
CAEソフト【 Femtet 】-ムラタソフトウェア株式会社
半導体パッケージの熱抵抗θja、θjc、θjb、および熱パラメータΨjt、Ψjbの測定例を示します。
半導体パッケージの熱抵抗については「熱伝導解析で出力される計算値(テーブル)」を参照してください。
一つ目のモデルでは、自然対流環境を模擬したモデルによりジャンクション-環境熱抵抗θja、熱パラメータΨjt、Ψjbを出力します。
二つ目のモデルでは、パッケージ表面を通してのみ放熱するモデルによりジャンクション-パッケージ表面間熱抵抗θjcを出力します。
三つ目のモデルでは、基板を通してのみ放熱するモデルによりジャンクション-基板間熱抵抗θjbを出力します。
表に記載されていない条件は初期設定の条件を使用します。
項目 |
条件 |
ソルバー |
熱伝導解析[Watt] |
解析空間 |
3次元 |
解析の種類 |
定常解析 |
モデル単位 |
mm |
解析オプション |
なし |
シリコンチップ、ジャンクション、インターポーザ、モールド樹脂、はんだからなる、BGAタイプの35mm□半導体パッケージのモデルを作成しています。
ジャンクションをチップ上面にシートボディで作成し、発熱量を与えています。
インターポーザは、4層の配線層と3層の絶縁層から構成されます。
はんだ部は、本来、数100個のバンプで基板と接続しますが、ここでは計算時間の短縮のため、
はんだが存在する領域(周囲部と中央部)の二つをモデル化し、材料定数として等価な異方性熱伝導率を与えています。
シリコンチップ、ジャンクション、インターポーザ、モールド樹脂部のメッシュサイズを1.0とします。
はんだ部のメッシュサイズは、標準メッシュサイズとして設定した5.0となります。
4層の配線層と3層の絶縁層から構成される、4層基板モデル(101.6mmx114.3mmx1.6mm)を作成しています。
JEDEC規格に準拠した寸法でモデル化しています。
測定基板のメッシュサイズは、標準メッシュサイズとして設定した5.0となります。
モデル1、モデル3で使用します。
測定基板モデルに半導体パッケージモデルを載せたモデルを使用します。
さらに、Ψjt、Ψjb測定する箇所(天面中央と基板から1mm離れた位置)に点ボディを配置し、「測定端子」境界条件を設定しています。
JEDEC規格による測定環境では、密閉容器内での自然対流環境となっていますが、
ここでは容器を無視して、外部境界条件として、「放熱・環境輻射」の自然対流自動計算と環境輻射を設定します。
半導体パッケージモデルを使用します。
JEDEC規格による測定環境(コールドプレートを天面に当てた状態)を再現するため、
半導体パッケージモデルの天面に「温度」境界条件を設定します。
さらに、θjc測定する箇所(天面中央)に点ボディを配置し、「測定端子」境界条件を設定しています。
外部境界条件は、初期設定の「断熱」とします。
測定基板モデルに半導体パッケージモデルを載せたモデルを使用します。
JEDEC規格による測定環境(コールドプレートで基板を挟んだ状態)を再現するため、
コールドプレートの接触する部分をシートボディでモデル化し、
「温度」境界条件を設定しています。
さらに、θjb測定する箇所(基板から1mm離れた位置)に点ボディを配置し、「測定端子」境界条件を設定しています。
ボディ No./ボディタイプ |
ボディ属性名 |
材料名 |
0/Solid |
CHIP |
Si |
1,3,5,7/Solid |
LAYER |
008_Cu銅※1 |
2,4,6/Solid |
INSULATION_LAYER |
006_ガラスエポキシ※1 |
8/Solid |
MOLD |
MoldResin |
9,12/Solid |
SOLDER_LAYER |
Solder_Aniso |
13/Face |
JUNCTION |
Si |
14,16,17,18/Solid |
BOARD_LAYER |
008_Cu銅※1 |
15/Solid |
BOARD |
006_ガラスエポキシ※1 |
19,20/Vertex |
設定しない※2 |
設定しない※2 |
※1 材料データベースを利用
※2 境界条件を付与するための転写用ボディ
ボディ No./ボディタイプ |
ボディ属性名 |
材料名 |
0/Solid |
CHIP |
Si |
1,3,5,7/Solid |
LAYER |
008_Cu銅※1 |
2,4,6/Solid |
INSULATION_LAYER |
006_ガラスエポキシ※1 |
8/Solid |
MOLD |
MoldResin |
9,12/Solid |
SOLDER_LAYER |
Solder_Aniso |
13/Face |
JUNCTION |
Si |
