例題63

初期ひずみを用いたO-リングの解析例

本例題について

  • ボディ属性の初期ひずみを用いてO-リングの接触解析を実施した事例を紹介します。
     

  • O-リングの材料はゴム材料であるため、超弾性材料として扱います。
     

  • 変形の状態やひずみエネルギー分布、節点接触力などを解析結果として見ることができます。
     

  • 表に記載されていない条件は初期設定の条件を使用します。
     

  • 超弾性解析は特別オプション機能です。
    超弾性解析については、「超弾性材料の応力解析」を参照してください。

解析空間

項目

条件

解析空間

軸対称

モデル単位

mm

解析条件

超弾性材料を使用する場合、大変形の「大変位」オプションをチェックする必要があります。

また、ひずみ量も大きくなることが予想されるため「大ひずみ」オプションもチェックしています。

項目

条件

ソルバ

応力解析[Galileo]

解析の種類

静解析

大変形

大変位、大ひずみをチェック

モデル図

リング状部材(outer)と溝が周囲に掘られた円板状部材(innter)と

その隙間を埋めるO-リング(ring)を軸対称モデルで作成しています。

 

リング状部材(outer)はO-リング(ring)と干渉しないように実際の寸法よりも径方向に拡大して作成し、、

最終的にはリング状部材(outer)の内径と円板状部材(innter)の外径が一致するように

リング状部材(outer)に異方性の初期ひずみ(成分1と成分2のみ収縮)を設定しています。

 

境界条件としてはリング状部材と円板状部材の下辺にZ方向変位固定、

O-リング周辺には接触面(Contactor)、O-リングとの接触が予想されるリング状部材の内側と

円板上部材の溝の表面には被接触面(Target)の境界条件を設定しています。

 

ボディ属性および材料の設定

ボディ属性outerには異方性の軸ひずみを設定しています。リング状部材outerは実際の寸法よりも(1+sr)倍に拡大してしているため

実際の寸法に戻すための初期ひずみとして-sr/(1+sr)を設定しています。srは変数であり0.1を設定しています。

ボディ No./ボディタイプ

ボディ属性名

初期ひずみ

材料名

Body2/Sheet

inner

 

007_ABS樹脂(耐衝撃)※

Body3/Sheet

ring

 

EPDM系ゴム(硬度65Hs)※

Body4/Sheet

outer

 

指定方法:軸ひずみ

 

異方性:異方

 

初期ひずみベクトル:

 

1 -sr/(1+sr)
2 -sr/(1+sr)
3 0

srは変数であり0.1を設定

 

007_ABS樹脂(耐衝撃)※

※材料データベースを利用

境界条件

変位と、接触面の設定を行います。

境界条件名/トポロジ

タブ

境界条件の種類

条件

Fix_z/Edge

機械

変位

Z成分のチェックボックスをオン
UZ=0

Contactor/Edge

機械

接触表面

接触面

Target/Edge

機械

接触表面

被接触面

 

また以下の接触境界ペアを設定し、摩擦係数を以下のように設定しています。

境界条件ペア

摩擦係数

Contactor-Target

0.5

解析結果

非線形解析の分割ステップ数が20で設定されているため0.05ステップから1ステップまで段階的に初期ひずみが反映され

合計20の解析結果が出力されます。

 

0.5ステップ、0.75ステップ、1ステップにおける接触面圧とひずみエネルギー密度の結果を示します。

 

 

 

段階的に初期ひずみがリング状部材に反映されて収縮してO-リングと樹脂部材の接触が進行し、

最終結果においてはO-リングが大きく圧縮されて接触面圧やひずみエネルギーが発生していることが分かります。

 

 

実際の組み立て工程では2つの樹脂部材を上下方向にスライドさせてO-リングによる封止状態を実現しますが、

O-リングと周囲部材の間の接触が複雑になって接触解析が安定しないことが予想されます。

 

そのような場合に最終状態を安定的に解析する方法としてこの例題のような初期ひずみを用いた接触解析が有効です。

 

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