例題2

コイルの鉄損による発熱(B-Hカーブを考慮した交流の解析)

本例題について

  • コア付きコイルの鉄損による発熱を計算する解析例を示します。

  • 透磁率をB-Hカーブで入力しています。
    磁場調和解析の「例題3 コイルの鉄損による発熱」では考慮されない磁気飽和の影響が考慮されます。

  • 磁界ベクトルやコア部分の損失、発熱後の温度分布を解析結果として見ることができます。

  • 表に記載されていない条件は初期設定の条件を使用します。

解析空間

項目

条件

解析空間

3次元

モデル単位

mm

 

解析条件

項目

条件

ソルバ

磁場解析[Luvens]

熱伝導解析[Watt]

解析の種類

磁場解析:  過渡解析

熱伝導解析: 定常解析

解析オプション

なし

  

過渡解析タブを以下のように設定しています。

入力が周波数50[kHz]の交流ですので、その波形を十分再現するため、50[kHz]の1周期分を12分割した時間ステップとしています。

タブ設定

設定項目

条件

過渡解析

時間ステップ

自動

No.

ステップ数

出力間隔

時間ステップ[s]

1

12

1

1.0/(12*50e3)

 

 

モデル図

コアにコイルが巻かれているモデルを用います。

コア(Core)と、ループコイルのボディ(Coil)を定義しています。

自動作成される空気は磁場解析でのみ有効で、熱伝導解析では解析対称外となります。

 

 

ボディ属性および材料の設定

ボディ No./ボディタイプ

ボディ属性名

材料名

5/Solid

Coil2

008_銅(Cu)※

7/Solid

Coil1

008_銅(Cu)※

6/Solid

Core

Core

※材料データベースを利用

 

ループコイルに電流を流すため、ボディ属性は以下のように設定しています。

ボディ属性名

タブ

設定

Coil

電流

波形:交流

電流値: 0.1[A]

巻数: 100[Turn]

誘導電流: なし

方向:ループコイル/磁場方向指定

磁場方向ベクトル:X=0、Y=0、Z=1

 

コアの材料定数を設定します。損失特性は鉄損テーブルで定義します。

材料名

タブ

条件

Core

透磁率

磁化特性タイプ:B-Hカーブをチェック

 

B-Hカーブテーブル

磁界[A/m]

磁束密度[T]

0

0

58

0.219

90

0.33

180

0.59

380

0.69

1100

0.75

2000

0.78

3000

0.8

11000

0.9

20000

0.95

導電率

導体の種類:導体

導電率:0.1[S/m]

熱伝導率

熱伝導率:10[W/m/deg]

鉄損

鉄損の種類:鉄損テーブル

  

周波数:5×104[Hz]

[磁束密度-損失密度]テーブル※

磁束密度[T]

損失密度[W/m3]

50×10-3

5×103

500×10-3

500×103

 

※本特性は架空の材料特性であり実在する
材料の特性ではありません。

グラフボタンを押すと以下のように材料の損失特性をグラフで確認できます。

境界条件

外部境界条件(熱解析ではコイルとコアの周囲に付与される)に自然対流(係数自動計算)を設定しています。

境界条件名/トポロジ

タブ

境界条件の種類

条件

外部境界条件※

放熱・環境輻射

自然対流(係数自動計算)

室温: 25 [deg]

※外部境界条件はメニューバーの[モデル]タブの

から、[外部境界条件]にて設定できます。

※自然対流の係数は自動的に算出されます。詳細は「放熱・環境輻射」を参照してください。

損失の解析結果は、[解析結果]タブの、

 

 

 [テーブル] で表示できます。

 

ジュール損の解析結果としては、以下のように出力されます。

 

 

鉄損の解析結果としては、以下のように出力されます。

 

本モデルのコアの鉄損は、約0.5Wであることが分かります。

なお、コアのジュール損、ヒステリシス損は0となっていますが、これは材料特性を鉄損テーブル

(磁束密度と損失密度の関係を入力)で定義しているためで、鉄損のみ出力されます。

材料特性を鉄損経験式で定義した場合は、ジュール損、ヒステリシス損も出力されます。

損失についての詳細は「磁場解析における損失計算」を参照してください。

 

 

磁界ベクトルの解析結果を示します。

 

磁束密度ベクトルの解析結果を示します。

磁束密度がコアにそってループを構成している様子が分かります。

 

鉄損密度の解析結果を示します。

 

 

熱伝導解析の結果として、温度のコンター図を示します。

コア(Core)の温度が約66度まで上昇していることが分かります。

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