例題33

コイル間の電力伝送(起電力算出)

本例題について

  • 二つのコイルのうち、1次側コイルに電流を流した時に2次側コイルに発生する起電力を解析する事例です。

  • 2次側の起電力[V]や磁界ベクトルを解析結果として見ることができます。
    伝送電力[W]を知りたい場合は、電磁波解析[Hertz]をご利用下さい。(「例題28 コイル間の電力伝送」)

  • 表に記載されていない条件は初期設定の条件を使用します。

 

解析空間

項目

条件

解析空間

3次元

モデル単位

mm

 

解析条件

項目

条件

ソルバ

磁場解析[Gauss]

解析の種類

調和解析

解析オプション

なし

 

電流の周波数を30[kHz]とします。

タブ設定

設定項目

条件

メッシュ

周波数依存メッシュの設定

参照周波数:30×103[Hz]

調和解析

スイープタイプ

ひとつの周波数

周波数

30×103[Hz]

 

メッシュタブを以下のように設定しています。

タブ設定

設定項目

条件

メッシュ

メッシュ設定

標準メッシュサイズを自動的に決定する:OFF

標準メッシュサイズ:2[mm]

モデル図

二つのコイル(Coil1,Coil2)を設置しています。

1次側コイル(Coil1)の流入出面は空気領域の外部となるよう引き伸ばし、外部境界条件電気壁と接するように作ってあります。

磁場調和解析では流入出面を空気領域の外部に引き出す必要があります。(有限要素法の計算上の問題)

本例題では、空気領域は自動作成する設定であるため、流入出面をコイルの外部に引き出すことで空気領域の外部となるようにしています。

 

 

2次側コイル(Coil2)には、起電力計測用に抵抗値が十分大きいボディ(R)を挟んでいます。

起電力の算出は、電流の経路に沿って積分路の境界条件を設定しておけば、積分路上の電界(電流密度*抵抗値)を積分して算出されます。

本来、Rのボディは不要で、ループコイルの電流経路に沿って積分路を設定すれば良いのですが、コイルの電流密度は断面で一定ではないため、正確に計算できません。

コイルに対して十分大きい抵抗値を持つRのボディを挿入し、その電流経路に積分路を設定することで、

電位差がほとんどこのRのボディで発生し、且つRのボディの電流密度は断面でほぼ一定となるため、正確に計算できます。

 

ボディ No./ボディタイプ

ボディ属性名

材料名

4/Solid

Coil1

008_銅(Cu)※

11/Solid

Coil2

008_銅(Cu)※

9/Solid

R

008_銅(Cu)※

※材料データベースを利用

 

1次側のコイルに電流を流すため、ボディ属性は以下のように設定しています。

2次側には電流を流さないため、設定不要です。

ボディ属性名

タブ

設定

Coil1

電流

波形:交流

電流値: 1[A]

巻数: 1[Turn]

方向:流入出面指定

流入面、流出面を選択

 

以下のようにボディ(R)の導電率をコイルに対して十分低い値としています。

材料名

タブ

条件

R

導電率

導体の種類:導体

導電率:1[S/m]

境界条件

設定なし

解析結果

起電力の解析結果は、[解析結果]タブの、

 

 

 [テーブル] で表示できます。

 

 

出力された複素数値の絶対値が発生する起電力の振幅にあたります。

1次側に1[A]の電流をながすと、2次側には0.00927「V]の起電力が発生することがわかります。

 

2次側コイルの起電力Ve.m.は、次の式で表せます。

         Ve.m. = jωM I1

周波数は30kHz、相互インダクタンスMは0.491nH(「相互インダクタンス計算プロジェクト」の計算結果)、Coil1に流れる電流 I1 の振幅は1Aですので、
2次側コイルの起電力の振幅 |Ve.m.| は0.00925Vと計算でき、出力結果とよく一致しています。

  • 伝送電力[W]を知りたい場合は、電磁波解析[Hertz]をご利用下さい。(「例題28 コイル間の電力伝送」)

 

 

 

磁界ベクトルの解析結果を示します。

 

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