
CAEソフト【 Femtet 】-ムラタソフトウェア株式会社
例題8と同じモデル(基板上に発熱体が配置されており、さらに基板に平行方向の風速による強制対流(空冷)による放熱がある場合の過渡解析)において
発熱に温度依存性がある事例を示します。
強制対流の熱伝達係数を手計算で求める例題です。
自動的に求めたい場合は「簡易熱流体解析例題1」を参照下さい。
温度分布や熱流束ベクトルを解析結果として見ることができます。
表に記載されていない条件は初期設定の条件を使用します。
項目 |
条件 |
解析空間 |
3次元 |
モデル単位 |
mm |
項目 |
条件 |
ソルバ |
熱伝導解析[Watt] |
解析の種類 |
過渡解析 |
解析オプション |
なし |
過渡解析タブにて以下のように設定しています。ステップ数は20で時間ステップは30秒
としていますので初期温度25度から600秒間における温度分布の変化を解析すること
ができます。
タブ設定 |
設定項目 |
条件 |
||||||||
過渡解析 |
表 |
|
||||||||
初期温度 |
25 [deg] |
例題7と同じモデルを用いています。材料定数、境界条件も同じです。
基板(VOL1)と発熱体(VOL2)それぞれを直方体のソリッドボディで定義し、発熱体にはボディ属性で発熱量を設定、
基板の上下面および発熱体の上面に強制対流による放熱の熱伝達係数を簡易式で算出して設定しています。
ボディ No./ボディタイプ |
ボディ属性名 |
材料名 |
0/Solid |
VOL1 |
006_ガラスエポキシ※ |
1/Solid |
VOL2 |
001_アルミナ※ |
※材料データベースを利用
VOL2での発熱量を以下のように設定しています。
ボディ属性名 |
タブ |
設定 |
VOL2 |
発熱量 |
発熱密度 温度依存性「あり」にチェック |
発熱に温度依存性のある解析では、発熱量は、発熱密度として設定します。
例題8の発熱量1[W]に対して、VOL2部の体積が800*10^-9[m^3]なので、等価な発熱密度は、
1.25 x 10^6 [W/m^3]となります。
ここでは、温度が上昇するにつれて発熱量が上昇するモデルとして、
25℃での発熱密度P(25) = 1.25 x 10^6 [W/m^3]となるように、
以下のアレニウスの式(活性化エネルギー0.15eV、ボルツマン定数k:8.62 x 10^-5 eV/K)を使用しています。
P(T) = 1.25 x 10^6 * exp (-0.15/(k*(T+273)) / exp (-0.15/(k*(25+273)
上式を用いて、温度-発熱密度曲線の非線形テーブル設定を以下のように設定しています。
ボディ属性名 |
項目 |
設定 |
VOL2 |
非線形テーブル |
滑らかに補間 にチェック |
温度 |
発熱量 |
温度 |
発熱量 |
温度 |
発熱量 |
25 |
1.25 |
155 |
7.365383041 |
605 |
59.18105993 |
35 |
1.51094343 |
205 |
11.26925562 |
655 |
65.85048973 |
45 |
1.804711948 |
255 |
15.90794507 |
705 |
72.47585198 |
55 |
2.132370783 |
305 |
21.15582761 |
755 |
79.02738627 |
65 |
2.494768691 |
355 |
26.88623825 |
805 |
85.48214754 |
75 |
2.892545312 |
405 |
32.98193112 |
855 |
91.82276684 |
85 |
3.326141169 |
455 |
39.339762 |
905 |
98.03640656 |
95 |
3.795809582 |
505 |
45.87196227 |
955 |
104.1138907 |
105 |
4.301629871 |
555 |
52.5055812 |
1005 |
110.0489868 |
温度-発熱密度曲線のグラフを示します。
強制対流の熱伝達係数は以下のように設定します。算出式は例題8 強制対流による放熱(過渡解析)、
詳細は「強制対流の場合の熱伝達係数」を参照してください。
係数を自動的に求めたい場合は「簡易熱流体解析例題1」をご参照ください。
境界条件名/トポロジ |
タブ |
境界条件の種類 |
条件 |
BC1/Face |
熱 |
放熱・環境輻射 |
熱伝達係数: 17.26 [W/m2/deg] 室温: 25 [deg] |
BC2/Face |
熱 |
放熱・環境輻射 |
熱伝達係数: 27.3 [W/m2/deg] 室温: 25 [deg] |
今回の例題(左)と、例題8(右)について、それぞれの経過時間における温度分布の解析結果を示します。
カラーバーの単位は[deg]です。
ただし、描画設定のコンタータブにおいて自動のチェックをはずして最小値/最大値を25⇒150に設定しています。
60秒後では低温であり、発熱量がほぼ同じのため、例題8と結果がほとんど変わりませんが、
300秒後、450秒後では、温度上昇により発熱量が大きくなっているため、今回の例題の方が温度が高い結果となっています。
温度の時間変化のグラフを示します。
例題8では、600秒経過時点でほぼ収束状況に達しているのに対して、
時間とともに温度が上昇していく熱暴走が起こっていることが確認できます。
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