例題39 コンデンサの充電放電過程

本例題について

  • 集中定数境界として設定されたコンデンサの充電放電過程を解析します。

  • コンデンサからの放電電流はESD試験の電流波形として使用できます。
     

  • 表に記載されていない条件は初期設定の条件を使用します。

  • 電磁波過渡解析は特別オプション機能です。

解析条件

項目

条件

ソルバ

電磁波解析[Hertz]

解析空間

3次元

解析の種類

過渡解析

単位

mm

 

タブ設定

設定項目

条件

メッシュ

周波数依存メッシュの設定

  • 表皮厚みより厚い導体ボディを境界条件とするをチェック

  • 入力波形から参照周波数を自動決定するをチェック

過渡解析

 

解析終了時刻

  • 2.0×10-6 [s] (HBM)
  • 0.5×10-6 [s] (MM)

 

残留フィールド比が閾値を下回れば自動終了するのチェックをはずす

モデル図

コンデンサがどのような回路に含まれているかによってコンデンサの充電放電過程は変化します。特にコンデンサからの放電電流はESD試験において使用される

過渡的な電流波形であり、そのコンデンサを含む回路はESD試験を行う環境を再現するように決定されます。

 

本例題では部品レベルのESD試験に使用される以下の2つの放電電流を再現するような回路においてコンデンサの充電放電過程の解析を行います。

  • HBM(Human Body Model、図1左):人体からの放電電流を模擬する回路で、コンデンサと抵抗が直列に接続されたRC回路のモデル

  • MM(Machine Mode、図1右):金属機器からの放電電流を模擬する回路で、コンデンサ、インダクタンス、抵抗が直列に接続されたRLC回路のモデル

 

 

図1:コンデンサを含む回路(左図:HBMのRC回路、右図:MMのRCL回路)

 

ボディ属性および材料定数の設定

ボディ No./ボディタイプ

ボディ名

材料名

Body0/Solid

SUBSTRATE

006_ガラスエポキシ*

Body1/Solid

AIR

000_空気*

Body2、Body4、Body6/Sheet (HBM)

Body2、Body4、Body6、Body8/Sheet (MM)

ELECTRODE

003_銀*

*材料データベースを利用

境界条件

境界条件名/トポロジー

タブ

境界条件の種類

条件

V/Face

電気

入出力ポート

積分路:

  • Path1を設定

 

電圧ポート

 

入力波形(HBM):

波形の種類 パルス波
立ち上がり時間 50×10-9 [s]
継続時間 1.0×10-6 [s]
パルス間隔 1.0×10-6 [s]
波形の大きさ 2.0×103 [V]

 

入力波形(MM):

波形の種類 パルス波
立ち上がり時間 10×10-9 [s]
継続時間 250×10-9 [s]
パルス間隔 250×10-9 [s]
波形の大きさ 2.0×102 [V]

 

C/Face

電気

集中定数

容量

  • 1.0×10-10 [F] (HBM)
  • 3.0×10-10 [F] (MM)

 

積分路を設定*

R/Face

電気

集中定数

抵抗

  • 1.5×103 [Ω] (HBM)
  • 1.0×101 [Ω] (MM)

 

積分路を設定*

L/Face

電気

集中定数

インダクタンス

  • 32.5×10-7 [H] (MM)

 

積分路を設定*

GND/Face

電気

電気壁

 

外部境界条件

電気

開放境界

 

*集中定数境界における積分路は集中定数に接する導体を結ぶように設定します。

解析結果

電磁波解析(時間領域)の結果テーブルから各集中定数境界にかかる電圧や流れる電流、ポートに流れる電流を確認できます。

HBM

HBMにおけるコンデンサ(C)にかかる電圧は図2のようになります。ポートに電圧がかかっている1.0 [ns]まではコンデンサは充電され、

ポートが短絡する1.0 [ns]以降は放電している様子が確認できます。

 

RC回路における時刻 t [s]での電圧Vc [V]は理論的に求めることができ、次のようになります。

 

Vc = V0 × (1- exp(-t/RC))

 

ここでV0は回路につながれている直流電圧、Rは抵抗値、Cはコンデンサの容量値です。この式からコンデンサが99%充電される

(Vc = 0.99 V0となる)時刻はおよそ690 [ns]と求めることができます。図2から解析結果では99%充電されるのにかかった時間は

720 [ns]であることがわかります。この結果は理論値(690 [ns])と近い値であり、解析が正しいことを確認できます。

 

理論値と解析結果の差はポートにかける電圧波形には立ち上がり時間があるためで、立ち上がり時間を小さくするとその差は

小さくなります。しかし立ち上がり時間を小さくすると解析で使用する時刻ステップは小さくなり解析に必要な時間は大きくなります。

 

 

 図2:コンデンサの充電放電過程(HBM)

 

HBMにおける放電電流はポートに流れる電流から確認することができます。結果テーブルにおける電流結果は図3のように

なります。結果ではポートからモデル内に流れ込む電流を正としているため、放電過程(1.0 [ns]以降)ではポート電流は

負の値となります。図3からわかるように、HBMでは始めに大きな電流パルスが急峻に立ち上がり緩やかに減衰していくような

放電電流となります。

 

 

        図3:HBMにおける充電放電電流

 

 

MM

MMにおけるコンデンサにかかる電圧は図4のようになります。またコンデンサからの放電電流は図5のようになります。

 

RLC回路における電圧、電流はR、L、Cの値によってその振る舞いは大きく変わります。MMのように抵抗値が小さいような

回路においては放電電流はCとLにより共振しながらRによって徐々にその振幅は減衰するという減衰振動の振る舞いを

見せます。実際に図5で示されているようにコンデンサが放電することでポートから流れ出る放電電流は減衰振動の振る舞い

を見せています。

 

 

 図4:コンデンサの充電放電過程(電圧)

 

 

 

  図5:コンデンサからの放電電流

 

 

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