例題2

SPMモータの基本特性解析(入力電流指定)

本例題について

  • SPMモータ(Surface Permanent Magnet Motor)の通電時のトルク特性解析例を示します。
    ロータの表面に磁石を張り付けた構造をもつ、永久磁石式同期モータです。

  • トルク、磁束密度分布、鉄損、コギングトルク、誘起電圧などを計算します。

  • 入力を電流値で指定した解析です。
    入力を電圧値で指定した事例は例題7をご参照下さい。

  • 外部回路連成解析機能を利用します。

  • コア部分は電磁鋼板の積層構造を模擬するため、均質化法を利用します。

  • 表に記載されていない条件は初期設定の条件を使用します。

  • 本例題は計算の高速化のため、1/4周期対称モデルを採用しています。
    フルモデルも用意していますので、そちらもご参照下さい。
    フルモデルのプロジェクトファイルを取得(保存してから開いてください。)

解析条件

項目

条件

ソルバ

磁場解析[Luvens]

解析空間

2次元

解析の種類

過渡解析

単位

mm

解析オプション

外部回路連成をチェック

回転機をチェック

 

[換算]

モデルの厚み:60×10-3[m]

部分モデルをチェック

分割数:4

[外部回路入出力値換算]

換算するをチェック

直列数:4

並列数:1

結果をフルモデルに換算して出力をチェック

 

回転機タブの設定を以下のように行っています。

タブ設定

設定項目

条件

回転機

回転移動

速度一定にチェック

回転数:1800[r/min]

ロータの初期回転位置:0[deg]

スライドメッシュの分割数

周方向メッシュ分割角度:1.0[deg]

1ステップ当たりの回転量:1[メッシュ]

スライドメッシュ層数:3

 

外部回路図は以下の通りです。

60[Hz]、5[A]の三相交流電流を印加しています。

U相の位相は「トルク最大となる電源位相探索」の機能を利用して算出したものを設定しています。

外部回路入出力値換算をONにしているため、FEMコイル素子の抵抗値には1/4分ではなく、フルモデル相当の相抵抗を設定しています。

換算についての詳細は「外部回路換算」および「外部回路換算の設定例」をご参照ください。

 

メッシュタブを以下のように設定しています。

タブ設定

設定項目

条件

メッシュ

メッシュ設定

標準メッシュサイズを自動的に決定する:OFF

標準メッシュサイズ:1[mm]

空気領域自動作成

空気領域を自動作成するにチェック

空気領域のスケール:1.2

 

過渡解析タブを以下のように設定しています。

ステップ数が180で、周方向メッシュ分割角度が1.0[deg]、1ステップ当たりの回転量が1[メッシュ]ですので、機械角で180*1.0*1=180[deg]まで回転させる解析となります。

電気角に換算すると、電気角=機械角*極対数=180*4/2=360[deg]となり、電気角1周期分の解析となります。

 

  • 本モデルは電源が電流あるため、コイル電流は最初から定常状態となり、トルクも同様です。

 

  • 鉄損を計算する場合は、定常状態後、電気角1周期分の時間ステップと、材料定数の鉄損特性定義が必要です。

タブ設定

設定項目

条件

過渡解析

時間ステップ

自動

No.

ステップ数

出力間隔

1

180

1

 

モデル図

中央にロータであるロータコアと磁石があり、周囲にステータコアとコイルを配置した構成となっています。

4極24スロットのモータです。

2次元モデルでの解析です。

対称性を利用し、1/4の周期対称モデルとしています。

回転周期境界(Symmetric)を設定しています。

 

半周期(1周期毎に磁場反転)の周期対称モデルですので、フルモデルで示すと下図になります。

 

ボディ No./ボディタイプ

ボディ属性名

材料名

12/Sheet

Mag

NMX-S43SH_日立金属※

11/Sheet

Rotor

35JN270_JFEスチール※

28/Sheet

Stator

35JN270_JFEスチール※

30/Sheet

U1+

008_銅(Cu)※

31/Sheet

U1+

008_銅(Cu)※

32/Sheet

W1-

008_銅(Cu)※

33/Sheet

W1-

008_銅(Cu)※

34/Sheet

V1+

008_銅(Cu)※

35/Sheet

V1+

008_銅(Cu)※

※材料データベースを利用

 

ボディ属性は以下のように設定しています。

コア部分は積層鋼板を模擬するため、均質化法を利用する設定(積層タブ)としています。

ボディ属性名

タブ

設定

Mag

方向

ベクトル:X=1, Y=0, Z=1

電流

誘導電流ありにチェック

ステータ/ロータ/空気

ロータ

Rotor

積層

積層を考慮するにチェック

占積率:97[%]

積層方向ベクトル:X=0, Y=1, Z=0

ステータ/ロータ/空気

ロータ

Stator

積層

積層を考慮するにチェック

占積率:97[%]

積層方向ベクトル:X=0, Y=1, Z=0

ステータ/ロータ/空気

ステータ

U1+

電流

波形:外部回路連成

回路上のコイル名:U1

巻数:35[Turn]

方向:奥向き

ステータ/ロータ/空気

ステータ

V1+

電流

波形:外部回路連成

回路上のコイル名:V1

巻数:35[Turn]

方向:奥向き

ステータ/ロータ/空気

ステータ

W1-

電流

波形:外部回路連成

回路上のコイル名:W1

巻数:35[Turn]

方向:手前向き

ステータ/ロータ/空気

ステータ

 

境界条件

半周期の周期対称境界を設定しています。

境界条件名/トポロジ

タブ

境界条件の種類

条件

Symmetric

対称/不連続

周期的

回転周期(半周期)

解析結果

添付プロジェクトの解析モデル「電流印加」の結果です。

 

回転角度が0[deg]の時の磁束密度分布と磁束線を示します。

 

回転角度-トルク特性を示します。

3.4[N・m]程度のトルクが得られているのが分かります。

電流源を使用していますので、0[deg]から定常状態になっています。

 

各種損失は結果テーブルの「損失[W](最終1周期参照値)」に出力されます。

 

 

同モデルで外部回路の電源素子の電流値を0に変更して解析することで、コギングトルクと無負荷時の誘起電圧を計算できます。

(添付プロジェクトの解析モデル「無負荷」)

 

コギングトルク波形を示します。

 

誘起電圧波形を示します。

 

なお、N-T特性、I-T特性は、「モータ特性図解析」の機能を利用して算出することができます。

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