)に切り替えて解析をするため、
解析オプションとして熱荷重を設定します。
項目 |
条件 |
ソルバ |
応力解析[Galileo] |
解析の種類 |
静解析 |
解析オプション |
熱荷重をチェック |
ステップ/熱荷重タブの設定を以下のように行っています。
タブ設定 |
設定項目 |
条件 |
|||||||||||||||||||||||||||||||
ステップ/熱荷重 |
ステップ設定 |
多段階熱荷重解析 |
|||||||||||||||||||||||||||||||
時刻設定 |
設定する |
||||||||||||||||||||||||||||||||
基準温度 |
25[deg] |
||||||||||||||||||||||||||||||||
ステップ/到達温度設定 |
|
||||||||||||||||||||||||||||||||
複数ステップ解析オプション |
分割ステップの結果を出力する:チェック |
25度を基準温度(無応力温度)と設定しています。
粘弾性解析では時刻が必要なので、ステップ設定を「複数ステップ」、時刻設定を「設定する」とし、ステップ/到達温度設定に、
時刻、分割ステップ、到達温度を設定します。
以下の履歴の解析を分割数5ずつで解析を行います。
ステップ1:60s:1minかけてたわみ荷重を徐々に印加
ステップ2:3540s:約1hrたわみ荷重を保持
ステップ3:3600s:1minかけてたわみ荷重を徐々に小さくする
ステップ4:3660s:1minかけて120℃まで加熱
ステップ5:3720s:1minかけてたわみ荷重を徐々に印加
ステップ6:7200:約1hrたわみ荷重を保持
ステップ7:7260:1minたわみ荷重を徐々に小さくする
分割ステップの結果の出力するをオン(初期条件)にしているため、各ステップの分割ステップでの解析結果を
すべて出力することができます。
厚さ0.4mmの薄いポリスチレンの板を直方体のソリッドボディを定義し、ポリスチレン(PS)の材料を設定します。
ボディ No./ボディタイプ |
ボディ属性名 |
材料名 |
0/Solid |
Plate |
PS |
ポリスチレン(PS)の材料定数は以下のように設定しています。
ここでは線膨張係数による変形を考慮しないため、線膨張係数はゼロとしました。
材料名 |
タブ |
定数 |
PS |
弾性定数 |
材料の種類: 弾性-等方性 温度依存性: なし 材料定数: ヤング率:1.39 x 109 [Pa] ポアソン比:0.35 |
粘弾性 |
粘弾性の入力形式:プロニー級数[係数入力] 緩和タイプ:せん断成分のみ 緩和テーブル:
温度依存性(シフト関数):WLF 参照温度:113℃ C1:8.86 C2:101.6
|
|
線膨張係数 |
0×10-6[1/deg] |
参考:
弾性定数(ヤング率、ポアソン比):化学便覧 基礎編II 改訂4版 日本化学学会編 丸善(1993)
粘弾性定数:エンジニアのためのプラスチック材料工学 Osswald/Menges著 武田邦彦監修 シグマ出版
境界条件名/トポロジ |
タブ |
境界条件の種類 |
条件 |
Fix_all/Face |
機械 |
変位 |
XYZ成分のチェックボックスをオン UX=0, UY=0 UZ=0 |
Pz/Edge |
機械 |
線分布荷重 |
トータル荷重で入力するのチェックボックスオン X=0, Y=0, Z=-1.0×10-2
時間依存:あり これにより、以下の荷重設定を行います。 60s:1minかけてたわみ荷重を徐々に印加 3540s:約1hrたわみ荷重を保持 3600s:1minかけてたわみ荷重を徐々に小さくする 3720s:1minかけてたわみ荷重を徐々に印加 7200:約1hrたわみ荷重を保持 7260:1minたわみ荷重を徐々に小さくする |
時刻3540s(25℃で、約1hrたわみ保持をしたあと)の変形図、および、
時刻7200s(25℃で、約1hrたわみ保持をしたあと)の変形図を示します。
コンター図は左:変位の大きさを示してます。
時刻3540[s]の変形図(温度:25℃)
時刻7200[s]の変形図(温度:120℃)
120℃では、同じたわみ荷重でも、大きく変形していることが分かります。
次に、先端での変位の大きさをグラフ表示したものを示します。
25℃では、たわみ荷重保持中には、変位が一定になり、荷重がなくなると
もとの変位に戻る、弾性体としての性質を示しますが、
120℃では、たわみ荷重保持中に変位が増加していく様子が見られ、
荷重がなくなっても、変形が残る、粘弾性体としての性質を示すことが分かります。
まずはFemtetを試してみたい
試用版はこちらもっとFemtetについて詳しく知りたい
イベント・セミナー情報はこちら