例題4

コイルの鉄損による発熱(温度依存性材料あり)

本例題について

  • コア付きコイルの鉄損による発熱を計算する解析例を示します。

  • コアの透磁率、導電率の温度依存性を考慮した磁場熱の双方向連成解析です。
    磁場⇔熱の解析が収束するまで繰り返し行われます。
    したがって、温度依存性を考慮しない場合よりも計算時間が長くなります。

  • 磁界ベクトルやコア部分の損失、発熱後の温度分布を解析結果として見ることができます。

  • 表に記載されていない条件は初期設定の条件を使用します。

解析空間

項目

条件

解析空間

3次元

モデル単位

mm

 

解析条件

項目

条件

ソルバ

磁場解析[Gauss]

熱伝導解析[Watt]

解析の種類

磁場解析:  調和解析

熱伝導解析: 定常解析

解析オプション

なし

 

電流の周波数を50[kHz]とします。

タブ設定

設定項目

条件

メッシュ

周波数依存メッシュの設定

参照周波数:50×103[Hz]

導体表面処理タイプ:表皮メッシュを生成する

調和解析

周波数

スイープタイプ:ひとつの周波数

周波数:50×103[Hz]

モデル図

コアにコイルが巻かれているモデルを用います。

コア(Core)と、ループコイルのボディ(Coil)を定義しています。

自動作成される空気は磁場解析でのみ有効で、熱伝導解析では解析対称外となります。

 

ボディ属性および材料の設定

ボディ No./ボディタイプ

ボディ属性名

材料名

5/Solid

Coil2

008_銅(Cu)※

7/Solid

Coil1

008_銅(Cu)※

6/Solid

Core

Core

※材料データベースを利用

 

ループコイルに電流を流すため、ボディ属性は以下のように設定しています。

ボディ属性名

タブ

設定

Coil

電流

波形:交流

電流値: 0.1[A]

巻数: 100[Turn]

誘導電流: なし

方向:ループコイル/磁場方向指定

磁場方向ベクトル:X=0、Y=0、Z=1

 

コアの材料定数を設定します。

透磁率、導電率に温度依存性があります。

損失特性は鉄損テーブルで定義します。

材料名

タブ

条件

Core

透磁率

温度依存性:ありをチェック

  

[温度-比透磁率]曲線テーブル

温度[deg]

比透磁率

0

3000

100

2700

500

1500

1000

30

 

導電率

導体の種類:導体

温度依存性:ありをチェック

  

[温度-導電率]曲線テーブル

温度[deg]

導電率

0

0.1

100

0.06

500

0.02

1000

0.01

 

熱伝導率

熱伝導率:10[W/m/deg]

鉄損

鉄損の種類:鉄損テーブル

  

周波数:5×104[Hz]

[磁束密度-損失密度]テーブル※

磁束密度[T]

損失密度[W/m3]

50×10-3

5×103

500×10-3

500×103

 

※本特性は架空の材料特性であり実在する
材料の特性ではありません。

グラフボタンを押すと以下のように材料の損失特性をグラフで確認できます。

境界条件

外部境界条件(熱解析ではコイルとコアの周囲に付与される)に自然対流(係数自動計算)を設定しています。

境界条件名/トポロジ

タブ

境界条件の種類

条件

外部境界条件※

放熱・環境輻射

自然対流(係数自動計算)

室温: 25 [deg]

※外部境界条件はメニューバーの[モデル]タブの

から、[外部境界条件]にて設定できます。

※自然対流の係数は自動的に算出されます。詳細は「放熱・環境輻射」を参照してください。

解析結果

損失の解析結果は、[解析結果]タブの、

 

 

 [テーブル] で表示できます。

 

ジュール損の解析結果としては、以下のように出力されます。

 

 

鉄損の解析結果としては、以下のように出力されます。

 

本モデルのコアの鉄損は、約0.8Wであることが分かります。

なお、コアのジュール損、ヒステリシス損は0となっていますが、これは材料特性を鉄損テーブル

(磁束密度と損失密度の関係を入力)で定義しているためで、鉄損のみ出力されます。

材料特性を鉄損経験式で定義した場合は、ジュール損、ヒステリシス損も出力されます。

損失についての詳細は「磁場解析における損失計算」を参照してください。

 

 

磁束密度ベクトルの解析結果を示します。

磁束密度がコアにそってループを構成している様子が分かります。

 

鉄損密度の解析結果を示します。

 

熱伝導解析の結果として、温度のコンター図を示します。

コア(Core)の温度が約87度まで上昇していることが分かります。

 

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