例題27

巻き線コイルの誘導電流

本例題について

  • 巻き線コイルの誘導電流の解析例を示します。

  • コイル内の電流分布や抵抗値を解析結果として見ることができます。

  • 軸対称解析の解析をします。

  • 表に記載されていない条件は初期設定の条件を使用します。

解析空間

項目

条件

解析空間

軸対称

モデル単位

mm

解析条件

項目

条件

ソルバ

磁場解析[Gauss]

解析の種類

調和解析

解析オプション

インダクタンスを計算のチェックを外す

 

調和解析の周波数を1MHzから10MHzxまで1MHzごとに計算します。

タブ設定

設定項目

条件

調和解析

周波数

最小:1×106[Hz]

最大:10×106[Hz]

間隔

等間隔: 分割数9

モデル図

この解析では軸対称解析を行います。軸対称解析とは、z軸まわりに回転対称

のモデルに対して、xz断面だけを解析するものです。実質的に2次元解析ですので、

短時間で計算することができるという特徴があります。特に今回のモデルは多くのまき線

コイルから構成されるモデルであり、このような複雑な形状を3次元解析するのは実質的

に不可能であるため、軸対称解析が必要になります。

 

 

中央にコアがあり、その周りにコイルが巻いています。

コイルはz軸方向に16層、x軸方向に4層、計64ターンまかれています。

軸対称解析では、中心軸をx座標の原点におき、右半分の断面だけを計算します。

 

 

ボディ属性および材料の設定

ボディ No./ボディタイプ

ボディ属性名

材料名

メッシュサイズ

0-63/Solid

65/Solid

ボディ属性001-064

コア

008_銅Cu※

コア

0.01

 

※材料データベースを利用

 

ボディ属性001-064に電流が流れるよう以下のように設定してします。

ボディ属性名

タブ

設定

ボディ属性001-064

電流

波形:交流

電流値:1[A]

巻数:1[Turn]

方向:奥向き

境界条件

設定なし

解析結果

以下の特性を調べます。

①磁力線

②電流密度分布

③抵抗の周波数特性

④インダクタンス値の求め方

 

①磁力線

下図は10MHzの時の磁力線です。

 

②電流密度分布

下図はコイルの電流分布です。1MHzの時は均一に流れていますが、周波数が高くなるに従って、電流分布を

持ち、外側の電流密度が高くなる傾向にあります。

 

 

③抵抗の周波数特性

下図はコイルの抵抗値です。周波数が高くなると電流密度に分布ができ、その結果、抵抗が高くなります。

 

  • 抵抗値の算出方法
    解析を実行すると、結果としてP:損失[W]が出力ウィンドウもしくはテーブルで確認できます。
    P=1/2*R*I*Iで、I=1[A](ピーク値)ですので、R=2*Pで抵抗値が算出できます。

④インダクタンス値の求め方

計算値テーブルの磁界エネルギーからインダクタンス値を求めます。磁界エネルギー(Em)と電流値(I)、インダクタンス値(L)の関係式

Em=1/2*L*I*I を利用します。 今、電流値1[A]の解析を実行し、その結果、磁界エネルギーが1.563e-5[J]であることが

分かりましたので、インダクタンス値は、31.26[uH]と求めることができました。

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