例題62

積層平面応力シートの解析事例

本例題について

  • 積層平面応力シートを用いた解析事例としてアルミナ基板上に銅、ニッケル、金が積層めっきされたモデルを熱荷重解析した例を示します。
     

  • 変形の状態や変位分布、各シートにおけるひずみエネルギー分布などを解析結果として見ることができます。
     

  • 表に記載されていない条件は初期設定の条件を使用します。

解析条件

一様な(局所的な分布のない)温度変化による熱応力解析をしますので、

解析オプションとして熱荷重を設定して、基準温度と到達温度を設定します。

項目

条件

ソルバ

応力解析[Galileo]

解析空間

3次元

解析の種類

静解析

単位

mm

解析オプション

熱荷重をチェック

 

ステップ/熱荷重タブの設定を以下のように行っています。

タブ設定

設定項目

条件

ステップ/熱荷重

基準温度

25[deg]

到達温度

120[deg]

モデル図

直方体形状のアルミナ基板のソリッドボディの上面にシートボディを1枚作成し、2回複製することで3枚まで増やし、

それぞれのシートボディに銅、ニッケル、金の材料定数とそれぞれの厚みをボディ属性で設定しています。

サンプルのプロジェクトには電極を積層シートでモデル化した積層シートモデルに加えて比較のため、

電極も含めて全てソリッドボディでモデル化した積層ソリッドモデルを同梱しています。

ボディ属性および材料の設定

積層シートモデル

ボディ No./ボディタイプ

ボディ属性名

シートボディの厚み

材料名

0/Solid

Substrate

 

001_アルミナ※

4/Sheet

Electrode1

20×10-3[mm]

008_銅Cu※

5/Sheet

Electrode2

5×10-3[mm]

010_ニッケルNi※

6/Sheet

Electrode2

5×10-3[mm]

002_金Au※

※材料データベースを利用

 

積層ソリッドモデル (厚みはシートボディの厚み設定と一致)

ボディ No./ボディタイプ

ボディ属性名

材料名

0/Solid

Substrate

001_アルミナ※

4/Solid

Electrode1

008_銅Cu※

5/Solid

Electrode2

010_ニッケルNi※

6/Solid

Electrode2

002_金Au※

※材料データベースを利用

境界条件

なし

解析結果

変形図を示します。コンター図は変位の大きさを示してます。変位量の単位は[um]です。

電極の膨張によって上に凸の反りが発生していることが分かります。

積層シートモデルと積層ソリッドモデルでは概ね一致した変位が得られています。

同じメッシュサイズ設定で積層シートモデルは要素数が24640、積層ソリッドモデルは要素数が54576となり

積層シートモデルでの計算コストが大幅に削減できます。

 

 

ボディ毎のひずみエネルギーの計算値テーブル結果を示します。

積層シートモデルと積層ソリッドモデルは概ね一致した結果が得られています。

3つの電極シートの中ではElectrode1(Cu)に最もひずみエネルギーが蓄積されていることがわかります。

 

 

各電極層におけるひずみエネルギー密度のコンター図を示します。

まず積層シートモデルの結果を示します。

 

続いて積層ソリッドモデルの結果を示します。

 

積層シートモデルと積層ソリッドモデルで概ね一致したひずみエネルギー密度となっていることが分かります。

 

各電極層の弾性率や線膨張係数および厚みが異なるため、同じ変位でもひずみエネルギーが異なることがこの結果から分かります。

 

積層シートモデルでは各シートの位置が重なっているため、複数のシートボディのコンター表示を同時出力すると

結果表示が重なって表示されてしまいます。

ボディツリーでコンター表示したいボディのみにチェックすることで着目するシートボディの結果を確認することができます。

 

 

(注意)

ソリッドボディ表面でシートボディが重複して定義された場合に積層平面応力シートとして機能します。

積層平面応力シートモデルは面方向の剛性については積層ソリッドモデルと同様の解析ができますが、曲げ剛性を無視しています。

曲げ剛性を考慮した積層シェル構造には対応しておりませんので、曲げ剛性を考慮した積層構造を解析する場合にはソリッドボディを用いてください。

またG1メッシャーでは積層シートボディは同一形状である必要があります。(G2メッシャーでは形状が同一である必要はありません。)

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