
CAEソフト【 Femtet 】-ムラタソフトウェア株式会社
SPMモータ(Surface Permanent Magnet Motor)の通電時のトルク特性解析例を示します。
ロータの表面に磁石を張り付けた構造をもつ、永久磁石式同期モータです。
トルク、磁束密度分布、鉄損、コギングトルク、誘起電圧などを計算します。
入力を電流値で指定した解析です。
入力を電圧値で指定した事例は例題7をご参照下さい。
外部回路連成解析機能を利用します。
コア部分は電磁鋼板の積層構造を模擬するため、均質化法を利用します。
表に記載されていない条件は初期設定の条件を使用します。
本例題は計算の高速化のため、1/4周期対称モデルを採用しています。
フルモデルも用意していますので、そちらもご参照下さい。
フルモデルのプロジェクトファイルを取得(保存してから開いてください。)
項目 |
条件 |
ソルバ |
磁場解析[Luvens] |
解析空間 |
2次元 |
解析の種類 |
過渡解析 |
単位 |
mm |
解析オプション |
外部回路連成をチェック 回転機をチェック
[換算] モデルの厚み:60×10-3[m] 部分モデルをチェック 分割数:4 [外部回路入出力値換算] 換算するをチェック 直列数:4 並列数:1 結果をフルモデルに換算して出力をチェック |
回転機タブの設定を以下のように行っています。
タブ設定 |
設定項目 |
条件 |
回転機 |
回転移動 |
速度一定にチェック 回転数:1800[r/min] ロータの初期回転位置:0[deg] |
スライドメッシュの分割数 |
周方向メッシュ分割角度:1.0[deg] 1ステップ当たりの回転量:1[メッシュ] スライドメッシュ層数:3 |
外部回路図は以下の通りです。
60[Hz]、5[A]の三相交流電流を印加しています。
U相の位相は「トルク最大となる電源位相探索」の機能を利用して算出したものを設定しています。
外部回路入出力値換算をONにしているため、FEMコイル素子の抵抗値には1/4分ではなく、フルモデル相当の相抵抗を設定しています。
換算についての詳細は「外部回路換算」および「外部回路換算の設定例」をご参照ください。
メッシュタブを以下のように設定しています。
タブ設定 |
設定項目 |
条件 |
メッシュ |
メッシュ設定 |
標準メッシュサイズを自動的に決定する:OFF 標準メッシュサイズ:1[mm] |
空気領域自動作成 |
空気領域を自動作成するにチェック 空気領域のスケール:1.2 |
過渡解析タブを以下のように設定しています。
ステップ数が180で、周方向メッシュ分割角度が1.0[deg]、1ステップ当たりの回転量が1[メッシュ]ですので、機械角で180*1.0*1=180[deg]まで回転させる解析となります。
電気角に換算すると、電気角=機械角*極対数=180*4/2=360[deg]となり、電気角1周期分の解析となります。
本モデルは電源が電流あるため、コイル電流は最初から定常状態となり、トルクも同様です。
鉄損を計算する場合は、定常状態後、電気角1周期分の時間ステップと、材料定数の鉄損特性定義が必要です。
タブ設定 |
設定項目 |
条件 |
|||||
過渡解析 |
時間ステップ |
自動 |
|||||
表 |
|
中央にロータであるロータコアと磁石があり、周囲にステータコアとコイルを配置した構成となっています。
4極24スロットのモータです。
2次元モデルでの解析です。
対称性を利用し、1/4の周期対称モデルとしています。
回転周期境界(Symmetric)を設定しています。
半周期(1周期毎に磁場反転)の周期対称モデルですので、フルモデルで示すと下図になります。
ボディ No./ボディタイプ |
ボディ属性名 |
材料名 |
12/Sheet |
Mag |
NMX-S43SH_日立金属※ |
11/Sheet |
Rotor |
35JN270_JFEスチール※ |
28/Sheet |
Stator |
35JN270_JFEスチール※ |
30/Sheet |
U1+ |
008_銅(Cu)※ |
31/Sheet |
U1+ |
008_銅(Cu)※ |
32/Sheet |
W1- |
008_銅(Cu)※ |
33/Sheet |
W1- |
008_銅(Cu)※ |
34/Sheet |
V1+ |
008_銅(Cu)※ |
35/Sheet |
V1+ |
008_銅(Cu)※ |
※材料データベースを利用
ボディ属性は以下のように設定しています。
コア部分は積層鋼板を模擬するため、均質化法を利用する設定(積層タブ)としています。
ボディ属性名 |
タブ |
設定 |
Mag |
方向 |
ベクトル:X=1, Y=0, Z=1 |
電流 |
誘導電流ありにチェック |
|
ステータ/ロータ/空気 |
ロータ |
|
Rotor |
積層 |
積層を考慮するにチェック 占積率:97[%] 積層方向ベクトル:X=0, Y=1, Z=0 |
ステータ/ロータ/空気 |
ロータ |
|
Stator |
積層 |
積層を考慮するにチェック 占積率:97[%] 積層方向ベクトル:X=0, Y=1, Z=0 |
ステータ/ロータ/空気 |
ステータ |
|
U1+ |
電流 |
波形:外部回路連成 回路上のコイル名:U1 巻数:35[Turn] 方向:奥向き |
ステータ/ロータ/空気 |
ステータ |
|
V1+ |
電流 |
波形:外部回路連成 回路上のコイル名:V1 巻数:35[Turn] 方向:奥向き |
ステータ/ロータ/空気 |
ステータ |
|
W1- |
電流 |
波形:外部回路連成 回路上のコイル名:W1 巻数:35[Turn] 方向:手前向き |
ステータ/ロータ/空気 |
ステータ |
半周期の周期対称境界を設定しています。
境界条件名/トポロジ |
タブ |
境界条件の種類 |
条件 |
Symmetric |
対称/不連続 |
周期的 |
回転周期(半周期) |
添付プロジェクトの解析モデル「電流印加」の結果です。
回転角度が0[deg]の時の磁束密度分布と磁束線を示します。
回転角度-トルク特性を示します。
3.4[N・m]程度のトルクが得られているのが分かります。
電流源を使用していますので、0[deg]から定常状態になっています。
各種損失は結果テーブルの「損失[W](最終1周期参照値)」に出力されます。
同モデルで外部回路の電源素子の電流値を0に変更して解析することで、コギングトルクと無負荷時の誘起電圧を計算できます。
(添付プロジェクトの解析モデル「無負荷」)
コギングトルク波形を示します。
誘起電圧波形を示します。
なお、N-T特性、I-T特性は、「モータ特性図解析」の機能を利用して算出することができます。
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