
CAEソフト【 Femtet 】-ムラタソフトウェア株式会社
開放型コイルによる電磁共鳴型無線電力伝送の解析例を示します。
低周波解析用の開放境界(※1)を使用することで精度の向上を図ります。
表に記載されていない条件は初期設定の条件を使用します。
項目 |
条件 |
解析空間 |
3次元 |
モデル単位 |
m |
自己共振するコイルのサイズ(50cm四方)に対して解析周波数における波長(25m)が非常に大きくなるため開放境界の種類を低周波解析用の吸収境界に設定します。
項目 |
条件 |
ソルバ |
電磁波解析[Hertz] |
解析の種類 |
調和解析 |
タブ設定 |
設定項目 |
条件 |
開放境界 |
種類 |
吸収境界(低周波) |
メッシュ |
周波数依存メッシュの設定 |
参照周波数:12[MHz] 表皮厚みより厚い導体ボディを境界条件とするをチェック |
調和解析 |
スープタイプ |
等間隔 分割数 をチェック |
スイープ値 |
最小 11[MHz] 最大 13[MHz] 分割数: 200 |
|
スイープの設定 |
高速スイープを選択 Sパラ変化量: 1×10-3 |
モデルは開放型のコイル2つ(Coil1, Coil2)と球の空気領域(Air)から構成されます。
ぞれぞれのコイルは12MHzあたりで自己共振をもつように設計されています。空気領域のサイズは直径2mであり自己共振周波数における波長である25mよりも
非常に小さく設定されています。
ボディ No./ボディタイプ |
ボディ名 |
材料名 |
1, 2/Solid |
Coil1 |
008_銅Cu※ |
3/Solid |
Air |
000_空気※ |
4, 5/Solid |
Coil2 |
008_銅Cu※ |
※材料データベースを利用
境界条件名/トポロジー |
タブ |
境界条件の種類 |
条件 |
Port1/Face |
電気 |
入出力ポート |
基準インピーダンス:
積分路 Path1を設定 |
Port2/Face |
電気 |
入出力ポート |
基準インピーダンス:
積分路 Path1を設定 |
外部境界条件 |
電気 |
開放境界 |
|
設定項目 |
条件 |
周波数依存メッシュの設定 |
参照周波数:12[MHz] 表皮厚みより厚い導体ボディを境界条件とするをチェック |
開放型のコイル(Coil1, Coil2)は12MHzあたりで自己共振するよう設計されており、実際に次の図が示すSパラメータから12MHzあたりで共振していることが確認できます。
自己共振を起こしている12MHzあたりではS21がS11よりも大きくなっておりPort1から入力された電力の大半がPort2へと伝送されていることがわかります。
次のグラフでは次式で示される効率(Efficiency)をプロット(橙)しています。
Efficiency = |S21| 2/ ( 1 – |S11|2 )
この図では比較として従来の吸収境界による結果(青)と、吸収境界を波源から十分離れた距離(10m)に設定した結果(黒)も示しています。
解析周波数における波長はおよそ25mであり、開放境界の位置は波源であるポートからよそ1mと非常に近い場所に設定されています。
従来の吸収境界ではこのように波源から近すぎる開放境界は精度が悪く、結果として吸収境界の結果(青)は今回用いた低周波解析用の
開放境界の結果(橙)と差が出ています。
波源から十分遠い距離に吸収境界を設定した結果(黒)と比較することで、低周波解析用の開放境界は波源からの位置が近いにもかかわらず
開放境界を精度高く実現していることがわかります。
[参考文献]
※1 近畿大学菅原賢悟先生のケルビン変換による方法を用いています
「電磁場開領域問題におけるケルビン変換の適用範囲拡大(その1)静磁場問題への適用 (静止器 回転機合同研究会・電磁界数値計算技術とその応用)」
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