19/Vertex |
設定しない※2 |
設定しない※2 |
※1 材料データベースを利用
※2 境界条件を付与するための転写用ボディ
ボディ No./ボディタイプ |
ボディ属性名 |
材料名 |
0/Solid |
CHIP |
Si |
1,3,5,7/Solid |
LAYER |
008_Cu銅※1 |
2,4,6/Solid |
INSULATION_LAYER |
006_ガラスエポキシ※1 |
8/Solid |
MOLD |
MoldResin |
9,12/Solid |
SOLDER_LAYER |
Solder_Aniso |
13/Face |
JUNCTION |
Si |
14,16,17,18/Solid |
BOARD_LAYER |
008_Cu銅※1 |
15/Solid |
BOARD |
006_ガラスエポキシ※1 |
21,22/Face |
設定しない※2 |
設定しない※2 |
23/Face |
設定しない※2 |
設定しない※2 |
※1 材料データベースを利用
※2 境界条件を付与するための転写用ボディ
JUNCTIONのボディに発熱量と厚みを与えます(モデル1~モデル3共通)。
ボディ属性名 |
タブ |
設定 |
JUNCTION |
発熱量 |
2[W] |
厚み/幅 |
シートボディの厚み: |
材料データベースを使用しない材料には以下の材料定数を設定します(モデル1~モデル3共通)。
材料名 |
タブ |
設定 |
|||||||||
Si |
熱伝導率 |
120[W/m/deg]※1 |
|||||||||
Mold_Resin |
熱伝導率 |
0.8[W/m/deg]※2 |
|||||||||
Solder_Aniso |
熱伝導率 |
異方性:異方をチェック 異方性熱伝導率設定※3
|
※1 国峰尚樹著「 エレクトロニクスのための熱設計完全入門」p19
※2 横掘勉、堀野直治著「電子機器設計者のための放熱技術入門」p111
※3 以下の方法で等価熱伝導率を設定しています。
方向1、2(面方向)は熱伝導が空気により遮られるため、材料データベース「000_空気」の値0.0293[W/m/deg]を設定しています。
方向3(高さ方向)は、材料データベース「107_鉛フリーはんだ_SnAgCu」の値にモデル化したはんだ層の面積に対して
実際のはんだバンプが占める割合をかけた値を設定します。
実際のはんだバンプの端子間隔1[mm]、バンプ半径0.35[mm]として、
バンプ面積/1つのバンプを囲む長方形の面積の比 = π x 0.35 x 0.35 /( 1 x 1 ) = 0.384845
高さ方向の熱伝導率 = 64 x 0.384845 = 24.81 [W/m/deg]
モデル1では、測定端子の境界条件と外部境界条件で自然対流、環境輻射を設定します。
モデル2では、温度境界条件を設定します。外部境界条件はモデル1とは異なり、断熱とします。
モデル2では、温度境界条件と測定端子の境界条件を設定します。外部境界条件はモデル1とは異なり、断熱とします。
境界条件名/トポロジ |
タブ |
境界条件の種類 |
条件 |
Psi_jt/Vertex(モデル1) |
熱 |
測定端子 |
– |
Psi_jb/Vertex(モデル1) |
熱 |
測定端子 |
– |
外部境界条件(モデル1) |
熱 |
放熱・環境輻射 |
室温(環境温度):25[deg] 輻射率:0.8※1 |
25c/Face(モデル2、モデル3) |
熱 |
温度 |
25[deg] |
外部境界条件(モデル2、モデル3) |
熱 |
断熱 |
– |
Theta_jc/Vertex(モデル2) |
熱 |
測定端子 |
– |
Theta_jb/Vertex(モデル3) |
熱 |
測定端子 |
– |
※1 プリント配線板の値を使用 国峰尚樹著「 エレクトロニクスのための熱設計完全入門」p37
モデル1のテーブル出力[ジャンクション熱抵抗]の結果を示します。
これより、
ジャンクション-環境間熱抵抗θa = 12.312 [deg/W]
熱パラメータΨjt = 0.387 [deg/W]
熱パラメータΨjb = 6.916 [deg/W]
となることが確認できます。
モデル2のテーブル出力[ジャンクション熱抵抗]の結果を示します。
これより、
ジャンクション-パッケージ表面間熱抵抗θjc = 4.892 [deg/W]
となることが確認できます。
モデル3のテーブル出力[ジャンクション熱抵抗]の結果を示します。
これより、
ジャンクション-基板間熱抵抗θjb = 7.258 [deg/W]
となることが確認できます。
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