例題9

IPMモータの着磁解析

本例題について

  • IPMモータ(Interior Permanent Magnet Motor)の着磁解析例を示します。
    以下の2段階の解析となります。

  1. 着磁解析
    未着磁の磁石に着磁電流による着磁磁界を与えることで着磁

  2. 着磁結果引用解析
    1.の着磁結果を磁石に設定し、モータのトルクを解析

  • 着磁率、磁化分布、トルク、磁束密度分布などを計算します。

  • コア部分は電磁鋼板の積層構造を模擬するため、均質化法を利用します。
     

  • 表に記載されていない条件はデフォルトの条件を使用します。
     

  • 本例題は計算の高速化のため、1/4周期対称モデルを採用しています。

解析条件

項目

条件

解析空間

2次元

奥行き方向の厚み

60[mm]

単位

mm

ソルバ

磁場解析[Luvens]

解析の種類

過渡解析

解析オプション

[部分モデル(対称モデル)の設定]

部分モデルをチェック

分割数:4

結果をフルモデルに換算して出力をチェック

 

メッシュタブを以下のように設定しています。

タブ設定

設定項目

条件

メッシュ

メッシュ設定

標準メッシュサイズを自動的に決定する:OFF

標準メッシュサイズ:1[mm]

空気領域自動作成

空気領域を自動作成するにチェック

空気領域のスケール:1.2

 

過渡解析タブの設定を以下のように行っています。

  • 着磁解析では、時刻ステップ毎の磁界強度を取得し、磁界強度が下がった段階で、その直前のステップでの磁界強度を着磁磁界とします。
    本例題では定電流としているため、時間ステップ設定は結果に影響しません。
    下記時間ステップ設定を[定常解析]に切り替えても同結果となります。

  • 誘導電流を考慮したい場合は、定電流ではなく着磁電流の波形を入力し、時間ステップを設定して下さい。

タブ設定

設定項目

条件

過渡解析

時間ステップ

指定

No.

ステップ数

出力間隔

時間ステップ[s]

1

1

1

1

 

モデル図

中央にロータであるロータコアと磁石があり、周囲にステータコアとコイルを配置した構成となっています。

4極24スロットのモータの着磁解析です。

I1,I2,I3,I4のコイルに着磁電流を設定しています。

2次元モデルでの解析です。

対称性を利用し、1/4の周期対称モデルとしています。

回転周期境界(Symmetric)を設定しています。

 

ボディ属性および材料の設定

ボディ No./ボディタイプ

ボディ属性名

材料名

12/Sheet

Mag

Magnetize_Mat

11/Sheet

Rotor

35JN270_JFEスチール※

28/Sheet

Stator

35JN270_JFEスチール※

30/Sheet

U1+

008_銅(Cu)※

31/Sheet

U1+

008_銅(Cu)※

32/Sheet

W1-

008_銅(Cu)※

33/Sheet

W1-

008_銅(Cu)※

34/Sheet

V1+

008_銅(Cu)※

35/Sheet

V1+

008_銅(Cu)※

※材料データベースを利用

 

ボディ属性は以下のように設定しています。

I1,I2,I3,I4のコイルに着磁電流を設定しています。

変数「current」を利用し、変更しやすいようにしています。

コア部分は積層鋼板を模擬するため、均質化法を利用する設定(積層タブ)としています。

ボディ属性名

タブ

設定

Mag

方向

ベクトル:X=1, Y=0, Z=1

電流

誘導電流ありにチェック

Rotor

積層

積層を考慮するにチェック

占積率:97[%]

積層方向ベクトル:X=0, Y=1, Z=0

Stator

積層

積層を考慮するにチェック

占積率:97[%]

積層方向ベクトル:X=0, Y=1, Z=0

I1, I2

電流

波形:一定

電流値:current(変数利用)

巻数:35[Turn]

方向:奥向き

I3, I4

電流

波形:一定

電流値:current(変数利用)

巻数:35[Turn]

方向:手前向き

I0

電流

波形:一定

電流値:0[A]

 

材料定数は以下のように設定しています。

着磁特性を定義しています。着磁特性パラメータの詳細は「透磁率」タブを参照してください。

材料名

タブ

定数

Magnetize_Mat

透磁率

材料タイプ:着磁材料

初磁化特性

B-Hカーブテーブル

 

磁界[A/m]

磁束密度[T]

0

0

76000

0.114

152000

0.2375

228000

0.361

304000

0.475

380000

0.608

456000

0.7315

532000

0.8645

608000

1.007

684000

1.1875

760000

1.387

836000

1.6055

912000

1.805

988000

1.957

1064000

2.09

1140000

2.2135

1216000

2.3275

1292000

2.451

1444000

2.6505

1662500

2.9355

3800000

5.5955

 

着磁率の定義タイプ:保磁力で正規化

 

着磁率曲線テーブル

着磁磁界[A/m]

着磁率

0

0

180500

0.0114

427500

0.04275

665000

0.209

883500

0.6365

1083000

0.817

1292000

0.91

1672000

0.97

1957000

1

 

着磁率1.0での保磁力:980000[A/m]

境界条件

半周期の周期対称境界を設定しています。

境界条件名/トポロジ

タブ

境界条件の種類

条件

Symmetric

対称/不連続

周期的

回転周期(半周期)

解析結果

本例題は下記の2段階の解析からなります。

 

  1. 着磁解析
    未着磁の磁石に着磁電流による着磁磁界を与えることで着磁

  2. 着磁結果引用解析
    1.の着磁結果を磁石に設定し、モータのトルクを解析

 

 

はじめに1.の解析結果を示します。(添付プロジェクトの解析モデル「着磁解析」の結果)

着磁電流(変数”current”)を100~1300[A]まで振った時の着磁率分布を示します。

1300[A]でほぼ完全に着磁できていることが分かります。

100[A]

500[A]

900[A]

1300[A]

 

同じく、磁化分布を示します。

                            

100[A]

500[A]

900[A]

1300[A]

 

 

次に2.の解析結果を示します。(添付プロジェクトの解析モデル「トルク解析(着磁結果引用)」の結果)

この解析モデルは、1.の着磁結果を磁石に設定しています。

(「透磁率」タブで材料タイプを[着磁結果引用]に設定)

 

着磁電流が900[A]の時のモータのトルク波形を示します。

 

 

同じく、着磁電流が900[A]の時のモータの磁束密度分布を示します。

 

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