
CAEソフト【 Femtet 】-ムラタソフトウェア株式会社
Femtetの電磁波解析(調和解析)で得られたSパラメータを、
DescartesでTDRによるインピーダンスの時系列に変換します。
表に記載されていない条件は初期設定の条件を使用します。
項目 |
条件 |
解析空間 |
3次元 |
モデル単位 |
mm |
項目 |
条件 |
ソルバ |
電磁波解析[Hertz] |
解析の種類 |
調和解析 |
タブ設定 |
設定項目 |
条件 |
メッシュ |
アダプティブメッシュの設定 |
全体:
|
周波数依存メッシュの設定 |
参照周波数: 30×109[Hz] 表皮厚みより厚い導体ボディを境界条件とするをチェック |
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調和解析 |
TDR解析の設定 |
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周波数 (*2) |
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周波数スイープ |
逐次スイープ (*3) |
*1 初期設定の5回ではアダプティブメッシュが収束しないため、20回に変更します。解析時間を短縮したい場合は、小さな値に変更します。
*2 周波数の設定は、TDR解析の設定から計算された値が自動的に反映されます。
*3 解析周波数が793 MHz ~ 50 GHzと広いため、解析精度を悪化させないために逐次スイープを選択しています。
*3 解析時間を短縮したい場合は、高速スイープや並列逐次スイープ(高速化オプションをお持ちの方)をご利用ください。
基板(SUBSTRATE)の内部にストリップ線路(LINE)を構成しています。
ストリップ線路には途中に不連続部分があり、ここで特性インピーダンスが変化するため電磁波が反射します。
ボディ No./ボディタイプ |
ボディ名 |
材料名 |
4/Sheet |
LINE |
PEC |
6/Solid |
SUBSTRATE |
DIELECTRIC |
材料名 |
誘電率 |
導電率 |
DIELECTRIC |
比誘電率: 3.9 |
導体の種類: 絶縁体 |
PEC |
(初期値のまま) |
導体の種類: 完全導体 |
境界条件名/トポロジー |
タブ |
境界条件の種類 |
条件 |
PORT1/Face |
電気 |
入出力ポート |
積分路:
基準インピーダンス:
|
PORT2/Face |
電気 |
入出力ポート |
同上 |
外部境界条件 |
電気 |
電気壁 |
|
DescartesでSパラメータをTDRのインピーダンス時系列に変換するには、
全てのポートの基準インポーダンスは同じ実数である必要があります。
図1: TDR解析の結果(インピーダンスグラフ)と、時刻と基板の位置との関係
図1に、解析の結果として得られるTDRのインピーダンスの時系列を表すグラフを示します。
図1には、時刻と基板の位置との関係もあわせて示します。
時刻と基板上の位置との関係は、次のように求められます。
ストリップ線路を進む電磁波の速さ v [m/s] は、真空中の光速 c0 [m/s] と基板の比誘電率 εr を用いて、
v = c0 / √εr
のように表せます。真空中の光速 c0 = 299792458 [m/s] と基板の比誘電率 εr = 3.9 より、
電磁波の速さは約1.518 × 108 m/sと計算できます。
TDRでは反射波を観測することで線路のインピーダンスを計測します。
ポート1(PORT1)から入った電磁波は、ポート1から10 mmの距離にある最初の不連続部で一部が反射します。
この反射波が再びポート1に戻ってくるまでには、合計で20 mmの距離を進むことになります。
速さ1.518 × 108 m/sの電磁波が20 mmの距離を進むのにかかる時間は約131.7 psです。
TDRのグラフを見ると、時刻131.7 psの前後でインピーダンスが大きく変化していることが分かります。
最初の不連続部を通過した電磁波は、次にポート1から20 mmの距離にある不連続部でその一部が反射します。
ここで反射した電磁波が再びポート1に戻ってくるまでには、合計で40 mmの距離を進むことになります。
速さ1.518 × 108 m/sの電磁波が40 mmの距離を進むのにかかる時間は約263.5 psです。
TDRのグラフを見ると、時刻263.5 psの前後でインピーダンスが大きく変化していることが分かります。
2番目の不連続部を通過した電磁波は、最後にポート2(PORT2)に達します。
ポート2の基準インピーダンスは50 Ωと設定したので、ストリップラインの特性インピーダンスが50 Ωでなければ
ポート2でも電磁波の一部が反射します。
ポート2で反射した電磁波が再びポート1に戻ってくるまでには、合計で60 mmの距離を進むことになります。
速さ1.518 × 108 m/sの電磁波が60 mmの距離を進むのにかかる時間は約395.2 psです。
TDRのグラフを見ると、時刻395.2 psの前後でもインピーダンスが変化し、
395.2 ps以降では50 Ωで一定になっていることが分かります。
TDR解析の設定では、時間を400 psと設定して調和解析の解析周波数を決定しましたが、
結果のグラフは630 psまで描画されます。
これは、解析周波数を決定する際にFemtetがデータの数を調整しているためです。
DescartesはS行列からTDRのインピーダンスへの変換にはフーリエ変換を用いますが、
フーリエ変換で扱えるデータの数は2n個(n は正の整数)です。
入力信号の立ち上がり時間が30 psで、それを3ステップに分けるように
時間ステップ幅を決めると、時間ステップ幅は10 psとなります。
10 psの時間ステップ幅で400 ps間の結果を得ようと、データ数(時間ポイント数)は41個になります。
41個のデータはフーリエ変換に対応していないので、64(= 26)個のデータを
用意するように解析周波数を設定しています。時間ステップ幅が10 psで64個のデータがあるので、
630 ps間の結果が得られます。
「TDR解析の設定」もご覧ください。
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