
CAEソフト【 Femtet 】-ムラタソフトウェア株式会社
微小ダイポールアンテナの解析例を示します。
得られた電磁界を理論式で求めた値と比較します。
表に記載されていない条件は初期設定の条件を使用します。
項目 |
条件 |
ソルバ |
電磁波解析[Hertz] |
解析空間 |
3次元 |
解析の種類 |
調和解析 |
単位 |
mm |
調和解析および開放境界の設定を以下のように行っています。
タブ設定 |
設定項目 |
条件 |
調和解析 |
周波数 |
300×106[Hz] |
間隔 |
ひとつの周波数をチェック |
|
スイープの設定 |
逐次スイープをチェック |
|
|
||
開放境界 |
種類 |
吸収境界 |
吸収境界の次元 |
1次 |
モデル全体図 アンテナ部分の拡大図
ボディ No./ボディタイプ |
ボディ名 |
材料名 |
0/Solid |
PEC |
PEC※※ |
1/Solid |
PEC |
PEC※※ |
2/Sheet |
転写ボディ |
|
3/Solid |
AIR |
000_空気(乾燥)※ |
※材料データベースを利用
※※材料PECは、次のように設定しています。
材料名 |
タブ |
導体の種類 |
PEC |
導電率 |
完全導体 |
境界条件名/トポロジー |
タブ |
境界条件の種類 |
条件 |
PORT/Face |
電気 |
入出力ポート |
電流ポート |
外部境界条件 |
電気 |
開放境界 |
解析条件の開放境界タブにて設定 |
設定項目 |
条件 |
周波数依存メッシュの設定 |
参照周波数:300×106[Hz] 表皮厚みより厚い導体ボディを境界条件とするをチェック |
得られた電界分布をXZ面で見てみましょう。ポートの電界Z成分が最大となる位相270度
の電界分布が次の図です。アンテナ近くに注目すると、電界が、下側(Z負側)の
PECから上側(Z正側)のPECに向いていることがわかります。
電界分布 XZ面 位相270度
得られた磁界分布をXZ面で見てみましょう。下向き電流が最大となる位相0度
の時の瞬間における磁界Y成分の分布です。
磁界Y成分分布 XZ面 位相0度
次に理論値との比較を行います。理論計算式は次のとおりです。
j:虚数単位
I :電流値。電流ポートは位相0の時、上向き(ポートの積分路の方向)に流れるので、I=1[A]として計算します。
R :観測点までの距離
k :波数。
l:ダイポールの長さ. PECの中心の距離、3[mm]としました。
ε :真空中の誘電率。
上式を用いてEθを計算し、解析結果と比較を行います。解析結果は、X軸上の電界Z成分を使いました。位相0が実部、位相270が虚部に相当します。
理論計算で電界のZ成分を得るには、Eθに-1をかけます。理論値とFemteteの計算値がよく一致していることが、グラフからわかります。ただし、X座標の
小さな場所つまりアンテナ近傍では少しずれていて、精度がよくないようです。
同様に磁界Y成分を比較して見ます。解析結果は、X軸上の磁界Y成分を使います。X軸上ではHφをHyとみなすことができます。グラフを作成すると、
Femtetの結果と理論値がよくあっていることがわかります。
周辺電磁界の機能を使うと、解析した領域の外の電界強度を求めることができますので、理論値と比較してみましょう。
上と同様、X軸上での比較を考えるにします。周辺電磁界で出力される電界の単位はdBμV/mなので、それにあわせます。
理論計算で得られたした|Eθ|は、x軸上では|E|と同じですので、次式で計算できます。
E'[dBμV/m] = 20・log(1000000・|Eθ|/√2)
グラフを見ると、解析領域の外側(1.0<x<3.0)で理論値とよく一致しているが、解析領域内では異なることがわかります。
[参考文献]
アンテナ工学ハンドブック 電子情報通信学会編 オーム社
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