例題60

樹脂硬化後の冷却による基板反り解析

本例題について

  • アルミナ基板上に塗布したエポキシ樹脂が200℃における硬化後に25℃までの冷却される過程における、
    アルミナとエポキシ樹脂の線膨張係数差により発生する反りをシミュレーションした例を示します。

  • ガラス転移点(140℃)で大きく物性が変化する樹脂材料を使用します。一般的に、このような材料は粘弾性体として扱うことが推奨されます。
    ここでは、①粘弾性体として扱った場合②弾性体として扱った場合③粘弾性(簡易設定)を行った場合の3つで比較を行います。

  • 粘弾性についての詳細は、「粘弾性材料の応力解析」、粘弾性(簡易設定)についての詳細は、「粘弾性(簡易設定)について」を参照してください。

  • 変形の状態や変位分布、応力分布を解析結果として見ることができます。

  • 表に記載されていない条件は初期設定の条件を使用します。

解析空間

項目

条件

解析空間

3次元

モデル単位

mm

 

解析条件

一様な(局所的な分布のない)温度変化による熱応力解析をしますので、

解析オプションとして熱荷重を設定して、基準温度と到達温度を設定します。

熱伝導解析[Watt]との連成解析をする必要はありません。

項目

条件

ソルバ

応力解析[Galileo]

解析の種類

静解析

解析オプション

熱荷重をチェック

  

解析モデル①粘弾性(Viscoelast_Model)、③粘弾性(簡易設定)(SimpleViscoelast_Model)について、ステップ/熱荷重タブの設定を以下のように行っています。

200℃から25℃まで、1℃/s のスピードで冷却する条件について、5℃毎に解析を行うため、時刻を175、分割ステップを35とします。

タブ設定

設定項目

条件

ステップ/熱荷重

時刻設定

設定する

基準温度

200[deg]

ステップ/到達温度設定

解析ステップ

時刻[s]

分割ステップ

到達温度[deg]

1

175

35

25

 

非線形解析オプション

分割ステップの結果を出力する:チェック

 

解析モデル②弾性(Elast_Model)については、以下の設定を行っています。

タブ設定

設定項目

条件

ステップ/熱荷重

ステップ設定

多段階熱荷重解析

時刻設定

設定する

基準温度

200[deg]

ステップ/到達温度設定

解析ステップ

時刻[s]

分割ステップ

到達温度[deg]

1

175

35

25

 

複数ステップ解析オプション

分割ステップの結果を出力する:チェック

 

モデル図

二つの直方体のソリッドボディを定義し、それぞれアルミナとエポキシ樹脂の材料を設定します。

x方向とy方向には対称面の境界条件を設定します。

反り量を解析するため、基準となる中心点の変位を固定します。

ボディ属性および材料の設定

ボディ No./ボディタイプ

ボディ属性名

材料名

0/Solid

board

001_アルミナ※

1/Solid

resin

①Viscoelast_Mat
②Elast_Mat
③SimpleViscoelast_Mat

※材料データベースを利用

 

 

複素弾性率測定データを用いて以下のように材料設定を行います。

複素弾性率測定データについては「粘弾性材料測定データの変換」を参照してください。

材料名

タブ

定数

Viscoelast_Mat

線膨張係数

温度依存性: あり

 

粘弾性

粘弾性の入力形式:複素弾性率[温度周波数特性]

緩和テーブル設定:

複素弾性率測定データである、以下のcsvファイルのデータを使用します。

Viscoelast_Mat.csv

Elsat_Mat

線膨張係数

Viscoelast_Matと同様

弾性定数

温度依存性:あり

材料の種類:弾性

複素弾性率測定データのうち、1Hzで測定した貯蔵弾性率と、
ポアソン比0.3を使用した以下のcsvファイルのデータをテーブル入力します。

Elast_Mat.csv

SimpleViscoelast_Mat

線膨張係数

Viscoelast_Matと同様

弾性定数

温度依存性:あり

材料の種類:粘弾性

指定方法:テーブル

ポアソン比:0.3

ガラス転移点(Tg):140[deg]

複素弾性率測定データのうち、1Hzで測定した貯蔵弾性率(以下のcsvファイル)をテーブル入力します。
SimpleViscoelast_Mat.csv

 

境界条件

変位と、対象面の設定を行います。

境界条件名/トポロジ

タブ

境界条件の種類

条件

Fix_all/Vertex

機械

変位

X成分、Y成分、Z成分のチェックボックスをオン
UX=0、UY=0、UZ=0

Sym_x/Face

対称/不連続

対称

対称面のチェックボックスをオン

Sym_y/Edge

対称/不連続

対称

対称面のチェックボックスをオン

 

 

解析結果

モデル②を使用時には、解析結果終了時、以下のような、モデル③を推奨するワーニングメッセージが現れます。

 

 

 

以下のグラフ設定で基板端部のZ方向変位のグラフ表示を行います。

 

種類:モードが横軸のグラフ、横軸温度にチェック

座標:(5,5,0.4)

モード:0-34

 

結果を以下に示します。3つのモデルの比較を行うため、グラフの縦軸の最大値を1.2mmに変更しています。

 

①粘弾性 ②弾性 ③粘弾性(簡易設定)

 

①粘弾性と②弾性を比べると、①では、0.4mm程度であるのに対して、②では、1.15mm程度と、反りが大きく解析されています。

一方、③粘弾性(簡易設定)は、①と同様の、0.4mm程度となっていることが確認できます。

 

このことから、弾性率の温度依存性データで解析する場合には、上記のワーニングメッセージの通り、③粘弾性(簡易設定)を使用することで、精度の良い解析ができることが確認できます。

 

まずはFemtetを試してみたい

試用版はこちら

もっとFemtetについて詳しく知りたい

イベント・セミナー情報はこちら