例題2

IPMモータの振動解析

本例題について

  • IPMモータの電磁力によるステータの振動解析例を示します。

  • 変位、応力、トルク、磁束密度分布、鉄損などを計算します。

  • 外部回路連成解析機能を利用します。

  • コア部分は電磁鋼板の積層構造を模擬するため、均質化法を利用します。
     

  • 表に記載されていない条件はデフォルトの条件を使用します。
     

解析条件

項目

条件

解析空間

2次元

奥行き方向の厚み

60[mm]

単位

mm

ソルバ

磁場解析[Luvens]

解析の種類

過渡解析

解析オプション

外部回路連成をチェック

回転機をチェック

 

平面ひずみをチェック

[磁場過渡解析結果の電磁力参照タイプ]

各ステップの値をチェック

 

回転機タブの設定を以下のように行っています。

タブ設定

設定項目

条件

回転機

回転移動

速度一定にチェック

回転数:1800[r/min]

ロータの初期回転位置:0[deg]

スライドメッシュの分割数

周方向メッシュ分割角度:1.0[deg]

1ステップ当たりの回転量:1[メッシュ]

スライドメッシュ層数:3

 

外部回路図は以下の通りです。

60[Hz]、5[A]の三相交流電流を印加しています。

U相の位相には「トルク最大となる電源位相探索」の機能を利用して算出したものを設定しています。

外部回路入出力値換算をONにしているため、FEMコイル素子の抵抗値には1/4分ではなく、フルモデル相当の相抵抗を設定しています。

換算についての詳細は「外部回路換算」および「外部回路換算の設定例」をご参照ください。

 

メッシュタブを以下のように設定しています。

タブ設定

設定項目

条件

メッシュ

メッシュ設定

標準メッシュサイズを自動的に決定する:OFF

標準メッシュサイズ:1[mm]

空気領域自動作成

空気領域を自動作成するにチェック

空気領域のスケール:1.2

 

過渡解析タブを以下のように設定しています。

ステップ数が90で、周方向メッシュ分割角度が1.0[deg]、1ステップ当たりの回転量が1[メッシュ]ですので、機械角で90*1.0*1=90[deg]まで回転させる解析となります。

電気角に換算すると、電気角=機械角*極対数=90*4/2=180[deg]となり、電気角半周期分の解析となります。

 

  • 本モデルは電源が電流指定であるため、コイル電流は最初から定常状態となり、トルクも同様です。

 

  • 鉄損を計算する場合は、定常状態後、電気角1周期分の時間ステップと、材料定数の鉄損特性定義が必要です。

タブ設定

設定項目

条件

過渡解析

時間ステップ

自動

No.

ステップ数

出力間隔

1

90

1

 

モデル図

中央にロータであるロータコアと磁石があり、周囲にステータコアとコイルを配置した構成となっています。

4極24スロットのモータです。

2次元モデルでの解析です。

応力解析はステータ領域のみ解析する設定としており、その周囲の回転変位を固定する境界条件[Fix]を設定しています。

 

  • 磁場解析単体の場合は、磁場過渡解析例題1のように対称性を利用し、周期対称モデルとするのが一般的ですが、
    応力解析で周期境界が扱えないため、ここではフルモデルとしています。

 

ボディ属性および材料の設定

ボディ No./ボディタイプ

ボディ属性名

材料名

14/Sheet

Mag1

NMX-S43SH_日立金属※

15/Sheet

Mag2

NMX-S43SH_日立金属※

63/Sheet

Mag3

NMX-S43SH_日立金属※

62/Sheet

Mag4

NMX-S43SH_日立金属※

66/Sheet

Rotor

35JN270_JFEスチール※

65/Sheet

Stator

35JN270_JFEスチール※

37/Sheet

U1+

008_銅(Cu)※

38/Sheet

U1+

008_銅(Cu)※

39/Sheet

W1-

008_銅(Cu)※

40/Sheet

W1-

008_銅(Cu)※

41/Sheet

V1+

008_銅(Cu)※

42/Sheet

V1+

008_銅(Cu)※

43/Sheet

U1-

008_銅(Cu)※

44/Sheet

U1-

008_銅(Cu)※

45/Sheet

W1+

008_銅(Cu)※

46/Sheet

W1+

008_銅(Cu)※

47/Sheet

V1-

008_銅(Cu)※

48/Sheet

V1-

008_銅(Cu)※

※材料データベースを利用

 

ボディ属性は以下のように設定しています。

コア部分は積層鋼板を模擬するため、均質化法を利用する設定(積層タブ)としています。

ボディ属性名

タブ

設定

Mag1

方向

ベクトル:X=1, Y=0, Z=1

電流

誘導電流ありにチェック

ステータ/ロータ/空気

ロータ

解析領域

応力解析のチェックを外す

Mag2

方向

ベクトル:X=1, Y=0, Z=-1

電流

誘導電流ありにチェック

ステータ/ロータ/空気

ロータ

解析領域

応力解析のチェックを外す

Mag3

方向

ベクトル:X=-1, Y=0, Z=-1

電流

誘導電流ありにチェック

ステータ/ロータ/空気

ロータ

解析領域

応力解析のチェックを外す

Mag4

方向

ベクトル:X=-1, Y=0, Z=1

電流

誘導電流ありにチェック

ステータ/ロータ/空気

ロータ

解析領域

応力解析のチェックを外す

Rotor

積層

積層を考慮するにチェック

占積率:97[%]

積層方向ベクトル:X=0, Y=1, Z=0

ステータ/ロータ/空気

ロータ

解析領域

応力解析のチェックを外す

Stator

積層

積層を考慮するにチェック

占積率:97[%]

積層方向ベクトル:X=0, Y=1, Z=0

ステータ/ロータ/空気

ステータ

U1+

電流

波形:外部回路連成

回路上のコイル名:U1

巻数:35[Turn]

方向:奥向き

ステータ/ロータ/空気

ステータ

V1+

電流

波形:外部回路連成

回路上のコイル名:V1

巻数:35[Turn]

方向:奥向き

ステータ/ロータ/空気

ステータ

W1-

電流

波形:外部回路連成

回路上のコイル名:W1

巻数:35[Turn]

方向:手前向き

ステータ/ロータ/空気

ステータ

U1-

電流

波形:外部回路連成

回路上のコイル名:U1

巻数:35[Turn]

方向:手前向き

ステータ/ロータ/空気

ステータ

V1-

電流

波形:外部回路連成

回路上のコイル名:V1

巻数:35[Turn]

方向:手前向き

ステータ/ロータ/空気

ステータ

W1+

電流

波形:外部回路連成

回路上のコイル名:W1

巻数:35[Turn]

方向:奥向き

ステータ/ロータ/空気

ステータ

 

境界条件

ステータ外周の回転変位を固定する境界条件を設定します。

境界条件名/トポロジ

タブ

境界条件の種類

条件

Fix

機械

回転変位

軸上の座標:0.0,0.0,0.0

回転角度:0[deg]

解析結果

まずは磁場解析の結果です。

 

回転角度が0[deg]の時の磁束密度分布と磁束線を示します。

トルク波形を示します。結果テーブルの「トルク[N・m]」に出力されます。

電流源を使用していますので、0[deg]から定常状態になっています。

 

次に応力解析の結果です。

回転角度が10[deg]の時の応力解析結果の加速度を示します。

ステータの振動の様子が分かります。

 

 

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